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2021/04/05(月) 12:20

大和ハウス 樋口武男氏編著「積極精神に生きる―創業の人・石橋信夫の心とともに」

投稿者:  牧田司

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 大和ハウス工業の最高顧問(前代表取締役会長)・樋口武男氏が編著した書籍「積極精神に生きる―創業の人・石橋信夫の心とともに」(PHP研究所、価格:1,100円・税込み)が3月22日発刊された。

 同社創業者・石橋信夫の生誕100周年を今年9月に迎えるのを記念して、石橋が遺した50の言葉を厳選し、書籍化したものだ。

 創業者から薫陶を受けた樋口氏は本著で、「創業者精神が息づく言葉を、現代の表現にして取り上げ、私なりの理解と解釈を添えたが、私は著者ではなく、編著者としてこの本を書いた。この本の著者は、私であって私ではない。『創業の人・石橋信夫』と私の『同行二人』による成果物としたかったったからだ」とし、「『石橋信夫』という唯一無二の存在によって育まれた創業者精神は、当社グループの社員だけでなく、世の中でいま活躍されていて、これからの経営を担う多くのビジネスパーソンにも参考になると信じている。それだけの普遍性と不変性があると思うからである」と述べている。

 樋口氏は1938年、兵庫県生まれ。1961年、関西学院大学法学部卒業後、鉄鋼商社に勤務。1963年、同社入社。1984年に取締役、1991年に専務取締役、1993年、経営不振に陥っていたグループ会社の大和団地代表取締役社長に就任 し、再建を果たす。2001年、合併により大和ハウス工業代表取締役社長に就任。2004年、代表取締役会長兼CEO。2020年、最高顧問。著書に「熱湯経営―『大企業病』に勝つ」(文春新書)など多数。

◇      ◆     ◇

 記者は、小説はよく読む方だと思うが、ビジネス書とか自己啓発・箴言本などはほとんど読まない。

 しかし、この本は石橋を「経営の師とも、人生の師とも、父ともいえるような大きな存在」という樋口氏の経営哲学、人生観がストレートな言葉で語られている。実践の裏付けもある。よくあるその種の本とは異なると思う。

 なによりいいのが読みやすいということだ。小難しい観念論でもって読者を混乱させるこの種の本と一線を画す。50の言葉(テーマ)はどこから読んでも不都合は生じない構成になっている。それぞれのテーマは、1ページ分の見出しと、3~5ページの本文からなり、1ページは12行(通常の文庫本は17行前後)、1行は33字(同40字前後)と短く、1文当たり多くて5行、ほとんどが1~2行だ。年寄でもらくに読める。

 さらにうれしいのは、文庫本サイズで、ページ数も256ページと手ごろ、しかも、帯付き、ビニールカバー付きなので、ポケットに入れて持ち運べるということだ。

 しかし、文章が短くすらすらと読めるからといって読み捨てるような本でもない。それぞれの言葉には深い意味が込められてはいるからだ。

 例えば154ページ。「社会に出て、企業で働くようになったら、会社よりも仕事よりも、まずは自分を愛することを大切にしたい」と石橋、または樋口氏はいう。これは文字通り読めば、いわゆる自己中心、ナルシストに陥りかねないが、そうでないことは他の言葉をよめばすぐわかる。人を愛せない人は自己を愛することはできないし、自分自身が愛せる人に値するかどうか冷徹な目で自分を見つめることも必要だと石橋も樋口氏も他の項目で説く。若い人に薦めたい本だ。

 分かりやすいといえば、同社芳井敬一社長の今年の入社式訓示もそうだ。芳井氏は新入社員に対する希望と期待について「1つ目は、挨拶の徹底」「2つ目は、知識の蓄積」「3つ目は、感謝の気持ちを表すこと」「4つ目は、『リセットキー』を持つこと」と呼び掛けた-難しいことではあるが、これは社会人としての基本だ。


 

 

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