伊藤忠都市開発は4月27日、結婚情報サービス「ゼクシィ」編集部と共同で考案し、新築賃貸マンション「クレヴィアリグゼ門前仲町」(2020年2月竣工)の1室で実物件化した「理想の新婚部屋 七夕カップルの愛ある家庭内週末婚」をメディアに公開した。
「理想の新婚部屋」は、イマドキ新婚夫婦の理想や願望を叶える新発想の間取りをプロジェクトメンバーが考案したもので、「七夕カップル」と「猫っぽカップルの気まま暮らし」「恋人夫婦のルームロマンス」「カジュアル夫婦のお家フェス」の4タイプを開発した。
「七夕」は、生活リズムが異なる新婚夫婦が、普段は相手に気兼ねなく過ごし、貴重な2人一緒の休日は仲良くまったりできる「週末婚」スタイルをイメージした間取りプラン。玄関からの導線を分け、左右均等に寝室、ロフト、収納などを平等に振り分けているのが特徴。新しい住まい方の提案が評価され、2020年グッドデザイン賞を受賞した。専用面積約50㎡、月額家賃は28.8万円。
物件は、東京メトロ東西線・都営地下鉄大江戸線門前仲町駅から徒歩8分、江東区佐賀一丁目に位置する12階建て全79室。専用面積は25.23~58.91㎡。月額賃料は11.7万円から、平均13.1万円。満室稼働だったが、法人の解約があったため現在の稼働率は93.7%。
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この賃貸マンションは、プレス・リリースが昨年4月2日に発表されたとき、見学を申し込んだのだが、そのあとすぐ新型コロナ緊急事態宣言が出されて実現しなかった。その後、グッドデザイン賞を受賞し、夫婦それぞれ専用洗面化粧台やテレワークとして使えるロフトがあることから、withコロナ時代に対応したプランとして注目され、3月9日のテレピ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」でも紹介されたという。
テレビは見ていないが、この日見学した「七夕カップルの愛ある家庭内週末婚」はやはり理解できなかった。
〝通い婚〟〝週末婚〟は理解できないわけではない。小生も独身のとき夢見たことがある。それぞれが自立した生活をしており、会いたければ会うというのが一番いいのではないかと。結婚は新たな人生の出発点ではあるが、それは同時に自らの生活を未来にわたって縛るという意味で終末点でもあると考えたからだ。
実際、結婚を前提にそれに近いことを実践したことがある。ところが、相手は小生に〝もう一人の女性〟の影をかぎつけたのか、しばらく会わないうちに、見事に捨てられた。「花を愛せる人になって」というのが三行半の言葉だった。「週末婚」は「終末婚」になるのを思い知った。その時ほど〝遠くの美男より近くの醜男〟などと悔やんだことはない。青春の蹉跌というにはあまりにも痛すぎた経験だ。
「七夕」を考案した方々はどのような考えの持ち主かわからないが(多分女性)、ふつうはいざ好きな女性(男性はわからない)ができたらメロメロになり、寝ても覚めても状態になるのではないか。4タイプのうち部屋の中央にビッグベッドを配置したプラン「恋人夫婦」がもっとも自然だ。
どうして専用面積が50㎡あり、天井高が3.8mもあるのに、鍵付きの夫婦別室とし、かがまないと入れず、立ち上がれば頭を打つロフトに一人寝なければならないのか、なぜ専用の洗面台や収納が必要なのか、さっぱりわからなかった。家賃28.8万円は折半するのだろうか。
まあ、しかし、記者のような団塊世代といまの方たちの結婚観は全く異なるということだろうと無理やり納得させた。
他のタイプは見学できなかったが、一番人気の「猫っぽカップル」や「恋人夫婦」「カジュアル夫婦」はとてもいい。分譲でも十分採用できそうとも考えたが、ライフステージにより間取りの趣向は変化するので難しい面もある。
今回に限ったことではないが、同社の伝統だろう。分譲も賃貸も面白い商品企画を考案する。