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2021/05/01(土) 12:01

コミュニティ育む仕掛けに驚嘆 従来の常識覆す ポラス「Sumi-Ka+ 新故郷」

投稿者:  牧田司

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「Sumi-Ka+ №.2 新故郷」PLAN1

 ゴールデンウィークに突入し、普段なら心が浮き立つのに、昨年に続き今年も新型コロナが猛威を振るっているせいで現場取材は激減し、心はどんよりと沈んだままのこの日(4月30日)、ポラスの分譲戸建て「佇美の家(たびのいえ)」(市川市)「Sumi-Ka+ №.3 空の稔」(松戸市)「Sumi-Ka+ №.2 新故郷」(松戸市)を見学した。午後の半日を飲まず食わずで丸々費やしたが、取材を終えた後は心が沸き立った。それぞれコンセプトが斬新で、素晴らしい物件だ。

 さて、この3物件の中からどこから紹介するか。取材順なら冒頭に書いた通りだが、従来の分譲戸建ての概念を一変させた商品企画の「Sumi-Ka+ №.2 新故郷」を真っ先に取り上げる。

 物件は、新京成電鉄みのり台駅より徒歩7分、千葉県松戸市稔台2丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全3棟。敷地面積・建物面積・価格はそれぞれPLAN1が132㎡・118㎡・5,480万円、PLAN2が117㎡・98㎡・4,380万円、PLAN3が104㎡・80㎡・3,880万円。企画・設計は中央住宅不動産ソリューション事業部不動産開発部。施工はポラテック。構造は木造在来工法2階建て。建物は完成済み。

 最大の特徴は、3棟を異なる個性的なプランとすることで、3家族がお互いの価値観を尊重し、ともに助け合うコミュニティを創造する「『日本の古き良き文化』を現代に置き換えた街創りを提供」(同社)していることだ。

 3家族のコミュニティを醸成するための空間デザインとして、近所の人たちと会話できるようにPLAN1の道路に面した庭にはベンチを設置。PLAN1の1階の駐車ガレージと住居部分の間に幅165センチの「Common Space」(エントランスゲート)を設け、PLAN2とPLAN3の居住者が自由に通れるようにし、さらに、それぞれの住棟間にはフェンスを設けず、デッドスペースを家庭菜園や専用庭として利用できるように「協定」を結ぶことにしている。

 PLAN1は「Long Life」と名付け、子育てだけでなく将来親との同居を想定。子どもが独立したときは1階と専用庭を両親の空間とし、中2階のリビング繋いで2階は夫婦の寝室として利用できるように設計。PLAN2の子どもが病気になったときは預かり世話ができるスペースも確保している。

 「Family」と名付けたPLAN2は、共働きの家族を想定。PLAN3の夫婦と子ども2人が中央広場で遊び、PLAN1の家族と一緒に家庭菜園を楽しめるようにしている。

 PLAN3は、「Ko Kazoku」とあるように夫婦の「個」を尊重し、子供はいないが、PLAN2の子どもの面倒を見ることをいとわない夫婦の入居を想定している。

 企画・設計を担当した同社不動産ソリューション事業部は、店舗数25店、営業スタッフ150人の仲介事業を中心とする総勢190人の部署で、不動産開発部は年間約150棟の分譲戸建てを販売している。

 設計を担当したプロジェクトリーダー・村田嵩胤氏は、「『新故郷』の文字には、住人同士で支えあい信頼関係を気づける街づくりを目指す『信個共』、誰もが持つ心の弱さや孤独を補い合い境界のない関係を築く『心孤境』、震災などの記録・記憶を子どもたちに伝える『震子教』のメッセージを込めました。私は入社14年目で、最初からソリューション事業部所属。最初の3年間は仲介営業を担当し、設計希望だったので1級建築士の資格を取得しました。この種の商品企画は仲介営業を通じて得られるお客さまの様々なニーズから生まれたものです。今月5月12日が34回目の誕生日です」などと語った。

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エントランスゲート

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村田氏

◇       ◆     ◇

 夫婦2人の居住を想定しているPLAN3のモデルハウスは実によくできている。建物面積は80㎡だが、1階はLDKとトイレ、2階はセカンドリビングにもなる主寝室、スキップフロア&ベッドスペース、浴室、2ボウルの洗面、トイレ、ウォークインクローゼットの1LDKなので広々としている。リビングドア、サッシは高さ2.4m、リビング天井高は2.7m。

 床・壁・天井などに本物の木を多用し、トップライト、セカンドシンク、ミニ冷蔵庫置き場、造作ベンチなどを設置。価格には建具家具も含まれる。

◇       ◆     ◇

 見学したのは午後5時を過ぎていた。「佇美の家(たびのいえ)」を見学するために昼過ぎに家を出てから何も食べておらず、移動の合間にタバコ一服とミニペットボトルのお茶を飲んだきりだった。早く帰らないと西武ライオンズの応援ができないではないかと焦っていた。同社の戸建ての特徴は見なくても分かる、たかが3棟の戸建てを見てどうするのだと正直思った。

 ところが、どうだ。道路に面したPLAN1は立派な建物で、1階中央が通り抜けられるようになっており、しかも、その通路は「協定」、つまり民法で定めた地役権ではなく、紳士協定と村田氏がいうではないか。

 これまで共有のコモンスペースを設けたものや、境界線を取り払った戸建て住宅地はたくさん見学してきたが、このような住棟にエントランスゲートを設けたものは初めて見た。それぞれの敷地を家庭菜園や専用庭として使えるというのもまずないはずだ。普通のデベロッパーだったら敷地を四角に切って4棟にするはずだ。

 このような分譲戸建ての常識を根底から覆す商品企画を生み出したのは、村田氏も話したように、お客さんの生の声を日常的に聞いている営業と一緒に取り組んでいるからに違いない。記者は、今年のグッドデザイン賞大賞を受賞するのはこの物件ではないかと思う。

 取材を終え、帰途についたのは午後6時過ぎだった。みのり台駅近くの酒屋で缶ビールを買って店先で飲んだ。五臓六腑に染みわたるとはこのことを言う。ポラス広報と村田さんに感謝!感謝!西武ライオンズも完勝した。

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