RBA OFFICIAL
 
2013/05/15(水) 00:00

鹿島・住林 国内初のスギ耐火集成材採用の店舗

投稿者:  牧田 司記者

鹿島建設・住友林業

国内初のスギ耐火集成材を採用した「oto no ha Cafe」

 


「野菜倶楽部 oto no ha Cafe」

 鹿島建設と住友林業は5月15日、国交省の平成24年度木造建築技術先導事業に採択された、国産スギ材の耐火集成材「FRウッド」を国内で初採用した3階建て耐火建築物「野菜倶楽部-oto no ha Cafe」の完成見学会を行なった。集成材は無処理の荷重支持部分の外側に難燃処理した燃え止まり層、表面に無処理の化粧材を施した3層構造で、都心部の木造耐火建築物のプロトタイプとして普及が見込まれている。

 建設地は目白通りに面し、東京カテドラル、講談社野間記念館、椿山荘に隣接した都心の一等地。敷地面積は約677㎡、建物は3階建て延床面積約243㎡。防火地域(道路から20m)に対応した耐火認定軸組工法建築に耐火集成材の柱、梁を組み入れた耐火建築物で、木製サッシ、無垢材フローリング床、スギのルーバー天井などの木質化を図ったのが特徴。事業の提案者は講談社グループの音羽建物グリーン事業本部、設計は鹿島建設、施工は住友林業。補助金額は1,580万円。有機野菜の販売と料理を提供する店舗として5月25日オープンする。

 見学会で挨拶した音羽建物ファシリティマネジメント部部長で1級建築士の塚本平一郎氏は、「当初は鉄骨造として企画したが、鹿島さんや住林さんの提案があり、無農薬の野菜を売る店舗にふさわしいと考えてコストはかかっても木造がいいと決断した。防火地域のハードルを乗り越えて立派な建物が出来上がった」と話した。

 また、住林の住宅事業本部木化営業部設計チームマネージャー・西出直樹氏は「国産材の自給率を50%に引き上げようという国の目標もあり、今年はそのスタートの年となるよう可能性を追求していく」と語り、鹿島の建築設計統括グループチーフアーキテクト・比留間基晃氏は、「実大加熱実験を行い、個々の耐火認定の組み合わせで耐火性能を有することを確認して耐火建築物の壁を乗り越えることができた。5本のFRウッドの柱・梁を使用し、外壁は塗装仕上げ、内装は木肌がそのまま体感できるよう工夫を施した」と述べた。


スギの木肌が美しい内部

◇     ◆     ◇

 建物の外観は塗装仕上げなので木造か鉄骨か判別は難しいが、建物内に入ると本物の木の美しさが実感できる。構造材は岩手県産のスギ、床は厚さ20ミリ、幅25センチのナグリ仕上げのナラ材、階段はタモ材、窓はベイマツの木製サッシを採用している。天井にはスギのルーバーを採用し、排煙を兼ねるトップライトを3カ所に設けている。隣接する野間記念館の借景も眺められる。

 このような木造の耐火建築物がどんどん建設されることを期待したい。鉄やコンクリートより木が美しいのはいうまでもない。

天井のルーバー テラス(左が野間記念館)
 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン