東京建物は7月5日、群馬県の県都・前橋市の前橋駅前の〝公・商・住〟一体複合再開発免震タワーマンション「ブリリアタワー前橋」のメディア向けモデルルーム発表会を行った。同社にとって前橋市でのマンション供給は初めてで、免震、高さ94mの超高層、ディスポーザー付きなども同市にとって初で、初物尽くしのマンションだ。
物件は、JR両毛線前橋駅から徒歩2分、前橋市表町二丁目に位置する敷地面積約3,870㎡、27階建て全203戸。専有面積は60.85~123.88㎡、価格は未定だが3,000万円台前半からで、坪単価は208万円になる模様。売主は同社(事業比率80%)のほかファーストコーポレーション(同20%)。設計・監理は宮田建築事務所。構造監理はサイエンス構造。デザイン監修は野生司環境設計。施工はファーストコーポレーション・小林工業・鵜川興業・吉田組。竣工予定は2024年3月下旬。
事業は、前橋市が進める「市街地総合再生計画」区域内の重要施策区域に位置する再開発事業の一環であり、東京建物が分譲事業の幹事会社と事業の個人施行者として、ファーストコーポは事業の個人施行者代表企業、分譲事業の共同事業者、物件施行者1社として参画するもの。
四方道路の周囲には、デッキ広場や並木の遊歩道などを整備し、建物デザインには、「糸」「水」「並木」「山並み」「レンガ」といった、前橋の歴史や自然に縁のあるモチーフを取り入れ、前橋駅前のランドマークにふさわしい外観が特徴。
建物の1階に商業施設、2階に子育て支援施設などを整備するほか、災害時における帰宅困難者の一時避難場所としても提供する予定。住戸は2階からで、標準階は1フロア9戸、26・27階は1フロア6戸。
主な基本性能・設備仕様は、免震のほか二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ(上層階26、27階は2700ミリ)、ディスポーザー、食洗機(収納との無償セレクト)、Low-Eガラス、玄関プッシュプルドア、ホーローキッチンパネルなど。共用施設として2階にリモートワークに対応するワーキングラウンジと個室のワーキングブースのほかパーティールーム、キッズルームなどを設置する。駐車場は全213台(うち住宅居住者用203台)。
発表会に臨んだ同社住宅事業第一部長・浅沼正樹氏は「当社が個人施行者となって分譲するもので、免震、高さ94mというのは前橋市で初めて。今週の土曜日から一般公開を開始するが、東京圏からも問い合わせがある」と手ごたえを感じている様子だった。
これまで約600件の反響があり、モデルルーム来場予約は200件を突破。向こう3週間は全て満席(営業スタッフ8人対応で3回転)。年代は40歳代が最多で、60歳以上は約1割、居住地は。地元が約65%、高崎、東京圏がそれぞれ約1割、買い替え希望は約2割。分譲開始は9月の予定。
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まず坪単価から。記者はリーマン・ショック後の2010年9月、大京「ライオンズ前橋大手町」112戸とタカラレーベン「レーベンリヴィバーレ高崎グレイス」109戸を見学取材している。坪単価は前者が110万円、後者が120万円だった。
そして今回。いかに地方とはいえ、県都だから坪200万円以下はありえず、とはいえ200万円をはるかに突破することもないと読み、坪210~220万円くらいではないかと予想した。
その通りになった。とても安いとは思うが、高いか安いか判断するのはお客さんだ。
全然知らなかったのだが、関係者から聞いたらこのマンションは初物尽くしだ。以下にそれを列挙する。
①同社初の前橋市での分譲(同社は4年前だったか、高崎で分譲したマンションは人気になった)②免震③最高峰(これまでは群馬県庁か)④ディスポーザー⑤スライドドア⑥億ション(最上階の123㎡)などだ。
不思議に思ったのは60歳以上の反響が1割にとどまっていることだ。その理由はよくわからないが、前橋市の中心市街地は駅から少し離れたところで、その先に県庁などの行政の中心地がある。生活利便施設は中心市街地や行政エリアのほうが充実しているので、通勤する必要のない高齢者などは〝駅近〟に魅力を感じていないためだろうか。
東京圏の反響が1割というのはよくわかる。県都の駅前に立派なマンションが建つなら、地縁のある人ならみんな関心を示す。一方で、高崎も1割というのはよくわからない。前橋の立派なケヤキ並木は高崎にはないのではないか。
甲府に続く県都の一等地 大京「ライオンズ前橋大手町」(2010/9/3)
市街地活性化に一役買う タカラレーベン「レーベンリヴァーレ高崎グレイス」(2010/9/3)