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2021/07/07(水) 17:52

「木」の中層マンション「MOCXION(モクシオン)」第一弾 三井ホーム「稲城」見学会

投稿者:  牧田司

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「稲城・木造マンションプロジェクト」

 三井ホームは7月7日、建築時のCO2排出量をRC造より半減させる枠組壁工法による日本最大級の「稲城・木造マンションプロジェクト」構造現場見学会を行った。国内最高レベルの壁倍率30倍の高強度耐力壁や高性能遮音床システムなどを採用している。プロジェクトは、国土交通省の令和2年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)に採択されており、一次エネルギー消費量を約30%低減するZEH-M(Oriented)を取得する予定。

 物件は、京王相模原線稲城駅から徒歩4分、稲城市百村に位置する5階建て(1階:RC造、2~5階:木造)耐火ハイブリッド構造の延べ床面積約3.738㎡の賃貸マンション51戸。最上階には90㎡の住居も2戸設けられる。木造部分の階高は2980ミリ、リビング天井高は2450ミリ。着工は2020年10月。竣工予定は2021年11月。 

 プロジェクトでは、中層の建築物を木造化する場合、規定の構造性能と耐火基準を満たすためには、構造壁が厚くなることなどが設計上の課題とされてきたが、その課題を解決するために、枠組壁工法では国内最高レベルの壁倍率30倍の高強度耐力壁「MOCX wall(モクス ウォール)」を開発。これにより、従来と比べ壁厚を約半分に減らすことを可能にしたのが大きな特徴。

 また、鉄筋コンクリート造と同等クラスの高性能遮音床システムを開発。鉄筋コンクリート造の集合住宅で求められる要求性能(重量床衝撃音LH-55以下、軽量床衝撃音LL-45以下)と同等程度の遮音性能を実現した。

 さらに、準耐火建築物への採用が可能となった構造材「NLT」を一部に採用し、施工の検証を行う。「NLT」は、北米で100年以上前から利用されてきた意匠デザインの幅を広げる構造材で、「大空間」の設計に利用可能なほか、特別な生産設備が不要であり、資材調達におけるコストメリットも期待されている。

 このほか、同社は国内初の試みとして、信州カラマツ材による2×10材を床組みの一部に採用し、三井不動産グループの保有林(北海道)の木材や間伐材を軒裏や内装材として活用。国産材の用途拡大に貢献する。

 同社は、中層以上の共同住宅の木造化・木質化も促進することで、SDGsや脱炭素社会の実現に貢献するため、「木」を構造材に用いた木造マンションの新ブランド「MOCXION(モクシオン)」を立ち上け、今回の「稲城・木造マンションプロジェクト」を第一弾とすることを発表している。

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高強度耐力壁「MOCX wall(モクス ウォール)」

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高性能遮音床システム

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「NLT」材

◇       ◆     ◇

 見学会では、同じ壁の厚さで通常の壁の30倍の強度を持つとか、地震時の耐力壁の回転を抑える金物「ロッドマン」は1本で通常50本の金物の役割を果たすとか、矢継ぎ早に発せられる担当者の言葉に記者はあっけにとられるばかりだったが、一つだけ木のよさと技術の高さがよくわかったことがあった。

 見学中、サッシは通常のアルミサッシのように見えた。ZEHマンションなどでは断熱性を高めるため二重サッシにし、しかも室内側は樹脂サッシが採用されているものが多い。どうしてアルミなのか聞いたら、担当者は断熱性が十分担保されるので、樹脂サッシを採用する必要がなく、それだけコストも抑えられるということだった。

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アルミサッシの開口窓

◇       ◆     ◇

 会場に着いたら、同社関係者はみんなSDGsバッジを付けていた。記者は「バッジを付けているのは〇〇ハウスさんがおそらく一番多い。御社はどうか」と質問した。「当社は希望するグループ社員全て。2,000人強が対象」とのことで、「〇〇ハウスさんは木製ではない」と聞かないことまで返ってきた。確かにバッジは木製だった。

 木製のSDGsのバッジを付けているのは住友林業の役員(一般社員はわからない)とアキュラホームだ。

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木製SDGsバッジ

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:建設現場

全役員がSDGsバッジ 住林は障がい者による手作り木製 熊谷組は市販のメタル製(2019/7/26)

 

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