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2021/07/17(土) 18:49

〝木の時代へ〟 木住協の季刊誌「木芽」公的データを再編集して〝見える化〟

投稿者:  牧田司

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「木芽(もくめ)」vol.179(2021.春夏)

 日本木造住宅産業協会(木住協)の季刊誌「木芽(もくめ)」vol.179(2021.春夏)に掲載されている「公的統計データから『見える』建築物木造化の動向」を読んだ。定期的に発表されているデータのようだが、記者は知らなかった。多くの方に参考になるはずなので紹介する。

 公的統計データとは、国土交通省の建築着工統計調査で、同協会の女性スタッフが3日がかりで分かりやすく再整理したものだ。平成18年度から令和2年度の15年間の全建築物の全棟数、床面積、うち木造の棟数、床面積、木造化率のほか、住宅、事務所、店舗、学校校舎、病院・診療所ごとの木造の棟数、比率と都道府県別の用途別木造化比率が2ページにわたって掲載されている。

 建築物の着工等数、床面積は、この15年間で最多だった平成18年度の棟数72.8万棟、床面積187,614万㎡から令和2年度には53.4万棟(平成18年度比26.7%減)、114,300万㎡(同39.1%減)へそれぞれ大幅に減少している。

 しかし、木造は健闘しており、平成18年度の50.7万棟、6,395万㎡から令和2年度は40.7万棟(同19.7%減)、4,978万㎡(同22.1%減)と全体の減少幅より小さく、令和2年度の木造化比率は棟数比率76.3%(同6.6ポイント増)、床面積比率43.5%(同9.4ポイント増)と上昇している。

 住宅着工も平成18年度の60.0万棟、10,849万㎡から令和2年度には45.9万棟、6,578万㎡へとそれぞれ23.5%、39.4%減少しているが、木造は平成18年度の47.3万棟、5,889万㎡から令和2年度には38.4万棟、4,540万㎡へとそれぞれ18.8%、22.9%の減少にとどまっている。このため、令和2年度の木造化率は棟数比率で83.6%(平成18年度比4.8ポイント増)、床面積比率は69.0%(同14.7ポイント増)と上昇している。

 このほか、木造化率が低かった事務所、店舗、学校校舎、病院・診療所も全て木造化率は上昇している。令和2年度の木造化率は事務所が棟数比率で37.7%(平成18年度比14.4ポイント増)、床面積比率で9.2%(同2.4ポイント増)、店舗が棟数比率28.2%(同2.0ポイント増)、床面積比率5.0%(同1.5ポイント増)、学校校舎が棟数比率12.7%(同6.0%増)、床面積比率4.2%(同2.3ポイント増)、病院・診療所が棟数比率51.7%(同17.5ポイント増)、床面積比率11.2%(同5.1ポイント増)となっている。

 都道府県別データで木造化比率が高いのは、事務所は秋田県(57.3%)と山形県(51.9%)、店舗は北海道(45.4%)と新潟県(40.1%)、学校は秋田県(28.1%)、岩手県(24.1%)、宮崎県(20.6%)など、病院・診療所は秋田県(58.5%)、新潟県(58.5%)、山形県(55.4%)、石川県(54.9%)、和歌山県(54.5%)、宮城県(53.9%)など。

 木造化比率がもっとも低いのは沖縄県で、事務所は2.4%(全国平均30.4%)、店舗は3.9%(同26.2%)、学校校舎は0.1%(同8.6%)、病院・診療所は2.5%(同41.5%)と全て全国平均より桁違いに低い。

 これらのデータからはっきりするのは、「木の時代」は着実に前進しているということで、2050年のカーボンニュートラルの追い風も受けて、加速度的に木造建築物は増加するのではないか。

 

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