東急リバブルは7月21日、同社ホームページ上で展開している「スピードAI査定」機能に、これまでマンションに限定していた対象物件を拡大し、 一戸建・土地の査定も可能にしたと発表した。
同社は2020年10月からマンションの査定価格を瞬時に算出する「スピ ードAI」を導入している。一戸建や土地はマンションに比べ物件の個別性が高く、一般的にAIによる査定が困難と言われてきたが、同社は過去10年間の市場売り出し価格データ(データベース会社からの提供)を基に、同社の営業担当者が直近1年間で実際に査定したデータや公示地価・路線価のデータも統合することにより、査定価格を瞬時に算出できる独自のAI査定を実現したという。
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同社は今年3月、リバブルの営業経験5年以上のベテランと遜色ないレベルの「投資用区分マンションAIマッチングシステム」を開発し、本格稼働すると発表した。
投資用マンションは、一般的なマンション査定とは異なり、利回りを最優先するのでAIがベテラン営業マンと同レベルの査定能力を発揮するのはありうることだと記者は理解したが、戸建てにも採用するというのにはさすがに驚いた。
マンションも同様だが、戸建てはまさに玉石混交。再建築不可の既存不適格建築物も少なくなく、築後20年以上の中古戸建ての建物価格はほとんどセロと査定されている現行の商習慣をAIはどうするのか、戸建てと切り離せない街並みの評価はどうなるのか、どうして成約価格でないのか、安心R住宅とそうでない物件はどの程度の差額となるのか、宅建士の資格取得を考えているのかどうか、成績不振の営業マンは職を脅かされるのかどうか…興味は尽きない。
昨日はリストの高額マンションに特化したAI査定システム「mAI List(マイリスト)」と対決してきた。勝ったか負けたかは、AIは応答せず(弱点はしっかり確認した)、AIの個人情報もあるだろうし、自尊心を傷つけるのも失礼だと判断し、原稿は事前に同社の優秀な担当者にチェックしてもらってから掲載することにした。週明けにも発表できるはずだ。
東急リバブルのAIとの対決もしたい。同社にも取材を申し込んだ。AIは応じるだろうか。同社には、電話をしながら書類などのチェックを行い、同時に目の前の部下にも適切な指示を出す、同時に3つも4つもの仕事をこなした伝説の営業マンを目の当たりにしたことがある。この伝説の男のAIに対する評価も聞いてみたい。
各社のAI同士で査定能力を競ったら面白いと思うが、この記者の挑発に各社のAIは乗るだろうか。他社のAI査定を狂わし、攻撃を加えるAIをAIが開発することは可能のような気がする。そうなったら業界は大混乱し、消費者もまたパニック状態に陥るのではないか。