農林水産省は8月3日、令和2年(1~12月)の外国資本による森林買収の事例調査をまとめ発表した。森林法の届出制に基づくもので、合計12件22haだったと報告。平成18年から令和2年累計では278件2,376haとなった。
また、国内の外資系企業と思われる者による森林買収の事例は26件404haで、平成18年から令和2年の累計は240件5,765haとしている。
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外国資本と外資系企業と思われる森林買収の累計は8,141haだ。この数値が大きいか小さいか、記者は分からない。「所有者不明土地」問題もそうだが、届出制は、無届出または虚偽であっても10万円以下の過料しか課せられないという問題もあり、実態はよくわからないといわれている。
それにしても、この8,141haとは具体的にどのような規模なのか。三井不動産グループが北海道に所有する森林面積約5,000haをはるかに超え、東京都の公園面積約8,013haもこの1年間で超えたことになる。
また、この8,141haは15年間で積み上げられた数値だ。このまま推移すると仮定すると、向こう100年間で約54,000haになる計算だ。民間企業の森林所有面積が今後変化しないとすれば、王子製紙の約190,000ha、日本製紙の約90,000haに次ぎ、現在3位の住友林業の約48,000haを超えることになる(住林はこの10年間で約6,000ha増やしているが)。