左から深谷氏、米山氏、似内氏
オリックス不動産と立命館アジア太平洋大学(APU)は12月2日、観光事業経営とグローバル大学の連携で地域活性化と人材育成を目指す「友好交流に関する協定」を締結し、2022年4月から同社が運営する「別府温泉 杉乃井ホテル」で有給型インターンシップを開始すると発表した。
同社は、杉乃井ホテルをはじめ全国で47の旅館・ホテル・水族館などを運営しており、先に「うめきた2期」のホテル事業担当幹事会社として3つのホテル運営会社をヒルトン大阪と阪急阪神ホテルズに決定した。地域と施設の長期的なブランド価値を向上させる「地域共創プロジェクト」を各施設で推進していく。杉乃井ホテルは現在もAPUの学生アルバイト約100名を受け入れている。
APUは、大分県別府市に2000年4月学部、2003年4月大学院をそれぞれ開学。学生数は5,744名(うち2,651名は国際学生)。教員数は166名(専任教員のみ)。
「自由・平和・ヒューマニティ」「国際相互理解」「アジア太平洋の未来創造」を基本理念に掲げ、世界95か国・地域から学生を受け入れてきた。観光学分野の教育研究にも力を入れており、大分県と県内外22市町村と包括連携を結んでいる。2023年には「持続可能な観光と社会」を研究テーマとする「サステイナビリティ観光学部」の設置を予定している。
協定締結式に臨んだオリックス不動産取締役社長・深谷敏成氏は、「APUの学生さんに実地型学習を提供する機会を設け、観光学の基礎学習とビジネス実務体験を一気通貫で感じていただけるよう、特徴あるカリキュラム作りをサポートしていく」と述べた。
APU副学長・米山裕氏は、「本学では人材育成における実際の課題やその解決に取り組む実践を非常に重視しており、今回の協定によって学生が大きく成長すると確信している」と話した。
杉乃井ホテル&リゾート代表取締役・似内隆晃氏は、「今回の産学連携は初の試み。今回の協定を通じ『他にはない体験価値』を提供するとともに、ホテル全体のホスピタリティの向上を図り、『訪れるお客さま』『地域』『当社施設』にとっての好循環を作ってまいりたい」と述べた。
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別府温泉は、高校のとき修学旅行で行ったきりだが、もちろん「杉乃井ホテル」の名前は知っている。同社によると、ホテルの客室総数は802室、従業員数は900名。客室数:従業員数は1:1.12だ。
旅館・ホテルといっても、ラグジュアリーホテルからビジネスホテルまであり、付帯施設も千差万別、まさに玉石混交の業界だ。一口には論じられないのだろうが、この杉乃井ホテルの従業員の多さにびっくりした。従業員全員ではないにしろ地域の雇用をホテルが支えていることなど考えてもみなかった。
そこでネットで調べてみた。最高のホスピタリティを提供していると記者が思う「ザ・リッツ・カールトン東京」 は客室245室で、従業員数は420名とある。客室数:従業員数は1:1.71だ。これが伝説の「クレド」を生んだ源泉なのか。
わが国トップクラスの客室数を誇るホテルはどうか。客室数:従業員数は1:0.15だ。客室料金を低く抑えられる秘密はこんなところにも表れている。