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2013/06/07(金) 00:00

タカラ フェンス排除した驚嘆の戸建て「大泉学園」

投稿者:  牧田 司記者

タカラレーベン 境界のフェンスを全て排除した

建売住宅「レーベンプラッツ大泉学園」


「プラッツ大泉学園」

 

 タカラレーベンが6月から分譲を開始した建売住宅「レーベンプラッツ大泉学園」を見学した。隣り合う住戸間のゆるやかなコミュニティ を醸成するため全27棟の境界のフェンスなど工作物を一切設置せず、隣戸間の空間には低中木の緑をたくさん確保した。この種の建売住宅の例は首都圏ではほ とんどなく、必見の物件だ。

 物件は、西武池袋線大泉学園駅からバス13分、徒歩3分、練馬区大泉学園町8丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率 100%)に位置する全27棟。敷地面積は100.21~128.95㎡、建物面積は82.39~101.17㎡、価格は4,798万~6,268万円 (最多価格帯5,700万円台)。建物は木造2階建(在来軸組工法)。全棟完成予定は平成25年9月中旬。

 

◇     ◆     ◇

 

 最大の特徴は、4棟を1ユニットにした「アウトサイドラウンジ」と呼ばれる緑の空間を設置し、東西軸も南北軸も境界にはフェンスなどの工作物を一切設けていないことだ。

 記者はこれまで30余年の記者生活の中で、4~5棟で共有するコモンスペースや南北軸の間に舗道(路地)を設けた建売住宅は見ているが、隣戸間の境界にフェンスを設けていない27棟もある団地を見学するのは初めてだった。これには驚愕すると同時に快哉を叫んだ。

 記者が子どもの頃の田舎の住宅は垣根こそあったが、隣戸間の境界などあってないようなものだった。隣の敷地を通ろうが敷地に立ち入ろうがとがめるものなどなかった。子どもも親も自由に行き来した。玄関を通らずとも勝手口、台所、居室が出入り口になった。味噌、醤油などの貸し借りは日常茶飯だった。

 今回の物件も、フェンスがないから、通ろうと思えばどこからでも出入りできる。おそらく子どもたちはそのような利用をするのではないかと思った。

 それだけではない。建物の外壁には薄っぺらいサイディングではなく、厚さ約 1 センチのガラス素材を用いた塗り壁やタイルが採用されている。塗り壁は櫛引仕上げのものが多用去れている。ベランダは黒のルーバーが多用されていた。建物は周囲の建物と調和させるため寄棟のデザインとなっている。


南側道路の住宅の庭

 

◇     ◆     ◇

 

 いったい、どうしてこのような驚嘆すべきランドスケープデザインのプランを考え出したのか、非常に興味があったので設計を担当した㈱ HIRAMEKI の重松剛氏に電話で聞いた。重松氏は次のように語った。(重松氏は同じようなプランの「はちおうじこまち」で2009年にグッドデザイン賞を受賞している)

 「八王子でも同じようにフェンスを設けない戸建てを供給している。そのときは、高齢者には抵抗を示された方もいたが、ターゲット層の30歳代は全然問題がなかった。今回も分譲する以前にアンケートをとったが、八王子と同じような傾向となった。それで『これで行けそうだ』となった。同じようなプランは首都圏では他にないだろうが、全国で見るとゼロではない。

 全体的なコンセプトとしては過剰な設備を排除し、できるだけ自然のエネルギーを取り込んだパッシブデザインを採用した。庭などに用いた石は軽石で、敷地北側に中木や軽石を多用したのは、緑や軽石の気化熱を利用して夏場の冷気を北側から取り込み南側に送ろうという狙い。4戸1ユニットにしたのは、これぐらいの規模のほうがコミュニケーションがとりやすいということだ」

  
左側が北側住戸、右が南側住戸

 

◇    ◆    ◇

 

 タカラレーベンの建売住宅を見学するのは2度目だった。見学する前は「アウトサイドラウンジ」なるものがどのようなものかチラシには説明されていなかったので、全然知らなかった。〝価格ありき〟の物件で見るべきものがなかったらどうしょうとも思った。

 それが冒頭の素晴らしいランドプランだ。よくぞ、このような建売住宅の分譲に踏み切ったとタカラレーベンの決断を賞賛したい。まず他のデベロッパーだったら「ノー」だろう。とはいえ、村山義男社長や島田和一副社長をよく知っているから、ゴーサインを出したのも納得できる。同社には社員のやりたいことをやらせるいい社風がある。ぜひともこのプロジェクトを成功させて欲しい。


モデルハウスのLDK

 

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