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2022/01/27(木) 12:00

気になる質の低下 平均価格、単価とも過去最高 2021年首都圏マンション 不動研調べ

投稿者:  牧田司

 不動産経済研究所は1月25日、2021年の首都圏マンション市場動向をまとめ発表。新規発売戸数は前年比23.5%増の3万3,636戸となった。エリア別では東京23区が1万3,290戸(前年比21.8%増)、都下が2,921戸(同9.9%減)、神奈川県が8,609戸(同54.1%増)、埼玉県が4,451戸(同32.2%増)、千葉県が4,365戸(同5.9%増)。

 契約率は、毎月の初月契約率は前年の66.0%を7.3ポイント上回る73.3%となり、2015年以来6年ぶりの70%台となった。エリア別では23区が72.5%(前年比6.3ポイント増)、都下が74.8%(同25.2ポイント増)、神奈川県が71.8%(同1.8ポイント増)、埼玉県が70.6%(同9.4ポイント増)、千葉県が80.3%(同3.4ポイント増)。累積契約率は前年の78.5%から9.6ポイント増の88.1%となった。

 1戸当たりの平均価格は前年比2.9%上昇の6,260万円で、1㎡当たり単価は前年比1.2%上昇の93.6万円(坪308.9万円)となり、平均価格は3年連続、1㎡単価は9年連続の上昇。過去最高だった1990年の平均価格6,123万円、1㎡単価93.4万円(坪308.2万円)より平均価格は177万円(2.2%上昇)、1㎡単価は1.1万円(0.2%上昇)それぞれ上回る最高値となった。

 エリア別の平均価格・坪単価は、23区が8,293万円(前年比7.5%上昇)・423.1万円(同2.5%上昇)、都下が5,061万円(同7.3%下落)・244.5万円(同8.0%下落)、神奈川県が5,270万円(同3.1%下落)・257.4万円(同4.6%下落)、埼玉県が4,801万円(同5.2%上昇)・233.3万円(同6.0%上昇)、千葉県が4,314万円(同1.4%下落)・203.3万円(同0.8%上昇)。

 億ションは2,760戸で、前年の1,818戸からほぼ倍増した。(過去最多は1990年の3,079戸)。

 12月末の販売在庫は6,848戸で、前年12月末の8,905戸より2,057戸減少している。

◇        ◆     ◇

 コロナ禍であるにも関わらず供給量が増え、売れ行きも好調に推移し、平均価格、分譲単価とも過去最高となったのは、ひとえに住宅ローン金利が低水準にあり、旺盛な住宅取得意欲(賃貸住宅の賃料が高く、質が劣ることの裏返し)、価格の先高観が背景にありそうだ。バブル崩壊までは市場としてなかった単身者向けが一定の比率を占めるようになったのも大きな要因だと思う。アフターコロナの働き方改革を見据えた住宅取得意向の変化も市場を後押ししているのではないか。

 ただ、同じような調査を行っている調査会社を含めて、肝心な質についても調査して報告してほしい。

 今回の調査結果からも分かるように、平均価格を単価で割った専有面積は23区では19.6坪で、他のエリアも20坪前後だ。価格、単価は上昇の一途で、肝心の居住面積はどんどん縮小している。さらにまた、天井高や各種の設備仕様レベルも退行する一方だ。

 基本性能・設備仕様レベルダウンを考慮すると、実質的な価格上昇は前年比でも10%くらい上昇しているではないかというのが記者の実感だ。

 販売在庫は、供給量からして高水準にあるような気がする。12月末の販売在庫6,848戸のうち大半は完成在庫と思われる2017~2020年分の残戸数は2,829戸になっており、販売在庫に占める割合は41.3%に上っている。

 活況を呈し、しかも大手デベロッパーの市場占有率が高まっている中で、根雪のように積みあがっていくこれらの完成在庫はどのような物件なのか。ものすごく興味がある。

 さらにもう一つ。同研究所の調査は専有面積30㎡以下や投資向け、一棟売り、地権者住戸などは調査対象外で、記者はこれらだけで年間1.5万戸はあるとみている。

 それらを足してもなお、毎年5~6万戸台で推移している首都圏マンション着工戸数とは1万戸くらいの〝空白〟がある。この毎年消える1万戸の行方が知りたい。不動産リートへの売却なのだろうか…。

 

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