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2022/01/28(金) 13:38

左利きの数ほどいるLGBTのニーズ満たす コスモスイニシアのリノベ「中野南台」

投稿者:  牧田司

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「センチュリー中野南台」モデルルーム

 コスモスイニシアが分譲開始したDINKSやLGBT世帯向けリノベーションマンション左利きの数ほどいるLGBTのニーズ満たす コスモスイニシアのリノベマンション「センチュリー中野南台」を見学した。百聞は一見に如かず。SDGsやユニバーサルデザインを考えるうえでもとても参考になった。

 物件はLGBT当事者が中心となって運営を行っている不動産仲介会社「IRIS」(アイリス)と共同で開発したもので、東京メトロ丸の内線中野新橋駅から徒歩10分、中野区南台1丁目に位置する2001年5月竣工の14階建て「センチュリー中野南台」(全57戸)の2LDKで、専有面積64.55㎡、価格は6,180万円。

 昨年末から予約制で住戸を公開しており、毎週コンスタントに集客があり、これまで案内したのは16件。見学者の2~3割が同性カップル、他は家族、プレファミリーがそれぞれ同率。同社は来場者の声を聞きながら、LGBTでも住宅ローンが組める「パートナーシップ証明書」を発行済みの渋谷区、中野区などを中心に導入を検討していく。

 同社流通事業部流通二部一課・末吉渉氏は「従来、LGBTカップルは収入合算やペアローンで住宅ローンが組めなかったのですが、自治体が『パートナーシップ証明書』を発行するようになってから借り入れ可能な金融機関が出てきました。この『証明書』はLGBTカップルが2人でローンを組んで購入するという選択肢を付与したという点で意義深い。LGBTカップルの世帯年収は1,000万円を超え、個性的な飲食店やスポーツジム、花屋さんが近くにあることを重視されることも分かりました。SDGsが当たり前になったように、数年後にはLGBTカップル対応のプランが当たり前の時代がやってくる」

  また、同課・阿久澤恵里氏は「LBGTの方は左利きの方と同じくらいいらっしゃる」との興味深い話をした。(「私の彼は左利き」という歌を思い出した)

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「センチュリー中野南台」外観

◇        ◆     ◇

 百聞は一見に如かず。プレス・リリースではよく分からなかった部分がすんなりと理解できた。〝なるほど〟と合点がいくものがたくさんあった。

 物件はフルリノベーションしたもので、原形をとどめるのは2400ミリのリビング天井高、1800ミリのサッシ高くらいで、梁型の存在が気にならないようダウンライトを設けるなどの工夫を行っている。

 玄関に入ってほとんど瞬時にLGBT仕様の企画意図を理解した。玄関サイドに設置されている「ハーフ土間収納」だ。扉はソフトクローズ機能付きの引き戸で、大きさは1坪くらいか。ゴルフバッグが2つ入るスペースも確保されていた。ゴルフバッグが2つ入るクローゼットが用意されている一般的な20坪程度のマンションモデルルームなど見たことがない。カップルがそれぞれの趣味を共有できるようにという配慮が伝わってきた。

 居室は5.5畳大と4.8畳大の2つ。これは高齢者世帯のニーズも満たすものだが、洗面所は普通のモデルルームと全然違っていた。高級マンション並みの2ボウルで鏡も2つ。一つは調光機能付きで朝の顔、昼の顔、夜の顔に使い分けることができ、音楽が流せるスピーカー付き。床にはヘルスメーター。共働き世帯が多く、出勤時間が同じだとバッティングすることを解消するためだという。

 浴室は16×16サイズで、扉にはタオル掛けが2つついており、調光機能付き。浴槽は自動洗浄機能付き。これも家事労働の負担を軽減するためだ。

 L字型キッチンにも工夫があった。従前は6畳の和室だったのを模様替えしたもので、システムキッチンはL字型で、二人で調理したり友人を呼んで語らいをしたりできるよう、カウンタートップは敢えてフラットにし、幅は90cm確保している。シンクはユーティリティ。

 このプランはDINKSや高齢者世帯にも通用し、SDGsやユニバーサルデザインの考えとも合致する。

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「ハーフ土間収納」

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洗面室

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ヘルスメーター

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浴室(タオル掛けも2か所)

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 記者は、スーツの襟にSDGsバッジをつけるようになって2年以上経過する。「誰一人残さない」持続可能な社会を2030年までに実現するという趣旨に賛同するからだ。

 しかし、SDGsが掲げる17のゴール目標を全て実践しているかと問われると自信はない。思うことと実践することは異なるからで、実践しているのは17項目のうち半分くらいではないか。

 LGBTも同様だ。LGBTに対する差別に反対するが、住宅購入に際して共有名義でローンが借りられないとか、住宅の設備にも改善すべきことがあることなど考えたことなど全くない。

 考えてみれば、様々な法律の壁や世間の冷たい風にさらされながら、自己の人間としての尊厳、自由を希求し実行しているのはLGBTだ。花屋を求めるのも「美しい生き方」を貫き通すためだと理解した。これは名もない野草をこよなく愛す記者と通じるものがある。

 LGBT対応をテーマにした分譲マンションを企画したのはおそらく同社が初めてだろう。これは、いつも先進的な取り組みをする同社のDNAだ。拍手喝さいを送りたい。

 IRISによると、「パートナーシップ証明書」を発行しているのは東京都では12、全国では130の自治体だという。また、LGBTの全人口に占める割合は1.6~8.9%と推定されるという。推定値の幅が大きいのは潜在的な人数の把握が難しいためのようだ。

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 「パートナーシップ証明書」を最初に導入したのは渋谷区だ。同区は平成27年11月、「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」に基づき、男女の人権の尊重とともに、「性的少数者の人権を尊重する社会」の形成を推進することを目的に同証明書を発行した。

 同証明書は、戸籍上の性別が同じ二者間の社会生活における関係を「パートナーシップ」と定義し、一定の条件を満たした場合、法律上の男女の婚姻関係と実質的に異ならないパートナー関係であることを証明するものだ。

 条件として付されているのは、①区内に居住し、住民登録があること②20歳以上であること③配偶者がいないこと及び相手方当事者以外のパートナーがいないこと④近親者でないこととなっている。

 同証明書の交付を受けることで、ペアローン、連帯債務型、連帯保証型(収入合算)の住宅ローンの借り入れも可能になった。このほか、公営住宅などへ家族として入居可能で、生命保険の受取人として指定でき、クレジットカードの作成、社会福祉施設の利用が可能となった。

DINKSやLGBTs向けのリノベマンション開発・分譲 コスモスイニシア&IRIS(2022/1/16)

 

 

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