野村不動産は2月7日、平均価格が2.3億円の第1期5戸が即日完売した「プラウドシーズン成城コート」(全6区画)の現地をメディアに公開した。小田急線成城学園前駅北口のさくら並木通りをまっすぐ進み、四差路を左折した徒歩8分の建ぺい率40%、容積率80%の第一種低層住居専用地域に立地。「成城アドレス」の一等地で、垂涎の的であるのは間違いない。
公開された最高価格2.7億円のモデルハウスは敷地面積約170㎡(51.69坪)、建物面積約173㎡(52.62坪)。1階は約34㎡のビルトインガレージ、ホール、8.0畳大の主寝室、洗面室、1822の浴室、ストレージなどで、2階は28.3畳大のLDK、5.8畳大の洋室2室、屋上スカイバルコニーなど。
主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高3m、Low-Eガラスの2.7mハイサッシ、全館空調システム、床はオーク材の挽板フローリング、シーザーストーンキッチン・カウンター天板、漆喰壁、内法1.05m階段、カッシーナの調度品、格子デザイン引き戸、本革ドア把手など。
商品企画について、同社住宅事業本部戸建事業部推進一課課長・吉井浩介氏は、「外構も建物形状も従来の分譲戸建てとは異なる都市型デザインとした。外構は御影石、鉄平石、タイルなどを多用した石垣、石張り、電柱の地下化など成城らしいシンボリックなものとし、建物は、水平・垂直ラインを強調したシャープなデザインとフレーム、ガラスを強調したデザインにした」と語った。
販売状況については、同社住宅事業本部戸建営業部営業二課長・松本真木夫氏は「12月末にホームページを開設し、1月8日にモデルハウスを公開するまでの2週間でエントリー数は信じられないほどの1,200件に達し、第1期5戸には最高価格2.7億円の住戸は5件、全体で10件の申し込みが入った。見学に5組、10組の方が並ぶほどの人気になったが、ほとんどの方は当社の『プラウドシーズン』を知らない方だった」と話した。
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今回の見学会は、「成城」は分譲戸建て「プラウドシーズン」の歴史に名を刻む物件であり、今後この種の高額戸建てを積極的に展開するという意思をアピールするためだと理解した。
現地は「成城アドレス」の一等地。従前は邸宅だったそうだが、よくぞこんな土地を仕入れられたものだ。最高価格2.7億円の住戸の競争倍率が5倍になったというのも納得の商品企画だ。価格については、敷地、建物も50坪以上でこの価格はむしろ安いのではないか。
設備仕様レベルは、照明の当たり具合で微妙に表情を変える左官仕上げの漆喰壁や、三協アルミ製の重厚なハイサッシが目を引いた。
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同社の分譲戸建てについて少し紹介する。野村不動産ホールディングスは先の2022年3月期第3四半期決算で、2022年3月期通期業績予想を売上高6,700億円(2021年10月発表時増減なし)、営業利益860億円(同4.9%増)、事業利益880億円(同4.8%増)、経常利益770億円(同4.1%増)、純利益510億円(同3.0%増)と上方修正、各利益はいずれも過去最高となる見通しとし、年間配当予想も5.0円増配し90.0円とすると発表した。
増益をけん引しているのは住宅部門で、今回上方修正した事業利益の増額分40億円のうち20億円が同部門だ。粗利益率は前年同期の21.6%から23.5%に改善した。今期売上計上予定戸数4,300戸に対して第3四半期末の契約進捗率も100.9%に達している。
記者が注目したのは完成在庫の減少だ。第3四半期末の販売中の完成在庫は前年同期の239戸(うち分譲戸建て18戸)から121戸(同0戸)へほぼ半減し、未販売の完成在庫も前年同期の190戸(同11戸)から66戸(同0戸)へと3分の1へ激減している。完成在庫率の低さは、大手デベロッパーの中では三井不動産と双璧をなす。
同社の分譲戸建ての最近の計上戸数は400戸前後で推移しているが、第3四半期末で完成在庫がゼロというのに驚いたので、松本氏に聞いてみた。松本氏は「私は18年間、在籍していますが、完成在庫がゼロというのは皆無ではないような気がしますが、記憶にないくらい珍しいことです」と話した。