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2022/04/05(火) 10:07

興味津々「週刊住宅」の記事 アンビシャス安倍社長・RIA土屋社長・田舎暮らし

投稿者:  牧田司

 44日付「週刊住宅」電子版のアンビシャス・安倍徹夫社長による「不動産市場と資金の行方 過去大不況との相違点、海外の動向」と題した寄稿文を興味深く読んだ。3日遅れの便りどころか、毎号、コピペ記事のオンパレードで〝一週間に十日来い〟と恋願う読者の期待をことごとく裏切っている同紙が放つ、記憶にないくらいの久々のクリーンヒットだ。

文冒頭の安倍氏の顔写真は10年くらい前のものだろうが、齢80に近いいまもそれほど変わらない。回春剤を飲んでいるのではと思わせるほど元気だ。小生も昨年末にお会いし、歓談したばかりだから保証する。

そんな安倍氏は次のようにいう。

「今の金融緩和政策は、お金が国内の実需に回りにくく、投資・投機の資金になったり、海外の事業に回ったりしている。投資・投機のお金が高値買いを呼び込み、実需の前に立ちはだかっている。一億円以上の住宅が買える人たちと、値上がりで住まいの購入に手が届かなくなった多くの人たち。その差が著しく広がってきている。地価の高い大都市で、生涯、賃貸住まいでも良いという人たちが多くいるが、老後の年金暮らしの人達は値上がりした家賃を払い続けられるだろうか。大都市では、70歳を過ぎて保証人無しで賃借することは非常に難しい。中国、韓国のように家を持てる人と持てない人の格差が広がり、社会の構造が歪んでいかなければ良いのだがと思う」

そして、「【山高ければ谷深し】 何がきっかけで崩れるかわからない。ただ、マーケットの状況が厳しくなっていき、追い風が強烈な向かい風になった時、それに立ち向かっていく人材が育つ」と締めくくっている。

寄稿文に記者もほぼ同感だ。「ほぼ」というのは、安倍社長と若干考え方が異なるからだ。記者は億ションを買える人が増えているのは結構なことだと思う。お金持ちが得をしようと損をしようと自己責任だ。デベロッパーが富裕層の財布の紐を解き、心をくすぐるマンションを供給するのは大歓迎だ。

だが、しかし、安倍氏がいうように、23区内で20坪のマンションを平均的なファミリー層が取得できなくなっている現実は異常だ。記者が理想とする100㎡で4,000万円というのは山の奥の調整区域でも無理ではないか。社会が「歪んでいる」としか言いようがない。年金生活者が安価で良質な賃貸住宅に住み続けられる保証など全くない。いったい全体、格差社会はどこまで進むのか。

安倍社長は、この一寸先は闇の歪んだ社会経済情勢を「何がきっかけで崩れるかわからない」と警告する。ロシアのウクライナ侵攻を念頭に置いているのは明らかだ。

少し脱線するが、この問題について少し触れたい。わが国も含め欧米社会は、最大級の言葉でもってロシアを批判しているが、プーチン大統領は「ネオナチからの解放」と言い放ち、そのプロパガンダが圧倒的な国民的支持を得ているというではないか。

どうしてこのような白と黒を、善と悪を、正と邪をひっくり返すことができるのか信じがたいが、よくよく考えると、かつてのわが国もそうだった。国民の目と口と耳を封じる徹底した言論弾圧・統制を行い、訳の分からない「八紘一宇」のスローガンでもって侵略戦争を合理化した。

歴史は繰り返すとはよく言ったものだ。中世の時代に立ち戻ったかのような、血を血で洗う、死には死をという、どれだけ多く〝合法的に〟人を殺すかが「戦争」であることをいま、われわれに突き付けている。

記者は若いころ、「国家が死滅する」ことを夢想した。「国家」は自死しない限りなくならないのか、そしてまた、「国家」が存在する限り「戦争」はなくならないのか。

話を元に戻す。わが国の憲法第二十二条には「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない」とある。いったいどれだけの人が「居住、移転及び職業選択の自由」を享受できているか、本当にわれわれは「国籍を離脱する自由」を持っているのか。「戦争」状態になったら、国籍を離脱するのは「国賊」になるのと等しい。

 ◇      ◆     ◇

同紙には腑に落ちない記事もある。RIAコア・ブレインズの土屋克己社長による12回にわたる「《祝!新入社員》不動産業界へ初めの1歩」という〝連載〟がそれだ。

連載は322日号からスタートした。不動産業界の社員教育のプロが新入社員に何を語るかとても興味があり、楽しみにしていたのだが、翌週号にも今週号にも載っていない。電話で問い合わせたら〝連載〟は月に1回というではないか。二の句が継げなかった。ならばどうして最初にそれを断らないか。

そもそも〝新入社員〟と呼ばれるのはせいぜい3か月だ。その間にみんな各現場に配属される。同紙と土屋氏は向こう1年間にわたってどのようにして新入社員を惹きつけるのか。それとも連載は来年の新入社員をターゲットにしているのか。

        ◆     ◇

 コピペ記事のオンパレードの中にあって、出色の記事も同紙にはあった。鈴木秀雄記者の署名入り「ぶっつけ本番 愛媛移住、体験記 空き家で夢をかなえる 還暦過ぎての冒険へ」というタイトルの記事で、322日号と328日号にわたって掲載された。電子版なら今でも読める。

 愛媛県山間部の築90年の廃屋同然の空き家を30万円で購入し、移り住んでから1か月の生活をレポートしたものだ。

 鈴木氏はいう。「虚心坦懐、一年生の心に戻る暮らしの何と新鮮なことか。面白いことに、一緒に連れてきた猫たち(5匹とか)もそれぞれ個性が伸びて、自立しだした。土、緑、虫、鳥たちの声に本能が刺激されたに違いない」と。

 蓼食う虫も好き好き。何もいうことはないが、都会育ちの鈴木さん、鳥獣被害にはくれぐれも注意したほうがいいですよ。愛媛にクマはいないだろうが、脇の下とか陰部など湿潤部分に食らいつく、イノシシ、シカ、サルなどが運んでくる、猫だって媒介するはずの尺取り虫に似たヤマヒルは怖いですぞ。

 大きさはほんの数センチ、音もなく忍び寄り、食らいつくと血をいっぱい吸って丸々と太り、転げ落ちるまで離れない。痛さを感じないので始末が悪い。無理にはがそうとすると肉まで食いちぎられる。夜もおちおち眠ってなどいられなくなる。不眠症が心配だ。

 ところで、鈴木さん、貴殿はそんな田舎からコピペ記事を垂れ流すのか。いい加減にしてほしい。それより毎号、田舎暮らしをレポートしたほうがいい。間違いなく読まれる。前段の土屋氏のコラムと同じだ。1年後の読者の反応はどうなるか。興味津々。

 

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