三井不動産レジデンシャルは4月7日、パラアーティスト(=障がいをもったアーティスト)のアート作品を分譲マンションの共用部や棟内モデルルームの商談コーナーなどに展示し、入居者や購入検討者などが購入できるサービスを開始すると発表した。
障がいのある人がアートを仕事にできる環境をつくることを目的に2007年4月に設立された3つのNPOが共同で運営しているエイブルアート・カンパニーの協力を得て実施するもので、この種の取り組みは業界初。
第一弾は2022年3月から入居が始まった「パークホームズ横浜本郷台リバーサイドヴィラTHE EAST」(224戸)で、マンション共用部(ラウンジ・ゲストルーム・コンシェルジュカウンター)と棟内モデルルームの商談ルームにパラアーティストのアート作品6点を展示し、入居者・購入検討者が気に入ったアート作品を購入できるようにした。作品は3か月ごとに入れ替えるという。
今後、同社が分譲するマンションで展開し、作品販売などの売上の一部をパラアーティストに還元することでダイバーシティ&インクルージョン推進にも貢献していくとしている。
サービスを開始する背景として、同社は2021年7月から実施している「PARAART サブスクby studio FLAT」が利用者に好評だったことを上げている。
今回の取り組みについてエイブルアート・カンパニーは、「より身近にアートと触れ合っていただく機会になると感じています。みなさんの生活に彩りを添えることができれば嬉しいです」とコメント。同NPOは現在、登録アーティスト数116名、12,540点の作品を軸に活動を行っている。
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最高に素晴らしい。障がい者のアートといえば、業界ではもう20年間も継続している三菱地所の「キラキラっとアートコンクール」が知られている。記者は2015年に取材したとき「われわれは『障がい者』という色眼鏡で作品を観がちだが、それが誤りであることに気づかされるはずだ。レッテルを貼ることで伸びる芽を摘み取ることが怖い」と書いた。
今も同じだ。この際「障がい者」とは何かをさておくとして、世に知られる作家も画家も音楽家もあらゆる芸術家はなにがしらの〝障がい〟を抱えていた。ドストエフスキー、ゴッホ、ピカソ、山下清、ベートーベン…。健常者だって問題を抱えていない人はいない。
少し関連することだが、記者はマンションモデルルームなどの緑のフェイクをやめろとしつこく書いてきた。今回の三井レジの取り組みをきっかけとなって、本物のアートや観葉植物が配置されることを期待したい。
三菱地所 障がい者のアート作品展10月30日から全国6会場で開催(2015/10/29)