三井不動産レジデンシャルは4月15日、専用部と共用部の機能を見直し、選べる朝食、シェア、サブスクなどのサービスを提案した新しい形の賃貸マンション「パークアクシス錦糸町スタイルズ」(96戸)が竣工したのに伴うプレス内覧会を行った。記者は通常の賃貸では考えられないほど共用部が充実しているのと、20数社のメディアが駆けつけていたのにダブルショックを受けた。
物件は、JR錦糸町駅から徒歩10分、都営新宿線菊川駅から徒歩9分、墨田区江東橋五丁目の準工業地域に位置する敷地面積約788㎡(238坪)の7階建て延べ床面積約2,499㎡の96室(建築基準法の用途は「寄宿舎」)。専用面積は15.35~18.00 ㎡、賃料は11.6万円~/月。建物は3月25日に竣工。入居可能日は4月中旬以降。
テレワークの普及や在宅時間の増加などによりライフスタイルが変化・多様化しているのに対応するもので、入居者が必要な機能を必要なときに選択して利用できるのが特徴で、専用部はユニットバス・洗面・トイレを含めた約15~18㎡に抑えている。
その一方で、約120㎡の共用部(全体のレンタブル比は70%だそうだ)に各種の施設を配置。単身者の課題とされる朝食・テレワークに対応するため朝食は200円から450円まで和洋食4種から選べるようにしたほか、夕食は定食や丼など栄養バランスに配慮したメニューを用意、外食のようなメニューをワンコイン未満で提供する。
このほか、リモート会議用の個室やブースなどのワークスペースを設置。シェアキッチン、ランドリー、ブックセレクト、共用備品・調理器具貸出しサービス、洗濯代行、家具のサブスクサービス、レンタサイクルなども行う。
また、SDGsに貢献するためグリーン電力を使用するほか、食事を提供するLEOCと連携してフードロス削減・脱プラスチックの取り組みも行い、共用部のドリンクにはプラスチックストローやカップを使用せず、マグカップ、紙カップ、紙ストロー、紙蓋を採用し、コーヒーは全てフェアトレードコーヒーにする。
賃料設定に関するメディアの質問について同社賃貸住宅事業部 事業グループ室長・神谷正樹氏は、「共用部の充実のほか定額制の水光熱費、各種の無料サービス、ネット環境を考慮すれば一般的な賃貸マンションの相場と比べ相応ではないか」と語った。
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記者は、共用部で赤の他人と緩やかにつながる生活スタイルはいま一つ理解できないのだが、今回の賃貸マンションは分譲マンションの商品企画にも生かせるというのが率直な感想だ。分譲価格を抑制するため、共用部を充実させ専有面積を圧縮する流れは加速するのではないか。
まず共用部。この種の規模の賃貸としては充実しているのは間違いない。写真の朝食メニューが高いか安いか判断できないが、これにフェアトレードのコーヒーが付くし、ビールなどを飲むのも自由だ。飲酒でいえば、同社は1時間500円の飲み放題も1年間期間限定で企画しているという。
ブックセレクトコーナーは有隣堂とコラボしているもので、常時400冊が備えられており無料で読める(居室に持ち込みは不可)。書籍の入れ替えには居住者の声を反映させるという。
次に専用部。建築基準法での用途は「寄宿舎」なので台所がなく、広さ、天井高最大2350ミリ(最大は2480ミリ)というのはともかく、浴室にはタオル掛けがきちんと付いていたし、タンク付きトイレも郊外分譲マンションに採用されているものと遜色ない。直床のフローリングは二重床のそれと同じくらいしっかりしている。物干しポールとピクチャーレール付きの部屋もあった。もちろん飲酒・喫煙も可能(共用部は禁煙)だし、友だちなどを入室させるのも自由だ。
「パークアクシス錦糸町スタイルズ」