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2022/05/25(水) 13:06

大激戦地で販売好調 デベロッパーの良心を見た パラダイスリゾート「調布」

投稿者:  牧田司

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「調布ワンダーランドプロジェクト」

  飯田グループ会社パラダイスリゾートが分譲中の「調布ワンダーランドプロジェクト」を見学した。京王線西調布駅から徒歩10分の全220戸で、今年4月に分譲した第1期50戸が完売するなど好調なスタートを切った。同沿線のつつじヶ丘駅圏から聖蹟桜ヶ丘駅圏にかけてここ3~4年の間に十数物件が分譲されており、今現在15物件2,000戸超が分譲中の大激戦地だ。早期完売したのは大和ハウス工業のコンパクト「調布」くらいで、完成物件では値下げも行われている。同社物件が好調なのは、価格もさることながら設備仕様レベルの高さにある。価格上昇に比例するように面積縮小、設備仕様の退化が著しい市場にあって、最低限の質を維持しようというデベロッパーの良心を見た。

 物件は、京王線西調布駅から徒歩10分、調布市多摩川1丁目の準工業地域に位置する8階建て全220戸。6月下旬に分譲する2期(戸数未定)の専有面積は60.17~88.25㎡、予定価格は3,900万円台~7,400万円台(最多価格帯5,400万円台)、平均坪単価は260万円。竣工予定は2023年1月下旬。設計・監理は谷口建築企画一級建築士事務所。施工は多田建設。販売代理は長谷工アーベスト。4月から分譲を開始しており、これまでに50戸を成約。来場者は300件。

 現地は、雪印乳業の倉庫跡地。用途地域は準工だが、マンション化が進んでいるエリアの一角。北側と南側2方に接道。北側は道路を挟んで小さな工場などがあり、南側は戸建てと中層のホッピー工場、敷地東側と西側はマンション。東宝調布スポーツパーク(ゴルフ場)や多摩川にも近い。

 建物は南東向き、南西向き中心の4棟構成。住戸プランは平均70㎡のファミリータイプが中心。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400~2450ミリ、フィオレストーン天板、ディスポーザー、食洗機、ミストサウナ、タオル掛け2か所、ワイドスパン(70㎡以上は6400ミリ確保している住戸が多い)、トイレ「アラウーノ」(パナソニック製)など。共用施設はオーナーズラウンジ・サロン、460㎡の自主管理公園など。

 同社銀座不動産部課長・田中大介氏は、「価格もそうですが、設備仕様に高い評価を頂いています。レベルは落としていません。お客さまには他と見比べていただきたいと話しています」と、販売代理の長谷工アーベスト東京支社販売第二部門販売一部エリアマネージャー・上田雄一氏は「モデルルームの出来などはお客さまから『段トツ』と言われています」とそれぞれ語った。

 また、最近のマンションは価格が上昇する一方で、基本性能・設備仕様がどんどん退行していることを話したら、パラダイスリゾート取締役・田原伊知郎氏は「大手はブランド力があるから売れるんでしょうが、わたしどもがそれをやったらおしまい」と話した。

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83㎡のモデルルーム

◇        ◆     ◇

 京王線沿線に40年以上住んでおり、主だったマンションはほとんど見学している記者だが、コロナ禍でここ2年間は数えるほどしか見ていない。ただ、上田氏が話したように、設備仕様レベルは「断トツ」だと思う。坪単価260万円レベルではまずほかにないはずだ。単価設定もどんぴしゃり。第一次取得層の取得限界だと思う。

 些細なことだが、「アラウーノ」について。最近はコストを下げるためタンク付きトイレが復活しているが、この「アラウーノ」は最新の機能付きで、マンションに採用されたのは初めだそうだ。尾籠な話で申し訳ないのだが、みなさんは用を足すとき便座に座ることはしないはずだ。勢いよくほとばしる小水の飛沫が便器の外に飛び出し、床やら壁やらを汚し、奥さんに怒られているはずだ。〝座って用を足せ〟と。

 「アラウーノ」はその難点を解消するもので、泡立つ洗剤が飛沫を防ぐスグレモノだ(小生のような糖尿病も小水が泡立つが、アラウーノにはかなわない)。同社がこれを採用したのは「私のオフィスの近くにあるカフェはこれが採用されている。とてもいい」と語った田中氏が採用を決めたかどうかは聞かなかった。

 タオル掛け2か所について。1本わずか1万から2万円のタオル掛けをコスト削減のためなくすデベロッパーが増えていると書いてきたが、いま分譲されている京王線沿線の物件で、きちんと2本設けている物件はどれだけあるか。半分もないのではないか。「デベロッパーの良心を見た」と書いたのはそのためだ。

 田原氏について。名刺交換をするとき「ご無沙汰です」と声を掛けられた。全然覚えていなかったが、7~8年前に他のデベロッパー社長らと飲み会で一緒だったそうだ。記者が酷評している飯田グループの戸建て記事などもよくチェックされているようだが、小生に苦情を申し立てることはなかった。

 ありがとうございます。田原さん。わたしは是々非々を旨としており、為にする記事は書いておりません。飯田グループ入りする前の飯田産業の森和彦社長(現飯田グループ会長)や東栄住宅の故・佐々野俊彦社長、一建設の創業社長の故・飯田一男氏は結構取材しています。

 今回の物件を見学して、大手、中小などの固定概念でものごとを考えてはいけないことも改めて学んだ。やはり記者は現場を見ないといけないということだ。

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アクアパティオ

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アラウーノ

 

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