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2022/06/15(水) 21:18

感動的な天井高2730ミリの「MIデッキ」 職住一体型SOHO 三菱地所レジ「大手町」

投稿者:  牧田司

外観東面夜景 4285.jpg
「The Parkhabio(ザ・パークハビオ)SOHO 大手町」

 三菱地所レジデンスは6月14日、新たなライフスタイルを提案するコワーキングスペースを併設した職住一体型賃貸マンション「The Parkhabio(ザ・パークハビオ)SOHO 大手町」が完成したのに伴う記者見学会を行った。千代田区の駐車場地縁義務の緩和を受けて1階部分に約60㎡のコワーキングスペースを確保し、新建材の「MIデッキ」を天井部に採用することでリビング天井高を2730ミリとし、共用部の壁面に突板を採用しているなど見どころの多い賃貸マンションだ。

 物件は、東京メトロ・都営三田線大手町駅から徒歩7分、JR神田駅から徒歩6分、千代田区内神田一丁目の商業地域に位置する敷地面積約260㎡、13階建て延べ床面積約2,287㎡の全49戸。専用面積は25.31~50.63㎡。現在募集中の賃料は137,000~286,000円(礼金なし、敷金1か月)。契約期間は2年。管理費は20,000~3,000円。竣工は2022年6月15日。設計・施工は大豊建設。敷地建物所有者は三菱地所レジデンス。貸主は三菱地所ハウスネット。

 リーシングは順調で、第1期として12件に申し込みがあり、契約のめども立ったという。スタートアップ企業は約2割で、当初想定した通りという。

 物件の特徴は、①1階にコワーキングスペースを設置し、通勤時間ゼロという蓋らしいライフスタイルを提案②内神田の立地を生かし、まちの賑わい創出に寄与③居室やコワーキングスペースの天井部に新建材の「MIデッキ」を採用し、木材の質感を実現したこと。

 ①のコワーキングスペースは、スギ材を天井と壁仕上げに多用した「Style Lounge」と名付けた天井高6m、約60㎡。作業効率を追求し、オフィスチェアやモニターを完備。壁面アートからは時間帯で変化するオリジナルのBGMが流れ、空調音や生活音の低減を図っている。仮眠が取れるコクヨ製のソロワーク用ブースdop(2基)や個室(2室)、一部外部にも開放する会議室を整備。法人登記も可能にし、スタートアップ企業の支援を行う。

 ②では、2020年4月に施行された「内神田一丁目周辺地区都市再生駐車施設配置計画」を活用し、付置義務駐車場(5m×3m×2台)の緩和を受け、コワーキングスペースの設置を可能にした。内神田エリアの街の賑わい創出に寄与する。

 ③のMIデッキは、三菱地所とケンテックが共同開発し、MEC Industryが製造するハイブリッド建材で、鉄筋と木(もく)が一体化された型枠にコンクリートを打設することで、天然木の現し空間を創出することができる。同社としては初めて採用するもので、天井高2,730ミリを実現した。

 同社は、今回の「大手町」のほか「代々木公園」「祐天寺」を建設中で、今後、都内を中心に3年間で5棟の「The Parkhabio SOHO」シリーズの継続的な供給を目指す。

 見学会で同社常務執行役員賃貸住宅計画部長・森山健一氏は、「賃貸事業は2004年に事業開始し、三菱地所レジデンスの分譲のノウハウを生かしながら展開してきており、今秋にはトータルで100棟が完成する。SOHOは2019年から企画を開始。コロナ禍で働き方改革が一気に進むなか、職住一体型の新しいライフスタイルを提案した。今後も多様なニーズに応えていく」と語った。

 また、同社賃貸住宅計画部第四グループ主任・福井一哉氏は、今回のSOHOを社内ベンチャー新事業として応募・採用された経緯について説明。460件のアンケートや28件の直接アンケートなどで賃貸住宅の1階は使われていないこと、通勤時間が長いことなどに着目し、オフィスと住宅の中間領域としてのSOHOを提案したという。ハード面で差別化を図ったことで、二重賃料負担の課題がある既存のシェアハウスやシェアオフィスとの競合もないと話した。

1階 事務所 4127.jpg
1階コワーキングスペース

1階 事務所 4091.jpg
1階コワーキングスペース

1階 エントランスホール 4172.jpg
1階賃貸エントランス

◇        ◆     ◇

 見学受付の賃貸エントランスに着いたとたん、本物とすぐ見分けられる木が眼前に広がった(写真参照)。もうこれだけで見学した甲斐があったと思った。このところの三菱地所グループの木質化の取り組みは半端でないからだ。

 コワーキングスペースは前段で書いた通り。2層吹き抜けの空間は60㎡よりはるかに広く感じられ、マスク越しではあったが木の香りが鼻腔に広がった。勧められるままにdopに座ってみた。瞑想(小生のパソコンは真っ先に「迷走」に変換した。馬鹿野郎)するのに最適だし、そのまま眠るのもいい。値段も聞いたが、コクヨに問い合わせていただきたい。

 賃貸住宅がまたいい。広さはともかく、実装されたMIデッキを初めて見たが、実に美しい。感動的だ。型枠が現しになるのだからコンクリまみれかと思ったが、まったくそんなことはなかった。天井高2730ミリの分譲マンションなどこの数年間見たことがない。これだけでも大きな価値がある。森山氏らに「分譲にも採用できないか」と聞いたら、「購入者の了解が得られるかどうかの課題がある」とのことで、現段階での採用は考えていないようだ。(二重天井と比較して断熱性能はどうか分からないが、最近の分譲は2400ミリが当たり前になりつつあり、ケミカル製品だらけの内装を考えたら、節や多少の汚れがあっても購入者は納得するはずで、記者は可能だと思う)

 設備仕様も、タオル掛けが1か所、スライドバーのフックは1つ(三菱地所レジデンスはそれぞれ2か所が標準)の浴室を除き、同社の分譲仕様とそれほど遜色ない。キッチン・洗面の天板はフィオレストーンで、トイレはタンクレス。ドア、クロスなども(どこと比較するかだが)郊外マンションに負けない。

 細かいことだが、専用面積34㎡のプランでは、玄関を入ってすぐに奥行き約10cmのDreesing Wallがあり、その隙間に小物入れや衣服を掛けられるようにしており、天井部分には靴・ブーツなどが収納できるCorridor Closetがあった。これも分譲に採用できる。

 2階に設けた全49戸分の駐輪場は平置き型で賃料は300円というから良心的だ。1階のゴミ置き場はエアコンが付いていた。そんな分譲マンションはあるのか。

 家賃は相場より高いが、木をふんだんに用いた居住性能、コワーキングスペースなどを考慮すればむしろ安いか。容積対象に対するレンタブル比率(コワーキングスペース+住宅専用)は95.4%でしっかり事業性も確保している。

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Cタイプ(34㎡)のDreesing Wall(左)とCorridor Closet

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Eタイプ(50㎡)内観

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Eタイプバルコニー(軒天は職人仕上げ)

 

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