木村社長
1994年(平成6年)4月に会社を設立して以来、提携デベロッパーは100社以上、企画・販売協力物件1,337棟、会員数104,803人(うち約27,000人以上がマンションを購入)の実績を積み上げてきた快適住まいづくり・木村吉伸社長(71)にインタビューした。テーマは、コロナ禍でコンパクトマンション市場は変わったのか変わらないのかだ。
木村社長は開口一番、「コロナ前とベースは変わらない。単身者向けコンパクトマンションに対するニーズは旺盛で、本当にいいものとは何か、損か得かを真剣に考える人が増えている」と語った。
ベースに変化はないことの裏付けとして、木村社長は婚姻年齢の推移、高齢化の状況、名目賃金の推移などのマクロデータを示した。景気はよくならない一方で物価上昇、利回り優先の賃貸市場、晩婚化・単身世帯増の流れに変化はなく、年金など老後の生活不安も解消されないからだと説明した。
コロナ禍で郊外マンションを購入するファミリー層が増えていることについては、「テレワークが定着しており、ファミリー層はそのような傾向がみられるが、単身者は利便性を重視する傾向が強い」と話した。
しかし、その一方で「エネルギー問題、ウクライナ問題などからして建築費の上昇は避けらない。都心部では坪単価は500万円以上となり、普通の単身者の取得限界を超えている。準都心部での価格上昇も続いている」とし、今後はこれまで供給事例がなかったエリアに拡大するのではないかと語った。
その好例として、マリモが分譲中の「ソルティア橋本」40戸をあげた。橋本駅から徒歩5分の全戸がコンパクトタイプのマンションだ。この物件については取材済み。残りは10戸を切った。坪単価は320万円。機会を改めて紹介する。
さらに、坪単価260~300万円で供給可能な船橋、松戸、八王子、志木などのほか、舎人ライナー、東武線・京成線、駅から徒歩12~15分でも生活しやすい京王・小田急線などが今後注目されるのではないかと話した。
また、今後の展開として、「SDGsを意識したZEHマンションや、木をふんだんに用いた商品企画、中古のリノベなどの提案を行っていく」と話した。
同社の業績については、「2018年10月度まで24期連続黒字を達成したが、コロナ禍でセミナーを自粛したが、このところはやや持ち直してきている」とし、自社分譲の第8弾「サクラコンフォルテ新綱島」41戸(坪単価380万円)も残り6戸という。
以前行っていた男性向けセミナーはやめたそうだ。その理由について、「男性はマンション購入は結婚してからでも遅くないと考える人が多く、セミナーを実施しても集まらない」と話した。
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子どもの教育、住環境を重視するファミリー層と異なり、単身世帯は身軽でどこにでも住める。やはり資産性・換金性を考えたら、人気エリアのほうに集中するのは当然。理想は山手線内と沿線と考える人が多いが、坪単価は今後600万円以上となるのは必至だ。普通の職業の人は親の援助がないとまず買えない。
となると、郊外を考えざるをえなくなるが、住めば都。どこがいいか、決めるのは本人だ。〝本当に住みやすい街〟などのプロパガンダを信じてはいけない。
記者は街のポテンシャルは①百貨店(1か所で全てが揃う)②ホテル(宴会もできる)③歴史・文化施設(コンサート会場なと)の3つを重視するが、3つとも揃っている街はそう多くない。この点について木村社長は「今後は、スーパーなどの買い物施設、公共施設、スポーツ施設など比較的便利なエリアで新しい立地が増えてくるのではないか」と話している。
わが多摩センターは、とっくにそごう-三越百貨店が撤退し、京王プラザホテルも閉鎖が決まった。町田や新百合ヶ丘、立川にどんどん離させる。橋本に逆転されるのも時間の問題だ。