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2022/08/27(土) 21:38

谷崎潤一郎「陰翳礼讃」の世界 LED照明で表現 東京建物BAG-Brillia Art Gallery-で

投稿者:  牧田司

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photo by Takashi Kurokawa, courtesy LUFTZUG

 東京建物は8月26日(金)~9月25日(日)、同社京橋ビル1 階「BAG-Brillia Art Gallery-(バッグ ブリリア アート ギャラリー)」で展覧会「LIVE+LIGHT In praise of Shadows『陰翳礼讃』現代の光技術と』」を開催する。

 建築関係者にとってはバイブルとされる文豪谷崎潤一郎のエッセイ「陰翳礼讃」の厠、床の間などの家屋、照明、紙、食べ物、能、化粧、女性美など多岐にわたって論じられている文章の中から印象的な6点をテーマに、現代のLED技術を駆使して表現・展示するもの。

 展示スペース「+1」では、「陰翳礼讃」から6つの文章を引用し、日本の伝統素材や工芸品を光と闇の世界で演出。展示スペース「+2」では、LIGHT & DISHESがセレクトした照明とオリジナル照明の販売、及び照明関連メーカーとともに、暮らしを豊かにするツールの展示や照明に関する情報を発信している。

 9月23日には企画制作した谷田宏江氏(LIGHT & DISHES 代表)と演出ディレクション遠藤豊氏(ルフトツーク代表)のトークディスカッションをYouTubeでオンライン配信する。

公式サイト:https://www.brillia-art.com/bag/

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photo by Takashi Kurokawa, courtesy LUFTZUG

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photo by Takashi Kurokawa, courtesy LUFTZUG

◇        ◆     ◇

 谷崎自身、相当の助平爺だったようで、短篇小説「富美子の足」などはもう笑うしかない足指フェチの作品だ(映画化もされたようだが小生は知らない)。展覧会でも谷崎のそうした変態趣味や世界観が展示されるのではないかと期待して出かけたのだが、残念ながらそのような展示はなかった。

 不思議に思ったのは「陰翳礼讃」の英語表記だった。「praise of Shadows」は直訳したらそうなるのだろうが、青空文庫で確認したところ、谷崎の作品に登場する「陰翳」は22か所、「光」は69か所、「闇」は46か所でも分かるように、単なるものの「Shadows」を論じているわけではない。言葉として「日本」が56回、「西洋」が34回、「愚痴」が6回それぞれ登場するように、西洋化する日本古来の文化を惜しむ文明論を披歴したものだし、日本人のものの見方・考え方を論じたものだ。本文中には「礼讃」は一語もでてこない。

 私事だが、小さいころ、真っ暗な部屋に蚊帳を吊るし、その中に蛍を放って楽しんだことがある。しんと静まり返った朝方、雨戸の節穴から光が差し込み、障子に逆さ絵が描き出されることを皆さんはご存じか。

 「praise of Shadows」は英語圏の人にはどのように響くのだろうか。マフィアの世界を連想するのだろうか。

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photo by Takashi Kurokawa, courtesy LUFTZUG

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photo by Takashi Kurokawa, courtesy LUFTZUG

 

 

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