「多摩川住宅ホ号棟マンション建替事業」
住友不動産と長谷工コーポレーションは9月2日、参加組合員として事業参画している「多摩川住宅ホ号棟マンション建替事業」の工事を8月5日に着工したと発表した。事業は国土交通省「マンション長寿命化等モデル事業」(令和3年度)に採択されている。
「多摩川住宅」は、1968年竣工の東京都住宅供給公社初の大規模団地。東京都調布市と狛江市にまたがる約48.9ha(調布市約32.9ha・狛江市約16.0ha)のエリアに、賃貸住宅(約1,800戸)と分譲住宅(約2,100戸)の約3,900戸のほか商業施設、幼稚園、小・中学校などの生活利便施設が整備された。当時、モデル団地として話題になった。
建物の老朽化が進んだことから2007年に「多摩川住宅まちづくり協議会」が結成された。両社は事業協力者として2015年11月に選定され、2020年8月、団地一括建替え決議が成立。2021年4月に調布市の認可を受け、「多摩川住宅ホ号棟マンション建替組合」が設立された。
「ホ号棟」は5階建て380戸(11棟)からなり、地区計画により「住宅再生A地区」として建ぺい率は26%から40%へ、容積率は60%から160%にそれぞれ緩和されたことから905戸(7棟)の建設が可能になった。
特徴は、長期優良住宅認定、CASBEE建築(新築)、ZEHの認証申請予定など。既存のケヤキの巨木の保全など緑環境にも配慮する。
地区計画では、このほか住宅福祉複合地区、住宅再生促進地区、住宅公益複合地区として再生・整備される。
物件は、京王線調布駅からバス12・13分、徒歩4~7分(小田急線狛江駅もほぼ同様)、調布市染地三丁目に位置する敷地面積約37,638㎡、12階建て全905戸(非分譲住戸245戸含む)。専有面積は30.68~87.01㎡。完成予定は2024年11月下旬(I工区)。設計・施工は長谷工コーポレーション。
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現地は、商品企画が素晴らしかった都公社「ソシア多摩川」を見学して以来30年以上も訪れていないが、緑環境はその後も年々成長しているに違いない。他の地区計画エリアの再生がどうなるか未定の部分もあるが、新しい街に生まれ変わる。多摩川にも近く、住環境としては最高だ。調布駅、狛江駅へのバス便も豊富だ。長期優良、CASBEE(Sになるのか)、ZEHも取得するようだからレベルの高いマンションが期待できる。
着工したばかりなので価格はいくらになるか分からないが、同じ長谷工コーポレーション施工の東京建物他「ブリリアシティ石神井公園アトラス」(844戸)は坪270万円くらいで販売好調のようだ。「多摩川住宅」も負けない。このままの市況が継続すれば単価は最低坪260万円、アッパーで坪280万円くらいではないかと予想する。課題は、他の沿線と比べ割り負けしている京王線の魅力をアピールできるかだ(石神井公園は知っていても、多摩川住宅を知っている人は地元の人くらいだろう)。企画・訴求次第で爆発的な人気を呼ぶ可能性もあるとみた。
「ホ」について。惚れたの「ホ」ではない。イロハニホヘト(色は匂えど)だ。昔の物件名は一郎、次郎、三郎…末男、トメ子と一緒。同じエリアで分譲すると第1、第2、第3…などと付けた。某デベロッパーなどは20以上もある。