「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」外観(提供:三菱地所設計)
三菱地所と東京センチュリーは11月8日、東京駅日本橋口前で開発を進めている「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」街区の「Torch Tower」高層部ホテルにウルトララグジュアリーホテル「Dorchester Collection(ドーチェスター・コレクション)」を誘致すると発表した。開業は2028年度の予定。
Dorchester Collectionは、世界5つの都市(ロンドン、パリ、ミラノ、ローマ、ロサンゼルス)で9つのホテルを有するウルトララグジュアリーホテルブランドで、わが国では初となる。2023年には中東エリア初のホテル「The Lana, Dubai」をオープンする。
記者発表会に臨んだ三菱地所執行役社長・吉田淳一氏は「TOKYO TORCHはプロジェクトビジョン〝日本を明るく、元気にする〟を掲げ、東京の玄関口にふさわしい街づくりを進めている。ホテルはその象徴としての重要な位置づけ。Dorchester Collectionとパートナーを組むことを決定したのは、その哲学に強く共感したからで、場所、歴史に応じた強い個性を持ち、それが伝説に残るホテルを手掛けられている。そして、何よりも『人』を大切にしていることに感銘を受けた。ゲストだけでなく従業員を大事にしており、その人と人のつながりが生み出すホスピタリティが真のラグジュアリーにつながっている。同社が長年培ってきた文化とホスピタリティを吹き込むことにより、この場所でしかできない『唯一無二の体験』をこのホテルは提供できるものと確信している」と語った。
また、Dorchester Collection CEOのChristopher Cowdray(クリストファー カウドレー)氏は「本ホテルは、日本のウルトララグジュアリーホテルを代表し、新たなベンチマークとして位置づけられることになると確信している。東京はアジアの玄関口であり、世界的にも重要な都市であることから、弊社の成長戦略にとって欠かせない場所。私どものビジョンである“We Care”の哲学と価値観を同じくする三菱地所(ブランドスローガン「人を想う力、街を想う力」)と東京センチュリーとパートナーシップを組み、共に歩めることを大変光栄に思います」と述べた。
TOKYO TORCHは、日本・東京の玄関口として「都心観光の核」となることを目指して建設が進められており、日本一の高さとなる62階建て高さ約390mの「Torch Tower」の53階~58階部分にホテルは設けられる。延べ床面積は約21,400㎡。客室数は110室(予定)。「Torch Tower」の着工予定は2023年度。設計監理は三菱地所設計。施工は未定。59~60階には大丸有初の賃貸レジデンスが併設される。
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熱のこもった発表会だった。記者は、ド―チェスターは、小説に登場するイギリス南部の都市であることくらいしか知らないので、このホテルブランドの価値がいかほどか全く見当もつかなかったのだが、スタッフ約4,000人のうち35%が勤続25年以上で、レジェンドと呼ばれる高齢者の方もいるとか。「競合しても負けない」と自信を見せたのは、人材教育・ホスピタリティの質が高いからだろうと理解した。それを支えているのは哲学だろう。
理解はしたのだが、関係者が「ウルトララグジュアリーホテル」「スーパーラグジュアリーホテル」「唯一無二」を連発したのには面食らった。数えたわけではないが、1時間30分の会見の間にそれぞれ4~5度は飛び出した。
これらの言葉からストレートに「超高級ホテル」と書いても隔靴掻痒。読み手にはなんのことやらさっぱりわからないはずだ。書き手のリテラシー、想像力が問われていると思うから、宿泊料金がいくらになるか以下に大胆予測してみた。
記者は、ここに分譲マンションを建てたら坪単価は最低3,000万円と読んでいる。しかも上層階という条件などを加味すると坪単価は4,000万円から5,000万円になるはずで、10坪(33㎡)だと3億円から5億円。分譲すれば瞬く間に売れるはずだ。
この予想はかなり自信があるのだが、ここからが難しい。ホテル価格は変動制で、ましてや海外市場のことなどまったく分からないからだ。ヒントになるのは、最近の同社の大丸有の様々な取り組みと、吉田社長の言葉「マンションなどは『唯一無二』といってもすぐ真似られる。今回のホテルは常にブラッシュアップして他には真似できない本物を追求していく」だし、関係者が語った「マーケットトップを目指す」の言葉だ。となると、おおよその見当はつくのだが…〝ウルトラマンホテル〟〝スーパーマンホテル〟になりそうということに留めよう。
車寄せ(提供:Dorchester Collection)