RBA OFFICIAL
 
2022/11/19(土) 17:45

一石三鳥、四鳥 ビルトインガレージ採用 狭小地の課題解消 ポラス「BASE88」

投稿者:  牧田司

写真3.jpg
「BASE88@NISHIARAI」

 ポラスグループ中央グリーン開発の「BASE88」シリーズ第3弾「BASE88@NISHIARAI」を見学した。道路側の整形地2棟、その奥の旗竿地2棟の4棟の現場だが、4宅地で協定道路を設定し、自転車も置けるビルトインガレージを4棟の中間部分に採用することで、街に対する緑視率を高め、約75㎡の公開空地(コモンスペース)を編み出すなど、一石三鳥、四鳥のプランが光る。

 物件は、東武スカイツリーライン・東武大師線西新井駅から徒歩16分、東武大師線大師前駅から徒歩10分、足立区西新井2丁目の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する全4棟。土地面積は94.23~133.40㎡(共同利用地約8~28㎡含む)、建物面積は105.24~112.90㎡、価格は5,980万~6,480万円。構造は木造2階建(在来工法)。施工はポラテック。

 この種の分譲戸建ては、道路側に4~6台のカースペースを設けるのが通常だが、地面をコンクリで固めるので植栽空間が減り、それぞれ玄関も離れていることから居住者同士のコミュニケーションも生まれづらい難点がある。

 その難点を解消したのがこの物件の最大の特徴だ。まず、旗竿地の2住戸のそれぞれの接道部2m+2mと、整形地の敷地のそれぞれ50cmを協定道路(地役権設定)とすることで幅員5mの道路幅を確保。そして、自転車が置けるビルトインガレージ(建築基準法では延べ床面積の5分の1を上限に容積率に算入しない)を4棟の中央に配することで、前面道路側に植栽空間を確保。さらに各住戸の玄関が近くなることから、コミュニケーションが自然と生まれるようにしている。ガレージは照明・コンセント付きなので、車を所有しない人は多目的に利用できるのも〝味噌〟だ。

 同社ブランディング課マネージャー・杉山秀明氏は、「自転車にフォーカスした『BASE88』ブランドの第一弾として『練馬光が丘』の34棟を分譲したところ好調裡に完売。2021年のグッドデザイン賞も受賞した。今回は、自動車にもチャレンジした。奥の住戸から売れたことからも、商品企画は間違いではなかったことが確認できた。狭小敷地の新しい開発手法として今後も供給していく。『BASE88』の“88”には、車や自転車の車輪のように見える“8”、横にしたら“∞無限大”にもなり、パパ”とも”母”とも読め、末広がりの”八”でもある」と語った。

 同社設計部企画設計課課長・河内忠夫氏は、「ビルトインガレージにするのは、車を持っていない人のことを考えると抵抗感もあったが、通常3m弱のガレージ幅を3.1mに広げることで自転車も置けるようにし、街に対して緑視率を高めることができた。敷地延長の奥の住戸は2階リビングとすることで日照を確保できた」と話した。

写真2.jpg

IMG_4924.jpg
河内氏(左)と杉山氏

◇      ◆     

 同社広報から取材の誘いを受けたとき、前期(2022年3月期)の分譲戸建ての契約戸数が3,050棟もあり、本拠地の西新井の4棟現場が好調だからといって、取材する価値があるのかと迷ったのだが、現場取材には基本的にNOと言わないので受けることにした。

 大正解だった。広々とした公開空地が設けられているのを見たとたん飛び上がらんばかりの感動を覚えた。もう7年前だが、細田工務店の「グローイングスクエア杉並成田西グランフィールズ」を取材したとき、車庫・玄関スペースとは別に扉付きの自転車置き場が設けられていたのを思い出した。先日は100坪も敷地があるのに、植栽どころか雑草も映えないように地面はコンクリで固められていた分譲戸建てを見たばっかりだ。

 ポラスグループも物件によっては自転車置き場を設けるケースもあるようだが、今回のように自転車と自動車に焦点を当てた企画は初めてという。様々な工夫を凝らすことで、狭小住宅地の難点・課題を一挙に解決している。

 自転車を雨ざらしにしなくて済むことでサビなどの傷みを防ぐことができ、いたずらや盗難のリスクも軽減できる。車や自転車を利用しない人は物置など多目的用途に使える。

 他にも利点はある。外からの視線を気にして道路側のリビングはカーテンを閉めっぱなしの家庭は多いはずだが、今回の物件の南道路に面した2棟の1階リビングは高窓とし、掃き出し窓はそれぞれオープンスペースに面した東側と西側に設けていることだ。これで採光・通風も確保できる。

 価格差はそれほどないのに、道路側の住戸より旗竿地の奥側の住戸が先に売れたということでも商品企画の確かさが証明されている。車を持たない層が増えているので、これは受けるはずだ。このような取り組みを行うから年間3,000棟超を販売できるのだろうとも思った。

 課題も見えた。緑被率・緑視率の視点からすれば、いっそのこと境界ブロックも取り払い、植栽帯にしたらどうか。雑草をどうするかの問題もあるが、芝生より丈夫で雑草を寄せ付けない特徴がある「ダイカンドラ」はいいと思うが、どうだろう。

  整形地1号棟のプランENR53101.pdf  旗竿地25号棟のプラン ENR53102.pdf  

 旗竿地3号棟のプラン ENR53103.pdf  整形地4号棟のプラン  ENR53104.pdf

IMG_4819.jpg
敷地は100坪もあるのにぺんぺん草も生えない南栗橋駅圏の調整区域の開発(デベロッパーもひどいが久喜市の責任はより大きい)

 

細田工務店 「低炭素住宅」「環境共生」ダブル認定の「杉並成田西」(2015/12/21)

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン