野村不動産ホールディングスは11月28日、東京都奥多摩町が保有する約130haの森林について30年間の地上権設定契約を2022年9月に締結し、地産地消を目指す「森を、つなぐ」東京プロジェクトの取り組みを進めると発表した。
森林の川上(林業)⇒川中(加工)⇒川下(消費)をつなぎ、森林サイクルを再構築し、地球環境保全、土砂災害防止機能、水源涵養などの森林の有する多面的機能の回復に貢献するのが目的。
「つなぐ森」は約130haで、樹種はスギ、ヒノキの人工林が74.2%、広葉樹の自然林が25.8%。主伐、間伐、植林などを適切に行うことで、30年間で森林のCO2吸収量は約16,600t (森林放置時の約1.4 倍)を見込んでいる。管理は東京都森林組合に委託する。
伐採を予定しているのは約500㎥で、2025年に本社機能を移転する「芝浦プロジェクト」のトライアルオフィス床に「つなぐ森」の木材を活用するほか、同社グループの事務所、店舗などの内装材や住宅・オフィスにも活用していく予定。
奥多摩町は東京都の面積の約1割で、面積の94%を森林が占め、都民の水源地として知られているが、伐採適齢期を迎えているにも関わらず伐採されない森林も多く、人口はかつての約15,000人から3分の1の約5,000人に減少。空き家の発生などの社会課題も抱えている。
同社と同町が2021年8月に締結した「持続可能な社会の実現に関する包括連携協定」では、地元の産業・雇用の創出などにも貢献していくことが盛り込まれている。
オンラインの記者説明会で同社執行役員サステナビリティ推進担当 兼 コーポレートコミュニケーション部、サステナビリティ推進部担当・中村篤司氏は「伐採を予定している500㎥は多くはなく、現段階で住宅の構造材として利用することはコスト、耐火基準などの壁があり難しい。まずは身の丈から始め、脱炭素社会の実現に貢献するよう取り組んでいく」と話した。
師岡伸公・奥多摩町長(左)と沓掛英二・同社代表取締役社長