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2022/12/01(木) 21:46

「物流」に「AI」 ドライバーに「愛」 大和ハウス&日立物流 コンテスト説明会

投稿者:  牧田司

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左から加藤氏、秋葉氏、佐藤氏、坂村氏、浦川氏(羽田イノベーションシティで)

  大和ハウス工業、日立物流、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所の3者は12月1日、ロジスティクスデータ活用コンテスト「大和ハウス工業 スマートロジスティクス オープンデータチャレンジ」を2022年12月9日から開催すると発表した。同日、メディア向け説明会を実施した。大和ハウスグループはこれまでこの種のコンテストを3回行っており、今回が4回目の開催。

 コンテストは、日立物流の安全運行管理ソリューション「SSCV-Safety」(Smart & Safety Connected Vehicle)から得られる実際の物流(ロジスティクス)システムのデータを公開(オープンデータ化)し、その有効利用方法を競うもの。AIをはじめとしたデジタル技術を用いた新たなサービスやアプリケーションの提案を、国内外問わず一般の方から募集する。

 また、コンテストの趣旨への理解を深めてもらうためのTRON(トロン)シンポジウム「2022 TRON Symposium -TRONSHOW-」(開催日:2022年12月7日~12月9日、場所:東京ミッドタウン)の中で、「『大和ハウス工業 スマートロジスティクス オープンデータチャレンジ』シンポジウム」(12月9日(金)15時00分~16時30分)を開催する。

 物流業界では人手不足や長時間労働といった課題を抱えており、コンテストを通じて大和ハウス工業と日立物流が目指す「スマートで安全な物流」を、デジタル技術と開発者の知恵を借りして実現するのが目的。

 説明会の冒頭、大和ハウス工業取締役常務執行役員 建築事業本部長・浦川竜哉氏は、「労働時間の上限規制が適用される2024年問題をはじめ、人手不足、労働環境など物流業界は大きな課題を抱えており、今回のコンテストが持続可能な物流業につながることを期待している」と語った。

 羽田みらい開発SPC統括責任者、鹿島建設開発事業本部事業部長・加藤篤史氏は「『HANEDA INNOVATION CITY(羽田イノベーションシティ)』は、当社や大和ハウス工業さんら9社連合の先端技術と日本文化の融合をキーワードに、新産業創造・発信拠点として開発を進めているもので、デジタル基盤整備、クリーンエネルギー、無人自動車運転、警備ロボットの実装を進めている」と街づくりについて説明した。

 東洋大学情報連携学部INIAD学部長、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所長・坂村健氏は「データの公開はここ10年間で世界的に広がっており、本流・潮流になっている。私も関わった東京都の新型コロナのオープンデータもその一つ。大和さんはこの種の取り組みでもっとも積極的」と称えた。

 日立物流執行役専務 営業統括本部長・佐藤清輝氏は、「2015年の半年間に同じ事務所で3件の漫然運転による事故が起きたのがSSCVを開発するきっかけ。ドライバーを被害者にも加害者にもさせない、事故を未然に防止するのが目的。2016年以降、社内の1,300台に導入したが、事故はゼロ、コストはCO2排出量を7.4%削減し、車両コストは9,000円/月/1台削減した。最初は〝どうして監視されなきゃいかんのだ〟といった声もあったが、家族も安心なことからみんな喜んでもらっている。システムのリース料は1事務所当たり月額1,000円。物流業界は99%がアナログの世界。みんながシステムを共有することでドライバーのなり手が増え、収入も増えるようにしたい」と語った。

 フレームワークス代表取締役社長CEO・秋葉淳一氏は「以前から佐藤さんに話をうかがっており、オープンデータはとても大きな価値があると思っている。ドライバーだけでなく、いろいろなケースで活用ができるのではないか」と話した。

 コンテストの応募期間は2022年12月9日(金)~2023年6月30日(金)。表彰式は2023年8月の予定。募集内容は、日立物流の安全運行管理ソリューション「SSCV-Safety」から得られデータ・映像を活用した作品(アプリケーション、Webサービスなど)と研究論文。賞金総額: 500万円(最優秀賞200万円、優秀賞50万円×4本)、その他特別賞。

 詳細は専用サイトhttps://daiwa-open-challenge.jp

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 大和ハウス工業から説明会の案内が届いたときは、物流はよく分からないし、車の免許を持たず、スマホすら満足に扱えず、ユビキタスやトロンの意味もさっぱり分からないので、スルーしようかと考えたが、説明会会場の未来都市「天空橋」で何か新しい発見もあるかもと取材を申し込んだ。

 結果は大正解。知らないことばかりに衝撃を受け、必死になって説明者の言葉をメモした。

 とりわけ、日立物流の佐藤氏の話は〝目からうろこ〟だった。佐藤氏の強い意志、熱意が技術者を動かしたのだろう。同社の経営理念には「日立物流グループは 広く未来をみつめ 人と自然を大切にし 良質なサービスを通じて 豊かな社会づくりに 貢献します」とある。

 「SSCV-Safety」には、①車両の位置情報②加速度情報③ドライバーのバイタルデータ(測定日時、体温、血中酸素濃度、血圧(最高血圧・最低血圧)、自律神経機能値、運転中の疲労度と注意レベル)④ヒヤリハット発生イベントデータ(イベントの種別、日時、位置情報など)⑤ヒヤリハット発生時の映像-が搭載されているが、ヒヤリハット発生時の映像を瞬時に「伐り出し」できるものは他にないということだった。

 記者はドライバーだけでなく他の用途にも活用できないかと質問した。佐藤氏は「バスでのトライアルは始まっており、消防車、生協、弁当配達などから引き合いがある。個人? 可能性としてはあるが…」と話した。

 佐藤氏の話を聞きながら、記者は4年前の大和ハウス工業のTVCM「物流×AI」を思い出した。役所広司さんは「物流×AI」の「AI」を日本語の「愛」に置き換え〝物流の未来を変えるんだ 「愛」をローマ字にすると「AI」になるんだ 「AI」は、そうなんだ、「愛」なんだ〟と躍った-〝ドライバーを被害者にも加害者にもさせない〟-これも「愛」だ。

 書き忘れた。隣接の「羽田エアポートガーデン」もいいが、「羽田イノベーションシティ」もまたいい。喫煙所は各所にある。マンションを建設したら申し込みが殺到すると思うが、地区計画はどうなっているのか。

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羽田イノベーションシティ

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何かのイベントのようで数百人の女性が詰めかけていた

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