マンション管理業協会は1月12日、令和5年新年賀詞交換会を開き、同協会理事長・高松茂氏(三井不動産レジデンシャルサービス会長)は次のように挨拶した。
皆さんあけましておめでとうございます。
理事長の高松でございます。
年頭に当たり新年のご挨拶を申し上げます。
まず、本日は3年ぶりの賀詞交歓会に、斉藤鉄夫国土交通大臣をはじめとする国会議員の先生方そして国土交通省をはじめとする多くの関係者の皆様にご臨席いただき厚くお礼を申し上げます。
丸3年となるコロナ禍は、日本政府の舵取り、医療関係者の努力により、経済活動が緩やかに再開しつつあります。
一方で、ロシアによるウクライナ侵攻による資源価格の高騰など、コスト上昇圧力が、当業界含め、今後の国内経済の課題となっています。
マンション管理につきましては、昨年は大きなトピックスがあった年でした。まず昨年4月に国の管理計画認定制度が施行されました。
認定制度の目指すところは、適正な管理・修繕の実施により、マンションストックの長寿命化を図ることにあります。さらに12月には、同認定を受けたマンションを対象とした「マンション長寿命化促進税制」が与党税制改正大綱に盛り込まれました。
当協会がかねてより要望を続けていた事項が初めて取り上げられたものと理解しており、ご尽力いただいた先生方、国土交通省はじめ関係者の皆様に深く感謝しております。
次期通常国会で関連法案が成立した暁には、本税制を管理組合に適切に説明することで、将来に向けた修繕積立金の積み増しが可能となり、適時必要な修繕工事の実施につながるものと、大いに期待しているところでございます。
また、当協会は、認定制度と同じく昨年4月にマンション管理適正評価制度を始動させました。
評価制度は、管理組合が管理の状況を毎年チェックし等級評価するもので、いわば人の健康診断と同じく良いところ、悪いところを自己確認していくものです。
令和5年1月5日時点で215件の登録があり、協会HP上で情報を公表しています。また、不動産ポータルサイトや流通事業者のHPともリンクしています。
この「管理の見える化」によってマンションの良質な管理が、資産価値、居住価値の維持・向上にも繋がって行く大事な制度と考えています。
当協会は、評価制度の社会的定着に向け、令和6年度末までの3年間で1万件を超える登録を目標とする機関決定を行いました。
この実現に向け、今後、評価制度の適正かつ円滑な運用のためシステムの改善を継続して参ります。
また国の認定制度と評価制度の一括申請を可能とするワンストップサービスを実施しておりますが、より申請者や地方公共団体が利用しやすいよう改善を図って参ります。
合わせて評価制度の登録促進に有効な損害保険のインセンティブの実現に向け、引き続き関係機関との折衝を進めて参ります。
建物と人、いわゆる2つの高齢化は待ったなしの状況です。築40年以上のマンションストックは2021年末現在で115万戸、10年後には2.2倍の249万戸、20年後には3.7倍の425万戸に急増する推計もあります。
ここに住まう居住者の方々の高齢化も進んでおり、役員の担い手不足による組合運営の機能不全、積立金不足により適切な工事の未実施からなる建物の不具合の進行など、ソフト、ハード両面からの管理不全が懸念されます。
このため当協会は管理組合活動をサポートするマンション管理会社の団体として、管理組合運営を円滑化するための諸施策を強く推進して参ります。
一方、従前より申し上げているマンション管理業界の成長発展と社会的評価の向上、業界従事者の処遇の改善と社会的地位の確立については、評価制度による業務の「見える化」の推進、適切な業務水準の確保と幅広い人材活用ならびにDX化も視野を置いた、標準管理規約、標準管理委託契約書の改正について関係機関との協議を進めて参ります。
また社会的評価の向上は業界の信頼確保と表裏一体のものです。このため協会の基幹業務である会員会社のコンプライアンス体制の整備、各種試験講習の的確な運用、厳正な入会審査と与信管理の徹底等、web化を含め進めて参ります。
当協会は本年も様々な課題に積極的に取り組んで参ります。
そして、こうした諸施策を次期中期事業計画としてまとめ、令和5年度より実施して参ります。
結びに、関係各位の協会活動への一層のご支援とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様のご健勝、またご活躍を心よりお祈り申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。