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2023/01/17(火) 16:44

金利先高観 消費マインドへの影響は 目が離せない展開へ レインズ 流通動向調査

投稿者:  牧田司

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は1月13日、2022年12月の首都圏不動産流通市場動向をまとめ発表した。中古マンションの成約件数は2,835件で前年比1.6%減少し、5か月連続で前年同月を下回った。成約㎡単価は69.94万円(230.8万円)で前年比9.0%上昇し、20年5月から32か月連続、成約価格は4,373万円で同6.2%上昇し20年6月から31か月連続で前年同月を上回った。専有面積は62.52㎡で前年比2.5%縮小し、21年6月から19か月連続で前年同月を下回った。

 地域別では、成約件数は東京都区部以外の各地域が前年比で減少が続き、横浜・川崎市と埼玉県は12か月連続で前年同月を下回った。成約㎡単価はすべての地域が前年比で上昇が続き、東京都区部は32か月連続、横浜・川崎市と埼玉県は31か月連続、千葉県は29か月連続、神奈川県他は25か月連続、多摩は22か月連続で前年同月を上回った。

 中古戸建て成約件数は1,036件で前年比マイナス10.5%の2ケタ減となり、12か月連続で前年同月を下回った。成約価格は3,872万円で前年比8.7%上昇し、20年11月から26か月連続で前年同月を上回った。地域別動向では、成約件数は千葉県以外の各地域が前年比で減少が続き、東京都区部と多摩、埼玉県は12か月連続で前年同月を下回った。成約価格はすべての地域が前年比で上昇し、千葉県は22か月連続、神奈川県他は18か月連続、東京都区部は12か月連続、埼玉県は8か月連続で前年同月を上回った。

◇      ◆     ◇

 中古マンション、中古戸建とも成約件数は減少を続ける一方で、成約価格と㎡単価は上昇し、新規登録件数、在庫件数が増加し続けている。このデータをどう読むか。

 中古マンションの成約件数だが、コロナ前の2019年はほぼ毎月3,000件前後で推移しており、減少が顕著というよりはコロナ前の水準に戻ったと解すべきだろうと思う。

 それより注目すべきなのは価格・単価の上昇と面積の縮小だ。2022年12月と2019年12月を比較すると、価格は2019年12月の3,550万円から23.2%、㎡単価は27.4%それぞれ上昇し、逆に専有面積は3.3%減少している。

 価格・単価上昇率は異常とは言えないまでもかなり高く、専有面積の縮小と合わせ、市況は高止まり、踊り場に差し掛かっているのではないか。

 単価水準は平均的な需要層の取得限界に近付いている。記者は無理なく取得できる坪単価は今も昔も坪250万円とみており、それでも活況を呈してきたのは低金利のお陰だ。

 その肝心の金利が転換期を迎えた。日銀の金融緩和政策の軌道修正だ。長期金利の変動幅を従来の「±0.25%程度」から「±0.5%程度」に変更したのは、明らかに住宅市場にはマイナスだ。1.5%の変動幅自体は大きくないが、物価高もあり住宅購入検討者のマインドを冷やすことになるのは間違いない。中古マンション価格は4,000万円を超えると鈍くなると言われており、現状でもそれをはるかに超えている。価格を引き下げようにも、専有面積圧縮も限界だ。この先、どう動くか注視が必要だ。

 ひとつだけ楽観的な見方をすれば、新築マンション市場は引き続き供給減少が続き、価格も上昇する気配を見せており、その分だけ中古価格の割安感は増すことだ。基本性能・設備仕様レベルも現在分譲されている物件より10年くらいの物件のほうが相対的に高いものも少なくない。一筋縄では計れない市場に突入するのではないか。

 中古戸建ても同様のことが言えそうだが、成約価格は中古マンションと約500万円の差がある。これが今後の市場にどのような影響を与えるか。

 いずれにしろ、ここ1~2か月の動向から目が離せない。これまでの市場のターニングポイントはカレンダー変わりにあったからだ。年明けとか年度変わり、ゴールデンウイーク、夏休み明けだ。

 

 

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