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2023/02/13(月) 18:20

踊り場に差し掛かった中古マンション市場 金利動向から目が離せない レインズデータ

投稿者:  牧田司

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は2月10日、2023年1月の不動産流通市場の動向をまとめ発表。首都圏の中古マンション成約件数は2,581件(前年同月比6.5%減)となり、6か月連続して前年同月を下回った。新規登録件数は16,588件(同31.7%増)、在庫件数は43,688件(同19.3%増)で、在庫件数は12か月連続で前年同月を上回った。

 成約価格は4,276万円(同3.1%増)で、20年6月から32か月連続で前年同月を上回った。成約㎡単価は68.31万円(坪単価225.4万円)となり、前年同月比6.4%上昇、20年5月から33か月連続で前年同月を上回った。前月比では2.3%下落した。

 新規登録㎡単価は74.31万円(同245.2万円)となり、前年同月比6.2%上昇、前月比も1.9%上昇した。在庫㎡単価は73.94万円(同244.0万円)㎡となり前年同月比4.1%上昇、18年2月から60か月連続で前年同月を上回った。前月比もプラス0.7%となった。専有面積は62.61㎡(同3.2%減)となった。

 地域別では、東京都区部の成約㎡単価は100.05万円(同330.0万円)となり、前年同月比5.5%上昇、20年5月から33か月連続で前年同月を上回った。このほか神奈川、埼玉、千葉とも成約単価は上昇したが、多摩は50.11万円(同165.4万円)となり、21年2月以来23か月ぶりに前年同月を下回った。

 中古戸建て住宅の成約件数は946件(前年同月比5.1%減)、13か月連続で前年同月を下回った。成約価格は3,827万円(同9.4%上昇)、20年11月から27か月連続で前年同月を上回った。土地面積は151.94㎡(同7.1%増)、建物面積も104.09㎡(同0.2%増)となった。

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 この中古マンションデータをどう読むべきか。在庫数の5.9%(過去1年間で在庫数に占める成約比率がもっとも高かったのは2022年3月の9.0%)しか成約しないのに、新規登録数も新規登録単価も上昇しているのは、一般的な商品ならあり得ない。賞味期間がある食品類なら〝投げ売り〟〝大暴落〟してもおかしくない。

 そうならないのは、〝ハコ〟としての住宅の耐用年数は無期限とまではいかなにしろ、向こう100年は顕在(「マンションは廃墟化する」などと、「国家は死滅する」と言ったマルクス・エンゲルと同じような過激なことを仰る方はいるが)だからであり、もう一つは、分譲マンションの賃貸化が進んでおり、売り急ぎなどの事情ではなく、投資対象として市場に出回っていることが考えられる。

 マンションの賃貸化に関する正確なデータはないが、首都圏のストック数を約400万戸とすると、少なくともその10%、40万戸以上は賃貸化されていると推測されている。レインズの在庫件数は賃貸化されているマンションの10分11と考えれば、決して多くない。空き家になっている物件もあるだろうが、賃貸利回りと天秤にかけ、売却したほうが得と考える投資家が多いということなのだろう。

 であれば、今後の中古マンション市場は金利、賃貸、新築マンション市場動向などによって大きく変化するということだろう。踊り場に差し掛かっているともいえそうだ。

 もう一つ、成約、新規登録、在庫の単価がほぼ一貫して上昇を続けている一方で、成約専有面積は反比例するように縮小していることに注目している。2023年1月の専有面積は62.61㎡(前年同月比3.2%減)となっており、過去10年間では2013年1月の66.44㎡をピークに減少し続けている(暦年の最大面積は2009年の65.79㎡)。2013年1月比では3.83㎡(1.16坪)、5.8%減少していることになる。

 さらにもう一つ注視したいのは、成約単価の上昇率が鈍化していることだ。上昇率は2022年12月の9.0%に引き続いて2カ月連続して10%を下回った。また、在庫単価上昇率も2022年7月以降は10%を割っており、2023年1月は4.1%増にとどまった。

 これらの数値から、実需としての中古マンション市場もまた踊り場に差し掛かっていると言えるのではないか。金利動向から目が離せない展開がしばらくは続きそうだ。

 

 

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