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2023/03/25(土) 18:39

またショック 全国10万人以上259市の地価公示 下落率最大はわが故郷・伊勢市

投稿者:  牧田司

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伊勢神宮外宮(2016年写す)

 わが多摩センターからホテルが消え、四季折々の美しい草花をパルテノン大通りに咲かせてくれている恵泉女学院大学の閉学が決まったことにショックを受けているのに、今度はわが故郷・三重県伊勢市の住宅地の地価公示は10年前と比較して24.7%下落しており、人口10万人以上の全国259市の中で最大(ワースト)の下落率であることが分かった。Unbelievable!なぜだ!

 別表を見ていただきたい。 10万人以上地価公示変動率.)、変動率上位50市.)、 変動率ワースト50市)。人口10万人以上の全国市259(東京特別区は除く)のうち10年前の2013年比で住宅地の地価公示がプラスなのは156市で、下落しているのは100市(変動率ゼロは3市)。平均の変動率は9.9%上昇となっている。

 変動率トップは76.2%上昇の札幌市で、以下、大野城市、福岡市、江別市、仙台市、春日市、宜野湾市、筑紫野市、那覇市、浦添市がトップテン。ほぼ50%以上上昇している。

 大野城市、春日市、筑紫野市は福岡市に隣接しており、この4市と札幌市、そして3市の沖縄県がトップテンに入っているのは注目される。マンションの価格上昇も著しい。

 隈研吾氏が設計したことで話題になった札幌市の高級住宅街の低層マンション「プロスタイル札幌 宮の森」は坪単価700万円でも、首都圏中心の富裕層に人気と聞いている。札幌駅周辺の再開発マンションも坪単価は400万円を突破している。東京23区並みだ。

 福岡市の大和ハウス工業「プレミスト大濠二丁目」も坪単価520万円ながら残りはわずか。再開発が進んでいる「天神」エリアでは坪400万円くらいになっているという。

 早期完売したサンフロンティア不動産の分譲ホテル「HIYORIオーシャンリゾート沖縄」(203室)は坪単価350万円くらいだと思われる。

 このほか上昇が目立つのは仙台市、広島市、名古屋市、さいたま市などの中核都市のほか首都圏・首都圏近郊ではいわき市、木更津市、武蔵野市、つくば市、習志野市、浦安市、三鷹市、川口市などの上昇も目立っている。今年の変動率で上位を独占した東広島市は49番目(10年くらい前から上昇していたということか)。

 一方、24.7%下落の三重県伊勢市が変動率ワーストで、以下、桐生市、焼津市、足利市、栃木市、霧島市、那須塩原市、上越市、松阪市、尾道市がワースト10。三重県が2市、栃木県が3市入っている。

 このほか、県庁所在地では甲府市、水戸市、鳥取市、青森市、首都圏では横須賀市、秦野市、取手市、小田原市、野田市、平塚市など都心へのアクセスに難のある市がワースト50に入っている。

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伊勢神宮内宮(同)

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河崎町(同)

◇        ◆     ◇

 伊勢市と言えば、年間800万人以上が訪れ、毎年、総理大臣も正月にお参りする皇祖神の女神・天照大神(あまてらすおおみかみ)が鎮座する伊勢神宮があり、お伊勢さんマラソンとしても知られているので、数少ない全国区の市のはずだ。

 その伊勢市が、全国で259ある人口10万人以上の市の中で下落率が最大(ワースト)とはどういうことか。(全国唯一の再生再建団体である人口6,734人の北海道夕張市の下落率38.2%と比べれば上位だが)

 早速、伊勢市駅近くの不動産会社に電話で聞いた。予想したとはいえ、絶望的な返事が返ってきた。「地価公示はわれわれがはじいた数字ではありませんが、やむを得ないですね。市にはおかげ横丁しかありませんから。人口流出も松阪市や津市のほか、福祉サービスで勝る隣接の玉城町、明和町に移る人も少なくありません。全国区の大企業は1社(横浜ゴム)しかありませんし…。活性化? 難しいですね」

 市の公表データからも明るい展望は見えてこない。令和2年3月版の伊勢市人口ビジョンによると、2060年の将来人口は、平成25年基準推計によると約66,000人で、現在の約12.3万人からほぼ半減すると推測している。空き家総数は2013年の8,640戸から2018年の8,990戸に増加(現在は、住宅戸数のほぼ2割と記者はみている)。

 高校生・大学生に対するアンケート結果も深刻だ。高校生・大学生とも伊勢市への愛着は約7~8割と高いにも関わらず、「就職先が豊富である」と回答した高校生は2.3%、大学生は何と0.0%だ。

 市は不動産会社にもヒアリングを行っているが、これまた、手厳しい指摘がほとんどだ。「生産年齢人口の減少に伴って、住宅需要が減少しているように感じる。人口がより多い県内の他市に比べると、物件の見学客数そのものが少ない。事業用物件のニーズも少ない」「仕事を探す目的で伊勢に住むニーズはあるが、安定した仕事が見つかりにくいという理由で転出するケースも少なくないと感じる。定住人口の増加に向けては、雇用対策が急務である」「伊勢神宮中心の観光振興では定住人口を増やす効果には限界がある。神宮に頼ってばかりではなく新しい経済対策が必要で、若者やよそ者の発想を受け入れる体質づくりが必要である」

 就業構造にも問題があるようだ。もっとも就業者数の多い製造業では、市外に通勤している人のほうが、市外から通勤している人より多い。つまり、市内の製造業での働き口が少ないということだ。

 このような事情から、平成28年度の(雇用者報酬+財産所得+企業所得)÷人口=1人あたり市町民所得額は282.7万円で、三重県平均の315.5万円を下回っている。

 同ビジョンでは、「全国と比較した稼ぐ力(地域の特色)をみると、ゴム製品製造業や宗教、水運業…などは独自性が高い産業であり、市外からお金を稼ぐ産業として成長を支援するとともに地域外への移転を防ぐ必要性が高い」としている。

 市の最大の観光資源である伊勢神宮だが、その観光客の圧倒的多数は市内に宿泊せず、素通りして鳥羽・賢島方面に流れていることも見逃せない。市の観光統計によると、令和4年の宿泊客は72.2万人で、ここ数年間は漸増しているが、コロナ前の170~180万人の鳥羽市、約150万人の志摩市と比べると半分以下だ。

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 記者は三重県が誇れるものは伊勢神宮、赤福、的矢の牡蠣だと思っているのだが、もう一つ女性の美しさも追加したい。心が美しいという意味で、容姿とか外貌のことを言っているのではない。気候が温暖で、争いを好まず伊勢を中心に京都の文化を受け継いでいるからではないかというのがその理由だ。〝近江泥棒、伊勢乞食〟というのは県民性をよく表していると思う。

 記者だけでなく、三重県の女性がトップという調査結果があることを初めて知った。女性の体型を表す指標「PI(プロポーションインデックス)」をもとにダイアナが発表している「都道府県別・女性体型メリハリ度調査」だ。これによると三重県の女性は2016年と2017年でトップになっている(2020年は5位)。「健全な精神は健全な肉体に宿る」ということか。

 にもかかわらず、データは逆だ。先の市のビジョンによると、女性未婚者の20代以下の7割弱、30代の5割に結婚願望があると答えているが、未婚率は35.6%と県平均より高く、20代の約8割、30代の約3割が独身で、その主要因は「出会いがない」「理想の相手に出会えていない」とある…男性も頑張れ。

 長谷工不動産は、市内のかつての一等地・伊勢市駅前の「伊勢市駅前C地区第一種市街地再開発事業」(102戸)の権利変換計画認可を受けたと発表した。竣工予定は令和7年度。記者は坪単価150万円くらいに見ているが…。

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伊勢市民も食べないかいづ(記者は、味はともかくこれほど美しい夫婦和合の図はないと思う)

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  10万人以上地価公示変動率 (回復済み).xlsx上位50市.pdf

 

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