RBA OFFICIAL
 
2023/04/23(日) 09:04

ナイス 木造2階建て八角堂の保育施設「Rita School」完成 雄鶏も歓迎の時(鬨)の声

投稿者:  牧田司

IMG_6393.jpg
「Rita School(リタ スクール)利他の郷」

 ナイスは4月21日、同社が施工を担当した横浜市戸塚区の保育施設「Rita School(リタ スクール)利他の郷」の完成現場見学会を開催した。同社グループが構造計算から施工(元請け)に至るまで一気通貫で対応した延べ床面積約340㎡の木造2階建て。内外装に同社オリジナル商品を採用するなど、自然素材をふんだんに用いているのが特徴だ。

 物件は、横浜市戸塚区吉田町に位置する建築面積約245㎡、延べ床面積約340㎡木造2階建て。旧東海道に面している。工期は2022年10月~2023年4月。設計は小野建築設計室。事業主は大覚寺真言宗宝蔵寺。木造使用量は躯体材が75㎥(うち国産材24㎥)、内装材が国産材11㎥。炭素貯蔵量は69t-CO2(189人が1年間に呼吸で吐き出すCO2に相当)。

 建物の1階は一般にも開放する三和土付きの「学びカフェ」、幼児用トイレ、フッドデッキ、八角堂(保育室)など、2階は八角堂(吹き抜け空間)、キャットウォーク、貸室2室、ルーフバルコニーなど。敷地の高低差を生かし、4層にも5層にも見えるよう設計されており、八角堂の天井高は9m、最大スパンは11m。

 「みんなの寺」をモットーとし、子どもたちが日本の風土を感じられるよう、自然素材を多用してほしいという事業主の要望に応えるため、サイディング、ルーバー、床材、羽目板などには同社オリジナルの宮崎県産飫肥杉の赤身のみを商品化した「ObiRED」を採用し、強度の必要なところは特許商品の「Gywood(ギュッド)」加工を施している。柱材はヒノキ。躯体材は欧州赤松。

 また、天井・壁面仕上げには、柿渋の抗菌・消臭・防腐力、漆喰の強さ、珪藻土の調湿力を兼ね備えるパーシモン社のパーシモンEウォールを採用しているのも特徴の一つ。

IMG_6380.jpg
八角堂

IMG_6384.jpg
薪ストーブ

IMG_6386.jpg
1階(手前が三和土)

◇        ◆     ◇

 同社が施工した木造建築物は結構取材している。みんないいのだが、今回は柿渋タンニンと米ぬか油、ごま油、桐油、ひまし油などの植物油を混ぜて壁などを仕上げているのに驚いた。

 柿渋は、記者の田舎でも漁網や住宅のいたるところに使用されていたのを知ってはいたが、現在はどこのハウスメーカーもデベロッパーも使用していないはずなので、この日、実演を行ったパーシモン社エイブル・エンジニアリングラボの林育美氏に「高価だから使わないのですか」と聞いたら、林氏は「いえ、そうではありません。1㎡当たり250円。石油そのものの輸入製品はこの3倍の値段です。油も自然油、唯一無二の柿渋のよさをみんな理解していない、勉強していないだけです」と即座に答えた。

 「石油そのもの」という言葉に頭をどやされた気がした。クロスには紙や布、まれに本革も採用されるが、ほとんどがケミカル製品の塩ビクロスだ。これは考えないといけない。

 住宅リフォームにも最適で、ビニールクロスの上にそのまま塗るだけで済むそうだ。カラーバリエーションは25色もある。和紙クロスも販売されている。

IMG_6389.jpg
パーシモンEウォール

IMG_6391.jpg
塗り壁実演

◇        ◆     ◇

 さすが寺院の「利他の郷」だと感服したのだが、刮目すべきことはほかにもあった。保育施設の奥まったところに本堂があるのだが、その一角にはヤギやニワトリの小屋のほか、1羽の雄鶏が飼育されていた。田舎で飼っていた玉子を産む雌鶏より一回り大きく、威風堂々そのもの。近づいても動じる気配はなく、頸を高く伸ばし、鋭い眼光で記者を睨みつけ〝コケコッコー(クックドゥードゥルドゥー)〟と一喝した。その時(鬨)を告げる声は気高く、寺院の雄鶏は格が違うと畏怖すら覚えた。

 雄鶏だけではない。本堂の男子用トイレには水を流さない小便器が採用されていた。女子用トイレを利用した人にも聞いたら同じ無水の和式トイレだったそうだ(小水はどのようにして流れるのか、傾斜が掛かっているのだろうか)。

 まだある。樹齢数百年と思われるイチョウの巨木には3匹のリスが生息していると教えられた。記者も目撃した。体長は尻尾を含めると30cmくらいあった。ほとんど真っ黒。樹皮にしがみつき移動する様はかわいいというより不気味。人間を恐れる様子もなかった。

 図鑑や映像でみるニホンリスでも中国で見たリスでもなかった。どうやら、日本全国で大繁殖している2005年に特定外来生物に指定されたタイワンリスのようだ。

 唯一無二の柿渋仕上げの八角堂で学び(英語も教えるそうだ)、ヤギやニワトリ、リスとも会話することができる「Rita School」は素晴らしいではないか。ただ、中国ではリスに近づいたら、現地の人に「人を襲うから危ない」と注意された。タイワンリスも狂暴化しないことを祈るのみだ。中国と台湾は違うのか。蛇足。

IMG_6397.jpg
雄鶏

IMG_6399.jpg
ヤギ(後方にニワトリ)

IMG_6400.jpg
無水トイレ

IMG_6403.jpg IMG_6409.jpg
タイワンリス(左の写真の立札の上の黒っぽいのがリス)

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン