高松氏(第一ホテル東京で)
マンション管理業協会(理事長:高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス取締役会長)は6月13日、第44回定時総会後に懇親会を開催し、総会で令和4年度の事業報告・決算を承認し、総会後の理事会で新たに3名の副理事長を選任したと発表した。懇親会には300名弱が参加した。
懇親会の冒頭、高松理事長は、昨年度1年間を振り返り、エポックメーキングとしてマンション管理適正評価制度がスタートしたことを紹介し、今年度からスタートする「中期事業計画2023-2025」では、マンション管理業の社会的役割として①適正管理の重要性を広く社会へ浸透させていく②管理組合に適正な業務を提供するための労働環境改善と管理会社内での人材確保・育成③円滑な計画的修繕の推進④区分所有者の高齢化や複雑化する管理組合運営に資するための施策-の4つを挙げた。
そのための具体的な3つの基本施策として①マンション管理適正評価制度の社会的定着②マンション管理業界の働き方改革とDX推進③管理組合運営円滑化のための提言推進を掲げたとし、管理適正評価制度では令和6年度末で協会が受託している102,569組合の約1割、10,000組合超の登録を目指すと語った。
マンション管理業界の信頼構築のためには、働き方改革やカスタマーハラスメントへの対応、DX推進、予定されている区分所有法改正への臨機応変の対応、書面の電子化などDX推進、居住者&建物の2つの老い、管理業務の範囲の明確化などが重要とし、「『中期事業計画2023-2025』で示した山積する諸課題の解決へ向けた取り組みを精力的に推し進め、良好な社会資産としてマンションストックの形成に寄与していく」と語った。
新しい副理事長に就任したのは鉃谷守男氏(近鉄住宅管理代表取締役社長)、谷信弘氏(長谷工コミュニティ代表取締役会長兼社長)、大井田篤彦氏(三菱地所コミュニティ代表取締役社長執行役員)。
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各氏の挨拶の時間を測った。高松理事長は約8分、来賓の国土交通大臣・斉藤鉄夫氏は約5分、自民党マンション対策議員連盟事務局長・本田太郎氏(山本有二会長の代読)は約3分、公明党マンション問題議員懇話会会長・大口善徳氏(井上義久副代表から交代されたようだ)は約6分、そしてもっとも会場が盛り上がったのは乾杯の音頭を取った副理事長・小佐野台氏(日本ハウズイング代表取締役社長CEO)の約2分だった。
小佐野氏は「一言だけ皆さんにお願いしたい。2年後のマンション適正管理評価件数を1万戸にするには、会員354社の管理件数の1割で達成できます。ちょうど1割、たった1割(爆笑、拍手喝采)で達成できます」と呼び掛けた。「たった1割」「ちょうど1割」を4度連発したように、登録件数1万件は同協会の大きな目標の一つだ。
同制度は、★の数(最大は★5つ、最小はゼロの6段階)で管理状況を可視化するもので、記者は同協会のサイトから3月31日現在の★5つの232件を管理会社別に見て記事化した。トップは伊藤忠アーバンコミュニティ(UC)の43件で、2位は三井不動産レジデンシャルサービスの35件、3位は野村不動産パートナーズの33件だった。(協会は各社の登録件数を把握しているが、公表はしていない)
絶好の機会を逃してなるかと、協会理事でもある伊藤忠アーバンコミュニティ代表取締役社長・深城浩二氏にトップの座の座り心地について聞いた。深城社長は「星の数が多いことのみが高い評価を得ているとは考えていない。星が2つでも3つでも進んで登録しようとする管理組合を増やすようにしなければならない。そこに価値がある。当社のスタッフもそのために頑張っている」と話した。
呵々大笑すると思いきや、意に反する答えが返ってきた。考えてみればその通りだ。小生のように星の数で管理会社を測ろうとするのは間違いではないにしろ、制度の目的から外れている。星が2つでも3つでも、増やそうとする取り組みのほうが大事かもしれない。小佐野氏が「たった1割」と強調したのは、〝優等生〟だけが登録されることの危険性を指摘したものだと受け止めた。
だが、しかし、「たった1割」の道のりは平たんではないようだ。小佐野氏は「1万戸達成のカギを握るのは、市場の約5割を占める大手管理会社10社の取り組みで、『マンションみらいネット』にしてはいけない」と語った。同社の登録件数は現在、9,000組合のうち4%の約380件で、年々5%ずつ増やせば1割に達すると自信を見せた。(1万件の★の分布が興味深い。★の数が多いマンションが適正に評価されるのは当然だが、★の数が少ない物件が登録されなければ、市場を反映したものとはならない。各社には登録件数と全管理件数に占める割合を自主的に公表してほしい)