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2023/06/16(金) 23:09

可視化難しい「防災」「コミュニティ」「環境」に挑戦 ポラス「東武動物公園」

投稿者:  牧田司

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「ディスカバリープロジェクト東武動物公園 コネクト・コミュニティ」

 ポラスグループのポラスタウン開発は6月14日、「防災」「環境」「自助」「共助」「コミュニティ」「環境」をテーマにした分譲戸建て「ディスカバリープロジェクト東武動物公園 コネクト・コミュニティ」の記者見学会を行った。個別住宅のほか外構など区画割り、共用部に様々な工夫を凝らした〝意欲作〟だ。

 物件は、東武スカイツリーライン・東武日光線東武動物公園駅から徒歩10分、埼玉郡宮代町百間1丁目の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する全37戸。現在分譲中の1期(7戸)の土地面積は120.01~128.77㎡、建物面積は96.98~106.77㎡、価格は3,230万~4,180万円。建物は木造2階建て(在来工法)。設計はポラスタウン開発、施工はポラテック。2023年2月に完成済み。3月10日から分譲を開始し、これまで3棟を成約済み。

 街づくりでは、東京・横浜を中心に防災に関する様々な事業を展開しているNPO法人日本防災環境と、ガーデンエクステリアなどの外構事業を手掛るユニソンの意見を企画段階から取り入れているのが特徴。

 身の回りにあるモノを、日常時だけではなく非日常時にも役立てる「フェーズフリー」の考え方に基づき、災害時には公園が防災拠点になるようかまどベンチ、ソーラー付きLED街路灯、東屋、井戸、AED、収納ベンチを設置。

 住居内には在宅避難を想定した防災グッズの分散収納、保安灯、家具やテレビを固定するための下地、雨水タンク、感電ブレーカー、ポータブル電源、ポタジェ、ウッドデッキなどを施している。

 また、ソフト面では、「共助」「コミュニティ」の醸成を促すよう区画割りに工夫を凝らし、管理組合も組織化し様々なイベントなどを行っていく。

 住宅のプランは、「ファミリー」「ペット」「Dinks & Active Senior」の3つを提案している。

 見学会に臨んだ同社埼玉中央事業所部長・板倉秀樹氏は「当社は年間300戸弱を販売しているポラスグループ。『環境』『防災』『コミュニティ』をテーマにした当社初の物件。専門家と試行錯誤しながら作り上げた自信作でもある。使命として今後も展開していく」と話した。

 このほか、企画・設計担当の同社埼玉中央事業所設計課係長・内田里絵氏は「管理組合を設け、防災時に共助、自助が機能するよう企画した」、日本防災環境事務局長・加藤愛梨氏は「住宅は初の取り組みだが、この地の歴史、環境アセスなどあらゆる観点から調査し、安心・安全の仕様に仕上げた」、ユニソン広報企画部部長代理・鷲津智也氏は「外構に様々な仕掛け、イベントをすることで、顔が見える、万が一の助け合いができる環境づくりを進めたい」とそれぞれ語った。

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左から市川氏、内田氏、板倉氏、鷲津氏、加藤氏

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モデルハウス(ペット)

◇        ◆     ◇

 宮代町の分譲戸建ては、バブル前に大規模分譲地を取材したことがあるが、東武動物公園駅に降り立ったのは初めてだった。同社によると、いわゆるパワービルダーの分譲戸建ては2,000万円台で分譲されているということだった。マンションなら土地代がただでも坪単価は170万円以上、20坪で3,400万円の地域で、そんなに安い戸建てが分譲されているのに複雑な気持ちがした。

 同社の物件は3,000万~4,000万円台だから、相場からして高いのだろうが、基本性能・設備仕様レベルは、これまで見学・取材した同社グループの戸建てと比較してそん色ない。

 1階のリビング天井高は2700ミリ、挽き板フローリング、床暖房、食洗機、転倒防止の下地処理、ポタジェ、雨水タンク…4,000円もする消火器も1基プレゼントするというではないか。そればかりではない。階段のステップは15段、開き戸・引き戸は全てソフトクローズ機能付き。隣に古利根川が流れる現地の浸水ハザードマップは0.5mで、過去30年間被害は出ていないようだが、敷地のかさ上げを行っている。

 共有地「モミの木公園」にはかまどベンチ、井戸ポンプ。ソーラーライト2基、収納ベンチ、AED、リードフック、クリスマスツリー用のモミノキも設けている。

 不思議に思ったのは売れ行きだった。青田売りでもよく売れている同社グループの物件なのに、3月から分譲を開始して3戸成約はいかにも少ない。販売担当の同社埼玉中央事業所営業課主任・市川絢悟氏は「当社商圏のぎりぎりの立地で、当社の認知度は低い。根気強く販売していきたい」と語り、他の関係者も「防災」は販売促進になかなかつながらないと話した。

 小生もそう思う。「環境」「防災」「コミュニティ」はとても大事なことではあるが、これらを全面に打ち出しアピールしても消費者の心をつかむのは容易でないことをこれまでの取材でいやというほど経験してきた。言葉は悪いが〝のど元過ぎれば熱さ忘れる〟(〝羮に懲りて膾を吹く〟も困ったものだが、これが悲しい人間の性)。「環境」「防災」「コミュニティ」-これらを価格に換算したらいくらになるか。はじき出せる人は一人もいない。小生はこれらを付加価値として商品に反映させて消費者に納得させられるのは価格のせいぜい1%だと思う。

 市川氏が語ったように粘り強く売るほかない。(小生が販売担当だったら、エリアの戸建てを徹底して調べて、天井高2.7m、挽き板フローリング、ソフトクローズ開き戸、Low-Eガラス…などを標準装備している物件は他にないことを証明し、隣に流れる古利根川の環境も含めてアピールするし、かまどベンチは日常的に芋煮会などに利用できるようにし、焚火もOKにする)

 物の序で。記者は現地まで約2時間、往復で4時間。東京-名古屋と一緒だ。見学会では、いつものように必死でメモを取った。何を見るか、誰が何を話すかを記録し、記事にするのが記者のイロハだからだ。

 ところが、報道陣は10名ちょっと。中にはメモなど取らず聞くだけの人、眠っている人(目をつぶっているだけだろうが)もいた。今回に限らずいつもの風景だ。メモを取らない記者は記者じゃない。単なるリライターだ。

 記者はむしろこの方たちに「あなたたちは何者だ」と質問したかったが、沈黙に徹した。物言えば唇寒し利根の川風…(ヨシキリの、声が冷たく身を責める、これが浮世か、見てはいけない…三波春夫「大利根無情」)。

 この日(14日)のもう一つの収穫は、外構担当の同社埼玉中央事業所設計課・清水博子氏からドクダミには〝八重咲き〟もあると教わったことだ。

 そして本日(16日)、「コスパ」「タイパ」「せんべろ」「設楽りさ子」を学んだ。西武は6連敗。62試合にして10度目の完封負け。交流戦最下位確定か。「公助」も「共助」も期待できず、「自助」努力で浮上するしかない。

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ソーラー充電器

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モデルハウス(ファミリー)

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モデルハウス(Dinks & Active Senior)

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モデルハウス(ペット)

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そばを流れる古利根川(左側が物件)

 

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