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2023/08/19(土) 14:27

オープンH 三栄建築設計を完全子会社化へ/「コンプライアンス意識欠如」第三者委

投稿者:  牧田司

 オープンハウスグループ(オープンH)は8月16日、東証プライム市場に上場している分譲住宅大手の三栄建築設計をTOB(株式公開買い付け)により完全子会社化すると発表した。三栄建築設計の全株式の64.21%((13,623,000株)を所有する創業者で元社長の小池信三氏らと買い付けに関する合意に達し、三栄建築設計も賛同する考えを表明した。買い付け期間は8月17日から9月28日までの30営業日で、買い付け価格は1株2,025円で、買い付け予定株数は21,217,079株、買い付け予定代金は約430億円。TOBを受け、三栄建築設計は上場廃止となる。

 三栄建築設計は昨年9月、同社が発注した工事代金の一部が反社会的勢力に流れたとして警察当局から会社法違反(特別背任)容疑で捜索を受けて以降、金融機関からの新規融資が見送られる状況に陥り、同年11月に小池氏は社長、取締役を辞任。今年6月20日に東京都公安委員会から東京都暴力団排除条例に基づく勧告を受けていた。

 勧告を受け、同社は6月22日付で5名の弁護士からなる第三者委員会を設置。第三委員会は8月14日付で調査報告書を作成。

 調査報告書は187ページにわたるもので、小池氏が反社勢力に経済的な利益を供与したものと認定。「(小池氏は)少なくとも20年以上の長期にわたって、当社の特定の元従業員を介して(反社)の便宜を図ったり、(反社)にトラブルの交渉を委ねたり、(反社)から紹介された業者を当社の取引に関与させて(反社)に経済的利益を供与したりといった事実」を、「(反社)の担当となった3名の元従業員を除き、当社及びそのグループ会社の役職員の中に(反社)と直接関わりを持った者は認めらない」と、会社ぐるみの事案ではないともしている。

 小池氏に対するヒアリング調査では、再三にわたって日時などが変更され、結果として2回にとどまったこと、「よく考えてから後日回答する」「簡潔な書面での回答」など不誠実な対応を批判し、「コンプライアンス意識が決定的に欠如している」と断罪している。

 また、役職員などへのヒアリングの結果として、ごく一部を除き、反社との関係を是正するよう進言した者は認められなかったとし、小池氏の意向に反した意見を述べることなどできない社内風土がワンマンな経営体制を許し、小池氏に対する牽制や統制環境に不備があったと指摘。

 再発防止策として、小池氏による影響の排除、取締役会などの監視機能の強化、社外役員に対する情報連携ルートの構築、エビデンスの添付を要するシステムの構築などを挙げている。

 報告書の結語は、「当社は、1993年に有限会社三栄コーポレーションとして設立されたのち…その後30年間で連結ベースの売上高は約1,390億円、役職員は1,200名超の東京証券取引所プライム上場企業に成長したものであり、かかる成長を推進したのは(小池氏)の手腕によるところが多いと車内から評価されていた面もあるだけに、本報告書を読み、衝撃を受けるとともに残念に感じるステークホルダーが多いのではないかと推察する。今後、当社及びそのグループ会社の役職員は、かかるステークホルダーからの信頼を取り戻すべく行動しなければならない」と締めくくっている。

 

 

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