「パレ・ドール六義園北」土間・ギャラリー(左)と茶室
コスモスイニシアが分譲を開始したリノベーションマンション「パレ・ドール六義園北」を見学した。床・建具・家具などに本物の木を使用したデザインが秀逸だ。
同社と東京都立大学システムデザイン学部インダストリアルアート学科インテリアデザインスタジオが2021年11月から共同して取り組んでいるプロジェクトの一つで、同社の2千戸超のリノベーションマンションの供給実績・ノウハウと、学生の自由な発想や大学での研究で得られた成果を融合させ、「多様性・変化する暮らしかた」を具現化し、提案するのが狙い。
今回の物件のテーマは「日本の感性」で、京町家などに見られるわが国の伝統的な住宅や古民家の調査研究を通して、「ハレとケ」を現代の住まい方へ再構築しているのが特徴で、障子や襖などの「可動建具」は、空気を通す布張りや板張りなどで仕上げ、春夏秋冬に応じて変化させることができるようにしている。
同大学のインダストリアルアート学科・学域は、「『デザイン』という専門分野だけにとどまらず、理工系から人文・社会系まで、プロダクト系からメディア系まで、幅広い領域に対する興味と知見を有し、それらを総動員して新しいタイプのデザインを創生する人材を育成している」「世界的にも非常にユニークな存在」(同大学ホームページ)で、同学部・学科教授の藤原敬介氏はISSEY MIYAKEの店舗デザインなども手掛ける著名な方のようだ。
物件は、JR山手線駒込駅から徒歩3分、北区中里1丁目の商業地域に位置する9階建て「パレ・ドール六義園北」の3階住戸で、専有面積は112.87㎡、価格は12,480万円(坪365万円)。建物は築34年。
リビング(正面奥は収納襖)
収納襖の布張り部分
ダイニングキッチン
土間・ギャラリーからの内観
プラン
◇ ◆ ◇
8月に見学取材した「代田橋」と同様、物件案内は同社流通事業部商品企画部建築一課課長・高橋晴彦氏にしていただいたのだが、住戸に入って絶句した。
「代田橋」より面積は3倍近く広いこともあるのだが、床・建具・家具などに本物のヒノキ材などを採用した、間口十数メートルもありそうな端正な佇まいに目を奪われたからだ。
障子や襖などの「可動建具」は寸法が同じなので、気分によって、四季によって自由に入れ替えたり取り払ったりすることができる。京町家などで日常的に行われていたことだ。布張りの布は市販されているものを使用しているとのことで、高価な素材でなくても工夫次第で美しく見せることができることを示している。
「パレ・ドール六義園北」について。立地、竣工時期、商品企画などからして、記者が分譲時に取材した物件であるのはほぼ間違いない。2戸1エレベーターの億ションだった。当時の坪単価は800万円くらいではなかったか。ある著名なプロ野球選手が購入したのをご本人に確認もしている。
「パレ・ドール六義園北」