積水ハウスは1月18日、アメリカの大手戸建て住宅会社M.D.C. Holdings, Inc.(MDC社)の株式の全てを取得することを決定し、MDC社との間で同日(米国デンバー時間2024年1月17日)付で合併契約を締結したと発表した。買収価格はMDC社株式1株63米ドルで総額約4,914百万米ドル(1米ドル140円換算で総額約6,879億円)。MDC社はコロラド州デンバーに本社を置き、16州34都市で事業展開する上場ホームビルダー。50年以上にわたり合計240,000戸以上の住宅を供給している。2022年度の引渡戸数ベースで全米第11位(9,710 戸)。
積水ハウスは、「当社グループの企業姿勢及び経営戦略との親和性が高い企業文化を有します」とし、買収によって2022年度の引渡戸数ベースで全米5位(年間約15,000戸)の規模を誇るホームビルダーグループを形成することになり、2025年度の海外市場において年間10,000戸の戸建住宅を供給するという同社グループの目標に達するとしている。
同社代表取締役社長執行役員兼CEO・仲井嘉浩氏は会見で「非常に重要な事業で、非常に楽しみにしている。MDC社はソリッドなプラットホームを構築しており、ESG、とくに環境に配慮した取り組みを行っているのが買収の大きなポイント。当社とのシンパシー、親和性が高い。当社の技術力を移植することによって唯一無二のビルダーになる」と語った。
工法については、MDC社の2×4工法と同社の軸組工法の「シャーウッド」の2ブランドで展開していく。
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仲井社長らが出席してオンライン会見が行われたのは18日の午後8時15分から。事前に案内は届いていたが、記者はかなり酒も入っており失念した。上段はほとんどリリ-スのコピペで、仲井社長のコメントは夜中に起きて動画配信を視聴して追加したものだ。
最初にこのニュースが飛び込んできたときは、ものすごくびっくりしたが、大リーグ・エンゼルスからFAでドジャースに移籍した大谷翔平選手の契約額が10年7億ドル(約1,014億円)なので、さもありなんと納得もした。
それにしても、大和ハウス工業の2022年の米国での販売戸数6,010戸、住友林業の米国での販売戸数10,500戸(2023年12月期予想)を一挙に抜き去ることになるのに驚いた。3社で3万戸超だ(大和ハウス工業も2026年には供給戸数1万戸まで引き上げることを計画している)。メディアから3社の米国での競合関係について質問が飛んだが、仲井社長は「(2社について)特に意識していない。当社の高い技術力は米国でも評価されるはず」と自信を見せた。
もう一つは、シャーウッドの展開だ。記者は海外の住宅事情は全く分からないが、シャーウッドの素晴らしいのはよく分かっている。耐火・防火基準がどうなっているかだが、デザインは2×4と似ているようで、また異なる。同社は、シャーウッドによる住宅300戸をカルフォルニアで供給を開始したようだが、米国の2×4住宅と異なるのか同じなのか、機会があったら聞いてみたい。