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2024/07/14(日) 17:03

レインズ新規登録 都心は異常な価格上昇 城北は単価、価格下落、面積縮小、築古増加

投稿者:  牧田司

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は7月10日、首都圏の6月の中古マンション・戸建て市場動向をまとめ発表した。

 中古マンションの成約件数は3,259件(前年同月比4.8%増)、坪単価は257万円(同7.9%増)、価格は4,956万円(同7.5%増)、専有面積は63.57㎡(同0.3%減)となり、成約件数は13か月連続、坪単価は50か月連続、成約価格は49か月連続でそれぞれ前年同月を上回った。

 成約坪単価を都県別にみると、東京都は341万円(8.1%増)、神奈川県は196万円(同7.9%増)、埼玉県は139万円(同0.9%減)、千葉県は134万円(同7.5%増)。

 中古戸建ての成約件数は1,302件(同14.4%増)、価格は4,016万円(同7.1%増)、土地面積は146.79㎡(同4.2%増)、建物面積は104.29㎡(同0.5%増)となった。成約価格は5か月連続で前年同月を上回った。

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 レインズデータによると、都心3区(千代田・中央・港)の成約件数は237件(前年同月比2.2%増)、坪単価は604万円(同17.1%増)、価格は10,097万円(同11.8%増)、専有面積は55.14㎡(同4.5%減)、築年数は20.05年(同0.35年増)。一方で、新規登録件数は964件(同13.5%減)、坪単価は739万円(同25.0%増)、価格は12,331万円(同25.9%増)、専有面積は55.04㎡(同0.7%増)、築年数は23.54年(同0.4年減)となっている。

 城東地区(台東・江東・江戸川・墨田・葛飾・足立・荒川)の成約件数は411件(同12.6%増)、坪単価は282万円(3.2%増)、価格は5,243万円(同0.7%増)、専有面積は61.32㎡(同2.4%減)、築年数は21.02年(同2.2年増)。新規登録件数は1,893件(同9.1%減)、坪単価は261万円(同5.3%増)、価格は4,283万円(同4.3%増)、専有面積は54.07㎡(同1.0%減)、築年数は26.06年(同0.44年増)となっている。

 城南地区(品川・大田・目黒・世田谷)の成約件数は337件(同7.3%増)、坪単価は366万円(同6.4%増)、価格は6,657万円(同9.0%増)、専有面積は60.00㎡(同2.4%増)、築年数は24.39年(同0.75年増)。新規登録件数は1,695件(11.0%減)、坪単価は350万円(同6.3%増)、価格は5,318万円(同6.7%増)、専有面積は50.43㎡(同0.4%増)、築年数は32.40年(同1.85年増)となっている。

 城西地区(新宿・渋谷・杉並・中野)の成約件数は262件(同4.0%増)、坪単価は448万円(同12.2%増)、価格7,175万円(同11.0%増)、専有面積は52.84㎡(同1.0%減)、築年数は25.68年(同0.61年増)。新規登録件数は1,321件(同13.4%減)、坪単価は444万円(同19.9%増)、価格は6,205万円(同22.6%増)、専有面積は46.10㎡(同2.3%増)、築年数は32.82年(同0.48年増)となっている。

 城北地区(文京・豊島・北・板橋・練馬)の成約件数は281件(同7.7%増)、坪単価は294万円(同3.1%増)、価格は5,001万円(同3.6%増)、専有面積は56.20㎡(同0.5%増)、築年数は24.28年(同0.02年増)。新規登録件数は1,362件(同19.2%減)、坪単価は275万円(同1.1%増)、価格は3,964万円(同0.8%増)、専有面積は47.52㎡(同0.3%減)、築年数は30.52年(同0.92年増)となっている。

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 このデータから何を読み取るかだが、記者はエリア分けが適切かどうかと思う。都心3区はわかるが、これを都心4区、又は5区として、渋谷と文京を加えたほうが正確なデータが得られるのではないか。渋谷と文京の坪単価は練馬・北・板橋などと100~200万円は高いはずだ。

 この問題はさておき、成約件数が増えているのに登録件数が減少していることをどう読むか。これは先高観による売り惜しみも多少影響しているのではないかと思う。

 坪単価は成約、新規登録とも上昇しているが、都心3区の新規登録が前年同月比25.0%上昇していることに注目したい。新規マンションも価格は著しく上昇していることから、中古も一層上昇するという読みが働いていると読める。

 興味深いのは、城北エリアだ。新規登録単価は成約単価より坪19万円下落していることだ。これは、成約物件の築年数が24.28年に対して登録物件は30.52年となっており、その差が単価に表れていると読み取れるが、専有面積は成約物件の約56㎡から登録物件は約47㎡へと2.7坪も縮小している。これはなぜか。最近の城北エリアの新築マンションは坪400万円どころか、500万円をはるかに突破しつつあることや、成約件数の約5倍という登録件数の多さなどとの関連はあるのかないのか。

 城北地区ほどではないが、城東地区、城西地区も成約単価より新規登録単価のほうが低い。今後どうなるか注視する必要がありそうだ。

 価格について。都心3区の成約価格は他の地区より4割から2倍となっており、新規登録価格は他地区の2~3倍へと拡大している。都心への交通利便性を重視するからこのような数値になるのだろうが、住宅の基本的な性能としての住環境をもっと重視すれば結果は異なってくるはずだ。記者はこの〝モノサシ〟が理解できない。

 専有面積圧縮は成約、新規登録とも続いているが、成約⇒新規登録は都心3区が55⇒55㎡、城東が61⇒54㎡、城南が60⇒50㎡、城西が53⇒46㎡、城北が56⇒48㎡へと縮小しているのはなぜか。これは築年数とも関連がありそうで、成約⇒新規登録は都心3区が20⇒24年、城東が21⇒26年、城南が24⇒32年、城西が26⇒33年、城北が24⇒31年となっており、築古物件が増加している。築古より築浅が選好されていることの表れか。専有面積と築年数は相関関係があるはずで、築古物件の価格調整がありそうだ。

 築25~30年といえば、バブルが崩壊し、新たな市場が形成されだしたころだ。新築マンションは、都心部でも坪300万円超はほとんどなく、首都圏平均で180万円から250万円くらいだったはずだ。購入者はバブルの痛手を受けていない層が中心だった。

 現在の新築マンション市場は、どんな郊外でも坪200万円以下はありえず、一定水準のところでは坪250万円以上、23区では300万円以上となっている。質は数年前より間違いなく退行している。都心部は異常だと思うが、中古市場が全体として活況を呈しているのは理解できる。

 最近の新築マンションは坪300万円、400万円が当たり前になっているが、設備仕様レベルは10年前の坪単価180万円くらいの郊外マンションとほとんど同じか、それ以下だ。10数年前の新築のリビング天井高2400ミリなどありえない。普通で2500ミリ以上はあった。

 リノベーションの提案次第だろうが、中古マンションが新築価格を上回っても全然不思議でないと思う。

 

 

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