神宮外苑地区まちづくり事業を推進している三井不動産など事業者は7月26日、いちょうの生育環境をよりよくするため、2023年に以下の6つの樹勢回復措置を実施したと発表した。回復措置をとったのは、樹勢の衰えが指摘されている青山通りから都道四谷角筈通りに入った西側舗道のテニスコートがあるところから絵画館前広場までの4列いちょう並木(50本くらいか)で、都道から秩父宮ラグビー場に続く18本は対象外。
(1)ヘデラ・下草の除去 いちょうの根系域上層に植えられているヘデラカナリエンシス(ヘデラ)は極めて生育旺盛な植物であり、いちょうへの水分供給に伴う競合ストレスを避けるため撤去した
(2)水圧穿孔による土壌改良 土壌調査の結果、土壌の硬さと固結部分の存在が明らかとなりました。対策として、水圧穿孔による土壌改良を実施した
(3)稲ワラマルチ設置 特に夏期の土壌の乾燥を防ぎ、秋期・冬期の保温のため、稲ワラマルチを設置した
(4)灌水設備設置 いちょうの根系に充分な水分を供給するため、自動で定期的に水分供給が可能な灌水設備を設置いたした
(5)旧通路舗装基盤の撤去 現在のテニスコートが建設される前に敷設された旧通路について、根系伸長の分断・阻害の原因となっていることから、舗装基盤を撤去し、良質土にて埋戻しを行った
(6)いちょう並木沿道店舗内ウッドデッキ設置 店舗テラス部分のインターロッキングブロックを撤去し、水圧穿孔による土壌改良、さらに乾燥防止のための稲ワラマルチ・灌水設備の設置をした上で、浮き床構造のウッドデッキへ変更した
◇ ◆ ◇
記者は、樹木医の診断では「移植不可」とされているのに対し、事業者は「移植の可能性」を探っている、都道から現在の秩父宮ラグビー場エントランスに続く舗道植えられているイチョウ18本がどうなるか注目している。仮に移植するとしても樹齢1400年超の巨木をどのように動かすのか、費用はどれくらいかかるのか。
事業者は「現時点では詳細調査等を行ったうえでの移植を検討しております。移植先は新球場の北側を想定しており、新球場の工事着手前までの移植を検討しています。移植時期・期間は未定」としている。
神宮外苑再開発全エリア全樹木データ保存・移植・伐採と移植難易度の関係は不明(2024/1/15)