三井不動産レジデンシャルは7月29日、シニアサービスレジデンス「パークウェルステイト」シリーズのフラッグシップ物件となる「パークウェルステイト西麻布」のメディア向け内覧会を開催。開催後にはパークウェルステイトの新アンバサダーに就任する「国民的人気俳優」(プレス・リリース)の吉永小百合さんが登壇し、フリーアナウンサー・宮本隆治氏と約15分間にわたってトークセッションを行った。
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これまでの47年間の記者生活の中で、胸がきゅんとなる、10代の昔にタイムスリップしたような感覚にとらわれたのは初めての経験だった。
何から書き始めていいかわからないが、とりあえず8月1日から放映されるパークウェルネスブランド初のTVCM「そんなあなたに」30秒篇から書く。皆さんも見ていただきたい。次の通りだ。
いかがか。記者はほとんどパニックになった。「あなたはたくさんの波を超えてきた」-これはいい。撮影したのは「パークウェルステイト鴨川」だから、「あなた」は配偶者だろうが、ひょっとしたら椰子の実か、あるいはウミガメか風かもしれない。そんな思わせぶりたっぷりな冒頭シーンだ。
続いて、吉永さんは「あなたはいつだって、今がいちばん好き」「ずっと昔から、そして今からも」と語る。記者は吉永さんに「あなたが好き」と言われたように受け取ろうとしたが、文法的になんだか変だ。配偶者でも恋人でもいい。「あなたはいつだって、今がいちばん好き」と言われたら〝あなたを愛してる〟と素直に受け止めることができるのか。「今がいちばん好き(な)…」意味とも取れるではないか。この「…」は酒かもしれないしスポーツだって小説だって映画だって…なんでもありうる。「そんなあなたにふさわしいレジデンスです」と締めくくるのが憎いではないか。(小生などは百万遍も「あなたを愛してる」と言ったが、その都度「口先だげ」とやり返されてきた)。
吉永さんは、宮本氏とのトークセッションでも「(このストーリーには)深い意味があります」と話した。制作したのは電通だ。クリエイティブディレクター・コピーライターは女性の方だ。
質疑応答でこの点について質問しようと思ったが、同僚の記者の方から「馬鹿な質問はしないほうがいい」と言われたのでそのまま帰った。
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携帯電話もスマホもない時代は、どこの駅にもあった掲示板が重要な役割を果たした。チョークでなんでも書けたのだ。学生のときだ。掲示板に、1時間近く待っても現れない「(彼氏に)もう帰ります」とのメモがあり、「(それでも)あなたが好き」とあったのを見た意地悪な記者は、「が」を「も」に書き換えた。さすがに、度が過ぎるしスペースもなかったので〝あなたも好き者〟とは書かなかった。
吉永さんが「あなたはいつだって、今がいちばん好き」と言った「あなた」はいったい誰なのか。これは謎だ。一生かかっても解けないかもしれない。ただ、「あなたが好き」と言ってしまえば、このCMは間違いなく駄作だ。
※吉永さん、ごめんなさい。きれいに映っていないかもしれませんが、これは私のせいじゃありません。カメラが悪いんです。私のカメラは数万円のデジカメ。最前列のプロの方のカメラは本体だけでも数十万円、レンズを含めると100万円以上とか。