東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は8月8日、2024年度の首都圏の不動産流通市場動向をまとめ発表した。
中古マンション成約件数は36,595件(前年度比3.4%増)、成約坪単価は243.1万円(同7.5%増)、成約価格は4,700万円(同8.2%増)、専有面積は63.80㎡(同0.7%増)、築年数は23.83年(同0.23年増)となった。坪単価は2013年度から10年連続して上昇しており、築年数は1992年の11.19年から約10年増加している。
中古戸建ての成約件数は18,109件(同3.5%増)、成約価格は3,928万円(同1.1%増)、土地面積は137.61㎡(同1.3%減)、建物面積は102.51㎡(同0.2%減)、築年数は21.74年(同0.22年増)となった。築年数は1992年の12.65年からほぼ一貫して増加している。
別表1は、中古マンションの成約件数と成約価格の推移を見たものだ。件数は1992年の20,580件から2024年度は77.8%の増加。ただ、2019年の37,912件からここ5年間は頭打ちとなっている。坪単価は2012年の126.7万円を底に12年連続上昇、ほぼ倍増している。
別表2は、中古マンションの坪単価と専有面積の関係を見たものだ。坪単価が上昇すると専有面積は減少しており、相関関係があることがわかる。
別表3は、中古マンションの駅からの交通別成約件数の推移を見たものだ。居住性能より通勤・通学・通院などの利便性や資産性を重視する消費者の物件選好の変化、デベロッパーの〝駅近〟戦略が奏功しているのか、駅から徒歩10分以内が60%台の後半で推移している。2023年度の成約件数24,741件のうち68.9%を占め、坪単価は284.2万円、成約価格は5,315万円、専有面積は61.86㎡となっている。
別表4は、中古戸建ての駅からの交通別成約件数の推移を見たものだ。マンションとは対照的に、駅から徒歩10分以内は30%を割っており、徒歩10分以内の成約物件の価格は全体の成約価格より約1,000万円高く、土地面積は117.31㎡で、全体の134.70㎡より、約17㎡(5.3坪)狭くなっている。
別表5は、中古のマンションと戸建てを合計した中古住宅の成約件数の推移を見たものだ。着工戸数はマンションと戸建てはほとんど変わらないか、むしろ戸建てのほうが多いのに、中古市場ではマンションが圧倒的多数派を占める。2023年度では、全体の成約件数53,447件のうちマンションは35,907件(67.18%)で、戸建ては17,540件(32.82%)だ。
これほどの差が出るのは、分譲マンションはそもそも二世帯同居を想定していないことと、戸建て居住の子世代が世帯分離によりマンションを購入し、親世代は引き続き戸建てに住み続けるからだと考えられる。一方で、ファミリー向け賃貸の質は低いままで、住宅総数は6,502万戸(2023年10月1日現在)で、うち空き家は900万戸に達している-このいびつな構造をどう理解すればいいのか。