リンナイは8月30日、共働き夫婦の男女1,000名を対象に、知的家事プロデューサー・本間朝子氏が監修した家事分担に関する意識調査結果をまとめ発表した。家事労働負担は男女とも「半分ずつ」というのが理想としながら、実際は妻が7割を負担しており、フルタイム女性の半数が毎日2時間以上の家事をこなし、さらにまた、男女とも6割がパートナーに不満を抱いているという。同床異夢-深刻な実態が浮き彫りになった。
共働き夫婦の家事分担 妻が7割
家事分担の割合を聞いたところ、もっとも多い回答は「妻7割・夫3割(18.4%)」で、妻6割以上と回答した割合は、男性が7割(65%)、女性が8割(80%)だった。また、家事に費やす1日当たりの時間は、女性の半数が2時間以上(「2~3時間未満(29%)」・「3 時間以上(25%)」)だった。
本間氏コメント 共働きをしていても、家事の負担は依然として女性に偏っています。男性と同じように働き、同じように暮らしているにもかかわらず、女性の方が圧倒的に家事をしていることから、「家事分担」の意識は広まっているものの、実際の行動には結びついていない様子が伺えます。
6割がパートナーに不満
パートナーの家事に不満があるか聞いたところ、回答者の6割(59%)、男女別では女性の7割(72%)が不満を抱えていると回答。もっとも多い不満の内容は、女性の回答が「家事を『手伝うもの』と思っていること(43%)」、男性の回答が「時間があるのにやろうとしないこと、やり方が気に入らない・雑なこと(どちらも34%)」だった。
本間氏コメント 妻が不満を感じる大きな理由の一つに夫の当事者意識の薄さがあります。妻は、夫に指示を待つ「お手伝い」ではなく、自発的に動く「当事者」になってほしいと思っています。例えば、妻が家事をしている間に夫が自由に過ごしていると、妻は不満を感じます。しかし、夫が自ら家事をする姿勢を見せることで、妻のストレスは軽減されます。
女性に多い隠れ家事
普段から行っている家事を聞いたところ、男女差がもっとも大きい家事は「献立を考える(男性31%、女性85%)」で、逆に小さい家事は「回収場所までゴミを出す(男性・女性60%)」となった。
本間氏コメント 家事は細かく分類すると100項目ほどに及びますが、その中には「隠れ家事」と呼ばれる、細々としていて認識されにくい家事が多く含まれています。男女差が大きい「献立を考える」は、代表的な隠れ家事と呼べるのではないでしょうか。隠れ家事は、気がついた人が行うことが多いですが、夫よりも家事の割合が多い妻の方が見つけやすいため、結果的に妻の負担が増えることになります。これを防ぐためには、隠れ家事を夫のいない所でやってしまわずに、声をかけてから行ったり、隠れ家事を含めて家事の分担を話し合ったりすることが重要です。
面倒・負担な家事 パートナーにしてほしい家事
面倒や負担に感じる家事と、パートナーにしてほしい家事を聞いたところ、もっとも多い回答は、面倒や負担に感じる家事は男性が「食器を洗う(29%)」、女性が「食事をつくる(51%)」で、パートナーにしてほしい家事は男性が「食事をつくる(49%)」、女性が「風呂を掃除する(50%)」だった。
回答者が普段からしていて、パートナーにもしてほしい家事を集計したところ、もっとも多い回答は、男性が「食事をつくる(48%)」、女性が「回収場所までゴミを出す(56%)」だった。
本間氏コメント 男性の「面倒・負担に感じる家事」と、女性の「パートナーにしてほしい家事」の1位が一致しています。本来、妻は自分が負担に感じる家事を夫にしてほしいはずですが、そうではないのは、夫の知識やスキル不足を考慮して、夫が慣れている、または問題なくできる家事を選んでいる可能性があります。そのほうがやり方を教えたり、失敗をフォローしたりする手間が少なくなると考えられるからです。
家事分担のルール 話し合いで決めても不満が残る
家事分担のルールを聞いたところ、話し合いで決めたルールは4割(35%)、成り行きで決まったルールは5割(52%)と回答。どちらのルールも、年代が低いほど高くなる傾向にあった。
家事分担のルール別にパートナーへの家事の不満を集計したところ、ルールの有無に関わらず、男女ともにパートナーへの家事の不満を抱えており、女性の半数がルールの見直しを希望していることが分かった。
本間氏コメント 家事の分担には、労働時間や収入、勤務形態、体力や健康状態、子どもの数や年齢、家事のスキルなど、さまざまな要因が影響します。そのため、どの家庭にも当てはまる唯一の正解は存在しません。夫婦で話し合いを重ねて試行錯誤しながら、その時々の最適解を見つけていくことが重要です。また、状況は暮らしていく中で変わっていくため、一度きりではなく、定期的に話し合いを行うことも大切です。
理想の家事分担 夫婦平等
理想の家事分担については、もっとも多い回答は「妻5割・夫5割(39%)」だった。現状と理想の家事分担の変化を集計したところ、男性の6割(56%)は現状と同じ割合(現状維持)を、女性の6割(60%)は現状よりも妻の負担を減らす割合を選んだ。
また、家事分担を見直す上で仕事を考慮したいかの問いには、6割(62%)が仕事を考慮したいと答え、「仕事の時間や量(34%)」がもっとも多い回答だった。
本間氏コメント 理想的な家事分担として「妻5割・夫5割」がもっとも多く支持されていますが、実際には男性の半数以上が「現状維持」を希望しています。ここには、夫婦間の平等を求める気持ちはあるものの、自分の負担を増やしたくないという本音が見え隠れしています。
共働き家電なら1 時間の時短
食事の準備の時短や、家事負担の軽減に役立つ、いわゆる時短アイテムの利用を調査したところ、食事の準備の時短は「冷凍・チルド食品(52%)」、家事負担の軽減については「食器洗い乾燥機(30%)」がそれぞれもっとも多い回答だった。
本間氏コメント 家電製品は「新・三種の神器」、別名「共働き家電」と呼ばれる食器洗い乾燥機、ロボット掃除機、衣類乾燥機(洗濯乾燥機)が上位に入っています。これらはそれぞれ1回の利用で20分ほど家事が短縮できるため、揃えれば1時間の時短が叶います。
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♭男と女の あいだには 深くて暗い 河がある 誰も渡れぬ 河なれど♭…記者は約10年間、寡夫(主夫)を経験しているが、家父長制の残滓とも言える〝夫は仕事、妻は家庭〟が色濃く残っていることを調査結果は明らかにした。
どうすればいいか、記者も分からないが、一つ言えることは、家事労働をお金に換算することだ。そうすれば、妻(夫)任せには絶対できないはずだ。一人で家事労働をこなせば、月給にして30万円以下はありえない。
調査結果からは、夫も妻も食事づくりに負担を感じているようだが、これは夫も妻も飲食店などから技術を学び、習熟することだと思う。そうすれば食事をつくるのが楽しくなる。記者は鰹節を削ってだしにしたし、鶏ガラでスープをつくった。カレーなどにはギーを使った。
子どもがいれば子ども優先になるが、子どもが好きな料理はだいたい決まっている。得意なカレーは多めに作って冷凍し、2回食べられるようにした。専門店のカレーなど比べようもないほどおいしいものをつくった。季節になるとあちこちからリンゴが届いたので、アップルパイをしょっちゅう作った。
夫婦の食事などはそれぞれが好きなものを食べるようにしたらいい。記者は子供を寝かしつけてからだから、食べるのはいつも夜10時過ぎだった。乾きもののつまみで十分。ウイスキーにはブルーチーズがあればいい、日本酒はめざしなら数分で焼ける。普段は粗末な食事にし、たまにレストランなどで食べればいいではないか。
家事分担でいえば、完璧にこなそうと思わないで、徹底して手抜きすることだ。記者は掃除など全然しなかった。風呂も2日連続で使った。シーツなど代えなかった。その一方で、食洗機は卓上型しかなかった頃に購入した。洗濯乾燥機の役割を果たす物干しポールは必需品だ。
夫の妻への家事労働への不満として「時間があるのにやろうとしないこと、やり方が気に入らない・雑なこと(どちらも34%)」との回答があるが(妻もそう思っているはず)、そんなふうにパートナーを評していたら、間違いなくそのうちごみのように捨てられる。そうならないようよく話し合うことだ。相手のいいところを見て、他は目をつぶるのも夫婦和合の秘訣だと思う。