スマートニュースメディア研究所からメールが届いた。「第3回スマートニュース・メディア価値観全国調査(SMPP調査レポート③)」で、わが国の「ニュース回避」傾向のある人は8%で、ニュース回避傾向がある人が最も多かったのは「20代以下・男性」(16%)、「30代・女性」(15%)、「20代以下・女性」(15%)だった。逆にニュース回避傾向が最も少なかったのは「60代・男性」(79%)、「70代以上・女性」(77%)、「60代・女性」(76%)というものだ。
NHKのニュースを「よく見る」と回答した人の割合は、ニュース回避傾向がある人で28%、全体で46%だった。民放のニュースを「よく見る」と回答した人の割合は、ニュース回避傾向がある人で36%、全体で59%だった。一方、新聞を「よく読む」と答えた人は、ニュース回避傾向がある人で41%、全体で59%となった。
また、「マスメディアを信頼する」(とても信頼している、まあ信頼している)と答えた人の割合は、ニュース回避傾向がない人では74%だった一方、ニュース回避傾向がある人では41%にとどまった。マスメディアを「まったく信頼していない」とする人の割合は、回避傾向がある人では19%、回避傾向がない人では3%と大きく差が開いた。
調査対象は8歳-79歳の有権者で、郵送による回収数1,901(回収率42.6%)とオンライン(Web調査)による回収数2,000(同100%)。
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「SMPP調査レポート②」によると、SNSはFacebook、Twitter(現在はX)、LINE、Instagram、YouTube、TikTokなどがあり、今や世界で「知らない人はいない」サービスへと成長しており、日本における「ソーシャルメディア」利用者数は2022年時点で1億200万人とされている(令和5年度版・総務省情報通信白書=ソーシャルメディアはSNSのほかに口コミサイト、掲示板サービスなども含むより広い概念を指す)。
全世代の79%がSNSアカウントを1つは所持しており、45%がアカウントを複数所持、25%が「本名」「匿名」アカウントを両方持って使い分けをしているという。70代以上の全ての年代で、「SNSのアカウントを持っている」(79%)が「SNSのアカウントは1つも持っていない」(19%)を大幅に上回っている。
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上記レポートで「新聞をよく読む人」が全体で59%、回避傾向がある人の「マスメディアをまったく信頼していない」割合が19%に達しているのをどう理解すれはいいか、SNSを利用したことがない19%のうちの一人である記者はよくわからないのだが、新聞も含めマスメディアをまったく信頼していない人の割合がこれほど高いことについては、記者も含めて考えないといけない。
いつも思うのだが、記者発表会・見学会では、メモを取らない人が多すぎるし(メモを取らなくても頭に入る人は100人に1人くらいいるかもしれない。小生は耳が遠くなり、書きとれないのでメモを取らない人と結果として同じだが)、取材機会があるのにコピペ記事しか報じない大新聞、実物を見てもリリースしか書かない、自分が何を見ているのかわからない(その人の目を見るとよくわかる)…そんなメディアが多すぎる。〝講釈師見てきたようなうそを言う〟と五十歩百歩だ。
そしてまた、生成AIが普及したためか、最近は主催者もあらかじめ用意された文章を読むだけで、スクリーンに誰も読めないような小さな文字・図表を映し出し、目を伏せっぱなしの人が多すぎる。
参考になるかどうか。カルヴィーノの「アメリカ講義-新たな千年紀のための六つのメモ-」(岩波文庫、2011年第一刷、訳者:米川良夫・和田忠彦)から一部を以下に紹介する。
「私には言葉というものがつねに曖昧で、出まかせに、ぞんざいに用いられているというよう思われ、そのために免(ゆる)すことのできないほどの不愉快さを感じているのです…何よりも不愉快なのは自分がしゃべっているときに感じているものなのですから…」(110ページ)
「ときとして私には、何かしら疫病のようなものが人類をもっともよく特徴づけている能力、すなわち言葉を用いる能力を駄目にしているのではないかと思われることがあります。言葉の伝染病といったものでして、その徴候は識別的な機能や端的さの喪失、あるいはまた表現をおしなべてもっとも一般的な、没個性的で、抽象的な決まり文句に均一化させてしまい、その意味を希薄にして、語と語が新しい状況に出会うときに発する火花をいっさい消し去ってしまおうとする一種の無意識的・機械的な振る舞いとして表れています…私にとって大事なことは回復の可能性なのです。文学が(そして恐らくは文学だけが)、言葉の病気の蔓延を阻止できる抗体を生み出すことが可能なのです」(111~112ページ)