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2024/11/13(水) 15:46

「利益率(8.8%)を高めたい」大和ハウス・芳井社長 大手デベの住宅事業は20%超

投稿者:  牧田司

 大和ハウス工業は11月13日、2025年3月期第2四半期決算のマスコミ向けスモールミーティングを開催し、同社代表取締役社長CEO・芳井敬一氏が約1時間にわたって前日11月12日に発表した決算内容について記者団の質問に答えた。

 2025年3月期第2四半期の売上高は2兆6,526億円(前年同期比4.2%増)、営業利益2,346億円(同22.8%増)、経常利益2,209億円(同17.5%増)、純利益1,563億円(同1.2%増)となり、コスモスイニシアと大和リゾートの連結範囲変更に伴う売上高592億円、営業利益23億円の減少要因があったものの、売上高は4期連続の増収、営業利益、純利益とも2期連続の増益となった。

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 スモールミーティングは、メディアの方が何を質問されたのか、芳井社長がどのように答えたのか、耳が遠くなった記者はほとんど聞き取れなかった。聞き取れたのは、芳井社長が「経営者にとって利益率をどう高めていくかが課題。とくに米国は粗利益率を重視している」と語り、新政権に対して「経営者目線より、住宅購入者目線が大事。新政権には、先の住宅エコポイントように途中で打ち切るのではなく、切れ目のない政策を要望する」と話したことのみだった。

 利益率については質問に答えたというより自ら口にしたことだ。確かに、同社の利益率が高くないのは昔からの課題で、今回の2025年3月期2Qの売上高2兆6,526億円に対して営業利益は2,346億円で、営業利益率は8.8%だ。同業の積水ハウスの2025年1月期2Qの売上高1兆8,591億円、営業利益1,571億円、営業利益率8.5%のいずれの数値も上回ってはいるが、大手デベロッパーの国内住宅事業の営業利益率と比較すると大きな差がある。

 例えば2025年3月期2Qの三井不動産は22.0%、三菱地所は2.4%(下期に引き渡しが集中するためと思われる)、住友不動産は30.2%、野村不動産HDは37.0%、東急不動産HDは21.1%、東京建物は25.2%(2023年12月期3Q)だ。粗利益率は住友不動産と三井不動産は非開示だが、30%を超えている模様で、東京建物は29.2%、野村不動産HDは26.7%、三菱地所は26.3%だ。

 これほどの差が出るのは、デベロッパーの国内住宅事業は経営資源を都心部に集中しており、原価高騰を価格に転嫁し、さらに最近の市場に合わせた価格の高値設定やコスト削減効果が顕著に表れていると見ることができるのに対し、大和ハウスは全国展開しているため(最近のマンション分譲は地方圏は少なくなっているが)、用地・建築費高を価格に転嫁しづらい環境が続いているためと思われる。

 しかし、記者は住宅事業の営業利益率は10%前後が適正ではないかとみている。BtoBの事業はともかく、一般消費者の実質賃金は上昇していないのだから(アッパーミドル・富裕層向けマンションなどはどんどん高値挑戦すべきだと思っているが)、利益率を落とし、その分を消費者に還元すべきだと考えている。〝利益を消費者に還元してどこが悪い〟と口にする経営者は出てこないかと期待しているのだが…。かつて三井不動産の役員(社長ではなかった)が「何事も腹八分目、残りの二分はお客様に還元するんだよ」と呵々大笑したのを思い出した。

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 同社は11月12日、2024年8月7日に公表した2025年3月期の業績予想を上方修正し、期末配当を増配すると発表した。売上高は5兆3,700億円(前回予想5兆3,500億円)、営業利益4,400億円(同4,300億円)、経常利益4,100億円(同3,900億円)、純利益2,670億円(同2,600億円)。期末配当予想は77円(同75円)で、年間配当予想は147円(同145円)。

 

 

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