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2024/12/27(金) 19:21

RBA野球記事120本 こだわり記事450本 今年1年を振り返る

投稿者:  牧田司

 今年は、日経平均株価が34年ぶりに最高値を更新し、実質賃金もプラスに転じ、「水没下の金利」から「金利のある世界」に戻り、懸案だったデフレ脱却を強く印象付けた1年だった。

 しかし、その半面、ロシア-ウクライナ戦争はドロ沼化し、イスラエル・ガザ戦争が勃発し、シリアの政変など世界の武力紛争は収まる気配はなく、韓国の政変は、北朝鮮との戦争状態が74年間も続いていることを改めて思い知らされた。

 国内の出来事では、元日に能登半島地震が、翌日には羽田空港の飛行機衝突事故が起き正月気分は吹っ飛び、その後も地球温暖化による自然災害の激甚化、闇バイトによる住宅侵入・強盗、通り魔殺人、政治家の不倫騒動・パワハラ、政治と金問題などが連日のように報じられた。甲高い司会者・コメンテーターの声が雨あられのように降り注いでは三半規管を狂わせられた。外に出れば発狂寸前の街路樹虐待を見せつけられた。かつてにらみ合っていたカラスは激減し、高気密住宅に棲み処を奪われたのか、スズメは姿を消した。人間だけでなく、あらゆる生き物の命が軽んじられている印象を強く受けた1年でもあった。

 小生といえば、今年4月に「後期高齢者」の烙印を押された。恩恵といえば医療費の自己負担額が1割になったことくらいで、いいことはあまりなかった。わが西武ライオンズは歴史的な底這い状態が続いた。かみさんはどこで仕入れるのか、野球選手の不倫などネガティブ情報を機関銃のように乱発し、脛に傷持つ小生の古傷をこじ開け、塩を刷り込んだ。だんまりを決め込むと「あんたは私の話を聞かない」と攻め立てた。試合が終わるころは眠っていた。

 それでも、仕事(取材)に関しては、見当識障害は進行する一方で人の話すことばが聞き取れなくなったが、幸い、糖尿病の数値は安定して推移した。取材後はビールとイワシフライで1,000円でお釣りがくる「日高屋」の〝せんべろ〟を満喫することができた。「日高屋」「DOOTOL」「マクドナルド」が街のポテンシャルを測る〝御三家〟であることを業界紙記者のFさんから教わったのも、今年の大きな収穫の一つだ。

 そのお陰で、RBA野球記事は約120本、「こだわり記事」は約450本書くことができた。合計570本。土曜、日曜も関係なく書いた。400字原稿用紙にして1本当たり4~6枚だから、年間で2,280枚から3,420枚の計算になる。大河小説1冊分だ。

 RBA野球大会は、様々なことがあり、日曜、水曜ブロックとも決勝戦は12月にずれ込んだが、各チームの絆が強化された1年だった。優勝された日曜ブロック・青山メインランド、水曜ブロック・東急リバブルの選手の皆さん、おめでとうございます。

 「こだわり記事」の内訳は、マンションが約150件(賃貸含む)、一戸建てが約50件。その他が250件だ。

 記事は〝現場主義〟〝記事はラブレター〟を貫いた。コピペ記事は極力避けた。記者の視点から〝事実〟(これは曲者だが)をストレートに伝えることを心がけた。つたない記事を読んでいただいた読者の皆さんに感謝申し上げる。

 一つひとつ記事について振り返ることはしない。わが業界紙がこの1年間をどう振り返っているのかを紹介する。

 住宅新報の10大ニュースは次の通り。

・中野洋昌氏が国交大臣に就任
・大手住宅、M&Aで海外事業を拡大
・首都圏マンション価格、高騰続く
・省エネ性能ラベル、空き家対策推進プログラム
・住宅ローン金利が上昇
・住宅セーフティネット法改正
・マンション管理で指針策定 外部管理者方式など

 同紙は、このほか箇条書きで次の事象を重大ニュースとして紹介している。

・「令和6年能登半島地震」で最大震度7を観測
・日本銀行がマイナス金利を解除、大規模金融緩和政策を終了
・国内外の企業から半導体工場の誘致で地価急上昇に注目
・脱炭素社会に向けて大手住宅・不動産会社もGXの取り組みが進む
・単身者の増加が顕著に。全世帯に占める1人暮らしの割合は東京は54.1%
・空室率の低下と賃料の上昇でオフィスビル市況がコロナ禍から回復へ
・不動産クラウドファンディング協会と日本不動産クラウドファンディング協会統合
・北陸新幹線の金沢~敦賀間が延伸開業。東京と福井が直通で結ばれる
・インバウンド回復、訪日外国人客数が3337万人余りで過去最高を記録
・日経平均株価が34年ぶり更新。円安も34年ぶり水準に
・日本銀行が20年ぶりに新紙幣を発行
・気象庁が宮崎県沖で8月発生の地震で「南海トラフ地震臨時情報」を発表」
・三井不動産など明治神宮外苑の再開発で樹木伐採を始める

 週刊住宅タイムズの重大ニュースは次の通り。

・新築マンション価格の高騰進む
・国交省が「不動産業者による空き家対策」を推進
・インバウンドが回復、コロナ前を超す勢い
・国交省が「不動産情報ライブラリ」の運用開始
・能登半島地震が発生、石川県能登に大きな被害
・東京都心部に大型シニア住宅相次ぎ開業
・省エネ基準適合の全面義務化が正式決定
・不動産の相続登記の義務化が始動
・最高裁判断、「傍系の相続人の範囲、厳格に」
・板橋区に都内最大の街づくり型物流施設が竣工

 皆さんはこれをどう受け止められるか。これらについてコメントする立場にはないが、記者の感想を以下に紹介する。

 両紙とも首都圏マンションの価格高騰を上位に選んだ。その通りだと思う。しかし、今に始まったことではないが、元データは不動産経済研究所に依拠しているもので、独自の視点が欠落している。〝他人のふんどしで相撲を取る〟ようなことはやめるべきだ。(かくいう記者もマンションの現場見学・取材を行ったのは50件あるかどうか。肝心のメジャーセブンの物件は10件くらいだから、語る資格はないのだか)。

 価格高騰は地方圏にも及んだ。岡山駅前の坪単価355万円の再開発マンションが人気になったのに記者は驚いた。長野県白馬村では坪単価600万円(記者予想)の分譲ホテルが、沖縄県中頭郡北中城村では坪単価250万円の多目的マンションがそれぞれ人気になった。これらについても触れるべきだった。

 中古マンションの価格上昇についても両紙は取り上げているが、これもマクロデータに頼っているのみ。都心部のいわゆるヴィンテージマンションは新築価格を上回って取引されているように、中古が新築マンション上回るというバブル期と同じ様相を呈している。これらについて言及が両紙には全くない。

 賃貸市場にも触れてほしかった。記者は三菱地所レジデンスの家具・家電付きCo-Living、野村不動産の「TOMORE(トモア)」が市場に変革をもたらすと考えているし、サービスアパートメントでもコスモスイニシアなど5社が会見を開くなど新しい動きがあった。

 このほか、DXや建築着工、住宅着工動向について言及がないのはなぜか。DXはあらゆる分野に浸透し、対応できなければ市場から退場を余儀なくされることを示唆している。持家と分譲戸建ての着工減に歯止めがかかるのか、ホテルの着工激増をどう見るべきなのか、触れるべきではないのか。

 「空き家」問題だが、これはテーマが大きすぎて記者は取材をあきらめた。手に負えない。業界紙には具体的な取り組みについて報道してほしい。

 住宅新報は中野洋昌氏が国交大臣に就任したことを選んだ。これは全く理解不能。国交大臣の交代は、もとをただせば、自民・公明の与党が選挙に敗れ、公明党の石井啓一代表も落選し、代表を辞任したことから後任に国土交通大臣の斉藤鉄夫氏が選ばれ、空席を埋める形で公明党の中野氏が国交大臣に就任したということだ。大臣交代によって国土行政も変わるのなら重大ニュースになるだろうが、三権分立を揺るがすようなことは絶対あり得ない。

 週刊住宅の「東京都心部に大型シニア住宅相次ぎ開業」「板橋区に都内最大の街づくり型物流施設が竣工」を選んだのも首を傾げざるを得ない。都心の大型シニア住宅は相次いではいない。三井不動産レジデンシャル「西麻布」のみだた。住宅などの建築が不可の工業専用地域でどのような街をつくるのか。それが実現したら拍手喝采だ。

 それより、物流では、シンガポールに本拠を置く日本法人「日本GLP」による約65haという桁違いの物流施設「GLP ALFALINK 昭島」がどうなるのかに注目したい。昭島市は、この物流施設計画を含む約81.5haの「玉川上水南側地区地区計画」(素案)を発表した。

 住宅新報は「三井不動産など明治神宮外苑の再開発で樹木伐採を始める」ことも重大ニュースの一つとして取り上げているが、わが多摩センターや日比谷公園など全国の公園改修による巨木の伐採、街路樹の伐採・強剪定が行われている。〝街路樹のイチョウを伐らないで〟とイチョウに抱きつく住民らを千代田区はあろうことか〝暴力行為〟とし、住民ら10人に対して「立入行為禁止仮処分命令申立」を提訴した。〝話し合う〟ことが原則の民主主義は死滅した。

 千葉大学名誉教授・藤井英二郎氏が三鷹市で行われた講演会で「強剪定された街路樹は委縮した心と社会の表れです。だから、木とお互い様だよ、共認しあえば涼しくもなるし、心も豊かになる。そういう社会を目指そうじゃありませんか」と締めくくったとき、会場に集まった約100人の聴衆からコンサートのアンコールのような拍手が巻き起こった。

 重大ニュースと関連することだが、記者がいささかショックを受けたのは、国内外の大メディアは存在感を失い、SNSが選挙や世論に大きな影響を及ぼしていることだ。記者はアナログ人間だから、SNSなるものを全く知らないが、世の中が劇的に変わっているということなのだろう。

 日本新聞協会によると2024年10月現在の一般紙、スポーツ紙の発行部数は約2,662万部(前年同月比6.9%減)で、1世帯当たり部数は0.45部(同0.04ポイント減)となっている。2008年に1世帯当たり部数が0.98部と1部を下回ってから漸減を続けており、一度も反転したことがない。15年後には新聞は死滅する計算だ。

◇        ◆     ◇

 余談だが、女性としてアジア初のノーベル文学賞を受賞した韓国のハン・ガン氏の代表作の一つ「菜食主義者」(クオン)について。友人から借りて読んだ。文章は平易で、登場人物が少ないのですらすら読める。家族とは、愛とは何かを考えさせてくれる作品だ。菜食主義者(拒食症)が主人公の一人となっているのは、パオロ・ジョルダーノ「素数たちの孤独」(早川書房)と、姉妹と性関係を持った姉の夫が登場するのはミラン・クンデラ「不滅」(集英社文庫)とそれぞれよく似ている。

 ハン・ガン氏のもう一つの代表作「少年が来る」(クオン)を図書館で借りて読もうとしたら予約数は100件を上回っている。借りるのは一人1週間として2年待ちだ。買って読もうとまでは思わないのであきらめた。韓国の作家といえば、「血と骨」などで知られるとヤン・ソギル氏(享年87歳)が今年亡くなった。

 今年鬼籍入りした人では、八代亜紀さん(享年73歳)にはショックを受けた。アンチ巨人の記者は〝ナベツネ〟こと渡辺恒雄氏(同98歳)は大嫌いだったが、考えを改める必要がありそうだ。「わが人生記」(中公新書)を読むことにした。


 

 

 

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