「食と生きる」イベント(東京ミッドタウン日比谷で)
三井不動産は1月10日、大人から子どもまで楽しみながら「食」について学べる「食と生きる」イベントのプレス内覧会を「東京ミッドタウン日比谷」で開催した。
イベントは同社とディスカバー・ジャパンが主催し、この日から1月19日の10日間、18の共同参加企業・団体とともに東京ミッドタウン日比谷で行われるもの。わが国の「食」(和食)はユネスコ無形文化遺産に認定されている一方で、食料自給率の低さ、食品ロス、農業従事者の高齢化・人手不足など課題が山積しており、日本の食文化を未来につなげるのが目的。
共同参加企業・団体には農林水産省、東京都、榮太樓總本舗、サントリー、トヨタ自動車、パナソニックホールディングス、ファミリーマート、久原本家グループ、マルハニチロ、ヤマタネ、リーフ・パブリケーションズ、ロック・フィールドなどが名を連ねている。
期間中は、エントランスと1階アトリウムに美術作家・松本勇馬氏による高さ3m超の巨大なわらアートが展示され、地下には長さ50m、幅3.7メートルの18の企業・団体によるエキシビションが展開され、地下1階と6階のホールでは総勢36名のシンポジウム(全14講座)、ワークショップ(全13講座)が行われ、12店舗ではイベントとのコラボメニューが提供される。
1階のイントロダクションエリアと地階のエキシビション展示を手掛けたのは乃村工藝社で、エキシビションに用いられている段ボール、木などはすべて再生されることになっている。
わらアート
エキシビション会場
左から日比谷街づくり推進部事業グループ・中嶋紘大氏、乃村工藝社クリエイティブ本部第一デザインセンター・數坂幸生氏、美術作家・松本勇馬氏
◇ ◆ ◇
この日、概要を説明した同社日比谷街づくり推進部事業グループ・中嶋紘大氏は「プラットフォーマーとしての産業デベロッパー」をアピールした。
「産業デベロッパー」のフレーズは、2012年の同社の中期経営計画「リノベーション2017」、2015年の「イノベーション2017 ステージⅡ」、2018年の「VISION2025」が目標通り進捗したのを受け、2022年の暮れ、社長交代会見の席上で、新社長の植田俊氏が初めて用いた。その後、同社はことあるごとに「産業デベロッパー」であることを強調してきた。
今回のイベントは、唐突な取り組みではない。2023年4月に発表した食のプラットフォーム「mitaseru(ミタセル)」が伏線にあるはずだ。わが国の食料自給率は50%を割るなど先進国の中でもっとも低く、その一方で食品ロスなど課題も山積している。記者は自分で買い物をしたことは最近ほとんどないのでどれほど深刻かはわからないが、大好きなトマトの量が激減し、果物なども量と質が激変した。生活の基盤である「衣・食・住」のなかでもっとも課題の多いのは「食」であることは容易に想像がつく。
ここにフォーカスした同社の取り組みは半端でないことを改めて知った。トヨタとかサントリー、パナソニック、ファミリーマートなどが新たな食品開発や食品ロス、生産性向上の取り組みを行っているのになんだか頼もしく思えた。
内覧会では、「MARUSAN」(味噌メーカーとして三重県でも流通していた)とトヨタが共同開発した無調整豆乳の試飲会もあった。うまいのかまずいのか、1000mlで430円が高いのか安いのかさっぱりわからなかったが、世界のトヨタが東京ミッドタウン日比谷の「LEXUS MEETS...(レクサス ミーツ)」で販売するというのが面白い(豆乳は糖尿に効くとかで昔よく飲んだのだが…)。
イナワラで作られたブタのようなアート作品が素晴らしい。美術作家・松本氏によると、母親のおっぱいめがけて猪突猛進する(豚突猛進か)様子は、人間を含む哺乳類の食の原点を表現している。作品は、群馬県の方たちがボランティア参加して作り上げたもので、1反5畝の田んぼ(1反は約300坪、1畝は約30坪だから、都市型戸建て15戸分)が必要だったとか。
唯一気になったのは、不動産業界紙の記者が少なかったことだ。業界紙の皆さん、30年も40年も昔の〝不動産〟にしがみついている時代はとっくに過ぎた。変わらないといけない。
エキシビション
建築家・藤本壮介氏「大屋根リング」意義を語る三井不動産「木と生きる」イベント(2024/4/17)
有名店や予約困難店の料理が楽しめる食のプラットフォーム三井不「mitaseru」(2023/4/20)
「産業デベロッパー目指し、日々妄想」植田俊・三井不動産次期社長(2022/12/11)