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2025/01/29(水) 10:30

「雨にわ」の普及・実証事業 グリーンインフラ大賞「国土交通大臣賞」受賞

投稿者:  牧田司

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「おでかけひろば FUKUfuku(左)と「世田谷トラストまちづくりビジターセンター」に設置されている「雨庭」

国土交通省が推進するグリーンインフラ官民連携プラットフォーム第5回グリーンインフラ(GI)大賞「国土交通大臣賞」に特定非営利活動法人雨水まちづくりサポート(共催:一般財団法人世田谷トラストまちづくり)の「武蔵野台地における『雨にわ』によるNbSの普及・実証事業」と、首都高速道路の「おおはし里の杜~都市部の道路空間を活用した生きもの中心の緑地~」が受賞し、表彰式が129日、東京ビックサイト「グリーンインフラ産業展2025」で行われる。

「雨にわ」は、市民・民間が参画する「地域共生」「流域治水」の取り組みの一つで、2地域(世田谷区、武蔵野市)での実践と地中も含めた雨水の見える化を実現し、様々なプログラムを通じた幅広い世代への普及・啓発を実施していることが評価された。「おおはし里の杜」は、大橋ジャンクション整備後のモニタリング・管理活動を通じた地域社会との共生の取り組みが評価された。

雨庭とは、屋根などに降った雨水を集めて、一時的に貯留し、ゆっくりと地面へ浸透させる庭(植栽帯を含む)のことで、雨が直接地面に浸透するため、下水道などにかかる雨水の流入負荷を軽減させ、生物多様性が豊かになり、水質を浄化する効果が期待されている。

GI大賞を受賞した取り組みは、武蔵野市(協力:武蔵野市ほか)と合わせて、取組効果として、親子向け普及ワークショップ、市民向け実践ワークショップなどのイベント参加者は未就学児から70代以上の市民まで延べ300名以上が参加し、モニタリングの結果、世田谷区に設置した約3㎡の雨庭で2023年は26㎥以上の雨水が地中に浸透したことが分かった。

グリーンインフラ官民連携プラットフォームは20203月に設立された。グリーンインフラは、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようというのが目的。20213月に第1回グリーンインフラ大賞「国土交通大臣賞」が決定された。

共催団体である世田谷トラストまちづくりの「雨庭」の取り組みは、2020年度に次大夫堀公園内里山農園でモデルの雨庭をつくり、個人宅で気軽につくることができる「自分でもできる雨庭」のコンセプトをまとめスタートした。世田谷区から委託を受け2021年度から「世田谷グリーンインフラ学校」を実施し、「雨庭づくりを通じて、グリーンインフラの魅力や意義を地域の中で率先して広めていく」リーダーの育成を目指し講座も行われている。ているもので、雨庭は「世田谷トラストまちづくりビジターセンター」(成城4丁目)、「おでかけひろば FUKUfuku(雨水まちづくりサポートと共催)」(喜多見9丁目)などで実装されている。

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「おでかけひろば FUKUfuku(左)と
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大橋ジャンクションは、マンションが分譲されたとき取材しており、その後も数回訪れているので知ってはいたが、「雨庭」は全然知らなかったので、同財団にお願いして、上段の2か所の見学が実現した。もっと大掛かりなものかと思ったが、そうではなかった。やろうと思えば素人でもできそうなのがいい。

同財団の「自分でもできる雨庭の手引き」によると、材料はホームセンターで購入な材料・資材を用い、ガーデニングの延長線上で取り組むことができるとある。

作り方も簡単だ。スコップなどで約3.3㎡(1坪)のスペースに深さ約30センチの穴を掘り、そこに砕石、軽石、発泡ガラスレットなど浸透貯留材を深さ1520cm投入し、その上に植物を植えたり枯山水仕上げとしたりするだけでよい。雨樋を利用した雨水タンクを併設することも推奨されている。施工費の目安は約4万円(植物:2万円、資材約2万円)。雨とみどりに関する区の助成制度もある。

効果も大きいではないか。記者の試算では、たった1坪(1.8m×1.8m)で深さ約8mの雨水をゆっくり地中に浸透させることができる。上下水道代に換算したら数千円にもなる。

そこですべてのデベロッパー、ハウスメーカーにお願いだ。雨水タンクの設置は当たり前になっているが、一歩進めて注文住宅、分譲住宅に「雨庭」を採用してほしい。それくらいのSDGsの「つくる責任」を果たしていいはずだ。

また、行政は「雨庭」を設けることを開発行為の条件に加え、採用されている住宅には上下水道代に見合う額を減免してはどうだろう。加速度的に普及するのではないか。

それにしても、世田谷トラストまちづくりは凄い。今回の「雨庭」を含め、「市民緑地・ちいさな森」「地域共生のいえ」「空き家等地域貢献活用」など「ひと」「まち」「自然」の取り組みを会員や市民、ボランティアとともに進めているのがとてもいい。区が住宅地として高い評価を得ている理由の一因は、こうした取り組みにあるのだろうと改めて感じた。

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「世田谷トラストまちづくりビジターセンター」のそばに流れる野川

 

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