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2025/02/01(土) 12:05

GHG削減、ネイチャーポジティブ取り組み強化 大和ハウス&住友電設 勉強会

投稿者:  牧田司

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小山氏(左)と広瀬氏(住友電設川崎テクニカルセンターで)

 大和ハウス工業は1月27日、「業界動向勉強会<環境(2024年度>)を住友電設川崎テクニカルセンターで開催。座学として、同社サステナビリティ統括部長・小山勝弘氏が気候変動・生物多様性関連の動向と同社グループの取り組みを、住友電設人材開発部長・広瀬勝実氏が施設のESGの取り組みをそれぞれ紹介。その後、同施設内の太陽光発電システム・蓄電池・スマートマネジメントシステムなどの環境配慮設備・安全危険体感室見学会を行った。

 小山氏は、カーボンニュートラル戦略として①攻めの施策-原則すべての屋根に太陽光パネルを設置②トップ企業の社会的責任-2030年度原則ZEH・ZEB率100%③隗より始めよ-自社施設の原則ZEB化・太陽光などで2025年度RE100達成-の3つの柱を推進しており、2030年(環境インパクト)としてバリューチェーン全体で40%以上GHG(Greenhouse Gas)削減を目指すと語った。

 GHG削減目標を達成するためには、サプライチェーン(資材製造)の脱炭素化が欠かせないとし、サプライヤーと様々な取り組みを行っていることを紹介。ゼロ・カーボンビル推進の一例として木造・木質化の推進を挙げた。

 生物多様性|ネイチャーポジティブへの挑戦では、2055年の創業100年には「生物多様性のノー・ネット・ロス」を目指すとし、サプライチェーン全体で「森林破壊ゼロ」「生物多様性損失ゼロ」を掲げており、23年度の全事業での緑化実績は20.7万㎡、累積で46.4万㎡(東京ドーム約9個分)に達したと語った。

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 住友電設の川崎テクニカルセンターは、敷地面積約2,938㎡、建設面積約1,593㎡、延床面積約5,207㎡のS造4階建て。施工は大和ハウス。建築物省エネルギー性能表示制度BELSで1~2階の事務所エリアは「NearlyZEB」、3~4階の管理人住宅は「ZEH」認定を受けている。

 具体的な取り組みとして、広瀬氏は①PV(NearlyZEB) ②V2Xシステム(EV-太陽光発電-蓄電池エネマネ系列)③V2H(管理人住宅)Xシステムを紹介。住友理工の遮熱フィルム「Refleshine(リフレシャイン)を執務室の窓ガラス90㎡に施工している(検証の結果、未施工の部屋より5℃の差があることが分かった)。

 また、住宅エリアには、管理者が住み込みで勤務することを想定した専用面積50㎡台のオール電化のZEH住居が併設されている。管理形態が3交代制になったため現在は空き家になっており、住居は社員向けに家賃無料で賃貸するそうだ。

 社員の皆さん、これはお勧め。単身はもちろん夫婦で住める。家賃相場からしたら月額10万円、年間約130万円が浮く計算になる。電気代、水道代も会社負担なら年間200万円の居住費が削減できるではないか。2~3年住めば、分譲マンションの頭金がたまる。空き家対策は喫緊の課題だ。

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感電体験コーナー(記者も0.1アンペアを体験した。ビリッときた。致死量はケタ違いだそうだ)

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〝空き家〟になっている住戸(LDK)

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 住友電設の施設は、建築概要からして容積率は178%だ。施設が位置するエリア一帯は法定容積率200%の準工地域なので、どうして容積を余しているのか質問したら、建物の絶対高さ規制が20mに定められているためだった。施設の1~2階の階高は10mくらいあった。

 もうこれ以上は書かないが、環境性能や緑被率が高い建築物は容積率の緩和を行うべきというのが記者の持論だ。言葉は悪いが〝アメとムチ〟を使い分けることで:建築物の質は高まる。

 緑被面積について。2023年度の緑化面積は凄い数値だと思うが、これは事業活動で失われた緑と相殺した数値であることを祈りたい。参考までに同社グループの「サステナビリティレポート2024」によると「当社グループが操業する事業活動地域(拠点) 数は1,588件あり、そのなかから1次スクリーニングで生物多様性の影響評価を行うべきサイトを69件4,239ha に絞りました。2023年度、生物多様性にとって重要と判定されたサイトは35件2,994haとなり、そのうち生物多様性に配慮した管理計画を策定済みのサイトは4 件135haとなっています」とある。

 わが国の市街化区域全体における緑被率は23.2%といわれている。増えてはいないはずだ。国土交通省の建築着工統計には建築物の床面積は公表されているが(令和6年は10,274万㎡)、建築物と土地は不可分だ。統計に緑被面積を加えるべきだとずっと思っているのだが…。さらにまた、企業のESGの情報開示義務化を強化すべきだ。

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施設の敷地(面積に比べて緑化率は低いと思った。車はEV車)

 

 

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