国土交通省は1月31日、令和5年住生活総合調査結果をまとめ発表した。同調査は土地統計調査(総務省)と同年に5年周期で実施しているもので、今回は14回目。土地統計調査(総務省)の調査対象世帯から無作為に抽出した世帯約11.4万世帯にアンケート用紙を送付し、回収世帯数は約7.3万世帯(回収率約64%)。主なポイントは次の通り。
住宅・居住環境に関する総合評価は、持ち家・借家全体では「満足」が23%、「まあ満足」が55%で、「多少不満」「非常に不満」は21%。比率は10年前と比べほぼ横ばいで、持ち家・貸家別でもそれほど変化はない。
住宅の不満率は23%で10年前から2ポイント低下し、居住環境の不満率は27%で横ばいとなった。家族類型別の不満率の推移は、親と子からなる世帯(長子17歳以下)の不満率は18%(10年前24%)と堅調に低下しており、単独世帯(64歳以下)は24%(10年前24%)、高齢者世帯(単身65歳以上・夫婦家計主65歳以上)は20%(10年前18%)となった。
住宅について個別要素ごとの不満率は「高齢者への配慮(段差がない等)」43.4%、「断熱性」41.1%、「エネルギー消費性能(光熱費の節約)」39.7%、「地震に対する安全性」38.4%が上位となっている。
居住環境の不満率は、「近隣のシェアオフィスなど自宅や職場以外で仕事のできる環境」45.9%、「敷地やまわりのバリアフリー化の状況」43.2%、「文化施設(図書館等)の利便」37.4%、「周辺からの延焼のしにくさ」34.8%、「道路の歩行時の安全性」34.5%などが上位となっている。
家族類型別、持ち家・貸家別総合評価は、単独世帯(65歳以上)と親と子からなる世帯の不満率はそれぞれ23%、22%と他の世帯よりやや高くなっている。
過去5年間の住み替えの理由は、単独世帯(64歳以下)と持ち家の親と子供からなる世帯は「自宅を所有するため」がそれぞれ18%、24%と高く、持ち家は「子どもの誕生・成長・進学」22%、「世帯からの独立」8%、貸家世帯は「世帯からの独立」22%などとなっている。
単独世帯(64歳以下)と65歳以上の夫婦世帯は、「高齢期の住みやすさ」「立ち退き要求、契約期限切れ」(貸家)「転勤や転職」「世帯員の減少」「住宅の質の向上」「居住費負担の見直し」「家の相続」「家族との隣居・近居」など理由は様々となっている。
今後の居住形態の意向は、現在持ち家・借家の世帯ともに「借家への住み替え」「既存住宅への住み替え」の意向が増加しているのが顕著。「借家への住み替え」は現在持ち家は19%(10年前は16%)、現在貸家は49%(10年前は34%)となっており、新築住宅・既存住宅(持ち家)の意向では、「既存住宅」を選んだのは現在持ち家、現在貸家とも24%(10年前は14%)となった。
今後の住み替え意向がある世帯のうち、単独世帯(64歳以下)、親と子供からなる世帯は「広さや間取り」「通勤・通学の利便」を重視する一方、65歳以上の世帯は「広さや間取り」「高齢者への配慮」「日常の買い物などの利便」を重視している。