「TOMORE(トモア)品川中延」
野村不動産は2月18日、コミュニティ運営付き大型賃貸レジデンス「コリビング賃貸レジデンス」の第一弾「TOMORE(トモア)品川中延」が竣工したのに伴うメディア向け内覧会を行い、2月22日から現地内覧会を開催し、3月から入居を開始すると発表した。
「コリビング賃貸レジデンス」は、同社の社内起業第一号案件。都内のシングル向け賃貸住宅はこの10年間で家賃は22%上昇しているにもかかわらず、20~30代の賃金上昇率は10%にとどまり、20年超の築古が71%、30人未満の小規模が95%を占めていることに着目。20~30代の社会人単身者の〝ひとり暮らし環境〟のアップデートを目指すもの。
専用面積は、シャワールーム、トイレ・洗面台を備えた12~15㎡に抑える一方で、約90㎡のコワーキングスペース、約100㎡のコリビングスペース、シェアランドリーなどの共用部を充実させているのが特徴。
1階の24時間稼働の約100㎡コワーキングスペースでは、専属運営スタッフ 「コミュニティオーガナイザー」がコミュニティ運営を行い、利用者の「居心地づくり」「交流づくり」「活動づくり」を通じ、緩やかで活発なコミュニティ形成を育む。
7階のルーフバルコニー付き約95㎡の「コリビングスペース」では、キッチンで料理をつくり、ダイニングで隣人と一緒に食卓を囲み、ソファで気ままに過ごしたりするなど様々なシーンに合った心地よい空間をデザインしている。
シェアランドリーでは、パナソニック製のドラム式洗濯乾燥機を全15台(女性専用6台、男女兼用9台)設置し、洗濯機の利用状況がアプリから確認でき、待ち時間のストレスなく利用できるランドリーサービス 「LAUNDROOM」を初導入する。
また、初期費用のうち 「仲介手数料・敷金・礼金0円」(一部条件あり)とするほか、2025年3月末までの入居申込者を対象に「1ヵ月フリーレント」の「新規入居キャンペーン」 を開催する。
2月18日現在の内覧会予約は200件超で、男女割合は女性56%、男性42%、年齢割合は20代36%、30代44%、属性は会社員が78%、居住割合はシェア型住宅が40%で、60%は一般住宅など。
内覧会に臨んだ同社住宅事業本部賃貸・シニア事業部賃貸住宅事業二課長・黒田翔太氏(36)は「現在の一人暮らしの住環境は家賃が高い、築古が多い、設備が古い、規模が小さい、(シェアハウスは)水回りがない、初期費用が高いなどハードルが高い。これらを一挙に解決するのが『コリビング賃貸』。内覧会申込者は想定した通り。これまで検討しなかった層の潜在的なニーズを開拓できている」と語った。
世界のコリビング市場規模は2022年に132億万米ドルに達し、2028年までに638 億百万米ドルに達すると予想されている。
物件は、都営浅草線中延駅から徒歩1分(東急大井町線中延駅から徒歩4分)、品川区豊町6丁目の商業地域に位置する敷地面積約577㎡、建築面積335㎡、11階建て延床面積約2,424㎡全135戸、専用面積12.00~15.01㎡(居室設備 Wi-Fi・シャワールーム・独立洗面台・トイレ、一部家具付き住戸、バスタブ付き住戸あり)。月額賃料は90,000~、共益費は15,000円、水道光熱費は13,750円。入居開始は2025年3月(予定)。設計はフォルム建築計画研究所、施工は野村建設工業。デザイン監修はUDS。
コワーキングスペース
コリビングスペース
居室
シェアランドリーイメージ図
◇ ◆ ◇
同社が昨年11月に行った事業説明会での黒田氏のプレゼンを聞いて〝これはいける〟と直感したのだが、この日の黒田氏の話を聞き、商品企画の狙いがズバリ的中したことを改めて確認した。
それは、200件超の現地内覧会希望者の属性にはっきり表れている。男女比、年齢割合もさることながら、現居住形態はシェアハウスが40%で、他は1R・1K(27%)、1LDK以上(11%)、実家(17%)、その他(5%)と多数を占めたことだ。新規需要を掘り起こしたことを証明している。
これまでにないタイプなので、検討者がどう判断するかだが、1階のコワーキングスペース、7階のコリビンズスペースがとてもいい。1階は明るく温かい雰囲気を、7階はリラックスできる空間をそれぞれ演出している。観葉植物はすべて本物で、付け梁、家具・調度品なども本物の木を多用するなど質も高い。
もう一つ、この事業の成否のカギを握るのは、入居者同士を緩やかにつなげコミュニティを育むソフトサービスだと思う。その意味でコミュニティオーガナイザーの役割は大きいし、「COMMUNITY LUNCH」「HOME PARTY」「TOMORE TALK」などの「交流体験」を育む運営が重要になる。
この日(18日)、コミュニティオーガナイザーのミライ インスティチュート・田中三浪氏(ビジネスネーム)に浅煎りコーヒーのサービスを受けたのだが、小生は「私は深煎りが好き。蒸らしは30秒」と話したら、田中氏は「これも30秒」と返した。こんな一言二言が、お互いを認め合い、仲良くなるきっかけになる。
さらにもう一つ。バイリンガルだ。これからは外国語を話せないと生きていけない。外国語を習得できるサービスがあっていい。
ハード面では、敷地面積や建築面積、延床面積からして、コワーキング・コリビングスペース、シェアランドリーなどの共用施設を充実させながら、階段は容積に算入されない外階段にするなどレンタブル比率を高くしている工夫がなされていたのに注目した。
黒田氏(手前の花は本物)
田中氏
タオル掛け付きシャワールーム(左)とバス付き
本物の花
現地
1階エントランス
社内起業第一号 シェア型賃貸×コワーキング「TOMORE(トモア)」開発 野村不(2024/11/13)