「体感すまいパーク吉川美南」
ポラスグループの注文住宅を手掛けるポラテックとグローバルホームは3月6日、ポラスグループ6か所目の単独展示場「体感すまいパーク吉川美南」のメディア向け見学会を行った。展示場は3月1日(土)にオープンしたもので、土・日曜の2日間で200組以上の来場者があった。2022年1月に開設した、同社本拠地の「越谷」は2日間で140組だったことから、ポラテック取締役・橋本裕一氏は確かな手ごたえを感じているようだった。
同展示場は、JR武蔵野線吉川美南駅から徒歩13分、吉川市による施行面積約59.1haの吉川美南駅東口周辺地区土地区画整理事業地内に位置する敷地面積約6,000㎡(1,800坪)。モデルハウス4棟と技術展示スペースを設けたオフィス棟、ポラス暮し科学研究所の研究棟と実験棟を併設。吉川美南駅東口開発はこれから本格化することから、同社は地域の新たな顧客開拓を目指す。
橋本氏は「これだけのエリア(ポラス商圏)に人材(ポラス従業員約4,500人)を投入している会社はほかにない。『吉川美南』は営業拠点だけでなく、支店の一部、非住宅部門も移転し、ポラス暮し科学研究所の研究棟と実験棟も入る。これらは、広い土地を購入できたからこそ実現した。展示スペースは木造建築の学びの場とし、さらに地域交流拠点として新たな顧客を掘り起こしていく。この1年間で120棟の受注を目指す」と語った。
オープンしたモデルハウスは、「PO HAUS ARZILL」「PO HAUS 和美庵」「北辰工務店 心」「HaS casa Leche」の4棟。延床面積はすべて20坪後半から30坪台のリアルサイズが特徴で、宿泊体験も可能。
「PO HAUS ARZILL」は延床面積115.22㎡(34.85坪)、ホワイトスペース、フォイヤーなど多目的に利用できるスペースを随所に設け、プライバシーとオープンな空間の相反する要素の両立を目指す。価格は100万円/坪~。
「PO HAUS 和美庵」は延床面積99.78㎡(30.18坪)。ダイニング天井、天井ルーバー、造作風呂、吹き抜け空間、ヌックなどに本物の木を多用している。価格は100万円/坪~。
「北辰工務店 心」は延床面積96.54㎡(29.20坪)。共働き世帯を想定し、「最新住宅設備×IoT 技術」が助ける家事ラク住宅がテーマ。価格は80万円/坪~。
「HaS casa Leche」は延床面積86.86㎡(26.22坪)。外観はライトブラウン(茶色)一色。ツーバイシックス工法と超高断熱仕様で曲線美と機能美をアピールしている。価格は90万円/坪~。
橋本氏
技術展示コーナー
「PO HAUS ARZILL」
「PO HAUS 和美庵」
「北辰工務店 心」
「HaS casa Leche」
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これまでもそうしたように、4つのモデルハウスについて、独断と偏見に満ちた記者の格付けを行うことを決めた。設計担当者による「PO HAUS ARZILL」、「PO HAUS 和美庵」、「北辰工務店 心」のプレゼンが終わった時点で甲乙は付けられず、互角だと判断した。そして最後、およそ家らしくない、奇怪な形と目立つようで目立たない土気色をした「HaS casa Leche」が紹介された。担当者いきなりシュールレアリズムの奇才サルバドール・ダリを口にした。ややあってサグラダ・ファミリアで知られるアントニ・ガウディとモダニズム建築の巨匠ル・コルビュジエの名前が飛び出した。
担当者の方は最初から最後まで数分間、唯我独尊、わが道を行く。聴衆(同社関係者を含め50~60名か)を無視し、タブレットに神経を集中していた。
3人の巨匠の名前に圧倒され、事大主義に侵されている記者はこの時点で、モデルハウスを見ていない段階でナンバーワンは「HaS casa Leche」にしようと決めた。早速、名刺交換した。グローバルホームHaS casaDv設計課注文設計1係主任・浅井直林氏だ。浅井氏は「外観は大地の色、ライトブラウン。アール? 人と地球にやさしい」と語り、好きな建築家としてアルヴァ・アアルトと安藤忠雄を挙げた。
この外観に惚れ込む人はどれだけいるか、やたらと多いR形状(記者の自分自身の軟弱な性格を見るようでR形状は好きではない)に眉をしかめたのだが、決め手となったのは、リビングとキッチンをつなぐ白い壁にポツンと宙に浮いているような黒い帽子だった。ダリの再来かと。コーカサスの織物キリムのクッションと、階段の鉄のフレームをそのまま伸ばしLDKのテーブルにも物書きデスクにもなる提案もいいと思った。
モデルハウス4棟を見終えた時点でも「Leche」の首位は揺るがなかった。次点は「PO HAUS 和美庵」だ。ナグリ仕上げの床、浴室壁のヒノキ(浴槽をヒノキにすると掃除が大変)、額縁絵のような窓枠・窓台も本物の木でできていた。「Leche」とはタッチの差だ。
3位は「PO HAUS ARZILL」、4位は「北辰工務店 心」とした。「ARZILL」の幅6.3mの棒状キッチンとダイニングは人を呼ぶのにとてもいい。ただ、フォイヤーとLDKの使い方がいま一つよくわからなかった。「北辰工務店」は坪単価がもっとも安く、収納が多いので、むしろ検討者の一番人気になるかもしれない。実利的だ。最下位にして申し訳ないが、モデルハウス1棟につき見学時間が10分に制限されていたことと、意図を読む「心」が記者にはないためか、いま一つ「心」が伝わってこなかった。
浅井氏
ぽっかり浮かぶ黒い帽子(左)とキリムを配したリビング床
なぐ率上げの床(左)と額縁絵のような窓
5か所目の単独展示場「体感すまいパーク朝霞」オープンボラスグループ(2023/9/2)
延床876㎡の木造事務所工期5か月、建築費坪110万円ポラス「体感すまいパーク柏」(2023/4/29)